ライザップのカフェラテは「結果にコミットする」か?

内藤 忍

170123RIZAP2コンビニに寄った時、偶然ライザップのカフェラテ(写真)を見つけ、いつものスタバをやめて思わず買ってしまいました。

ライザップと言えば減量トレーニングジムで有名ですが、最近はアパレルのジーンズメイトを買収したり、英会話スクールやゴルフスクールも始めたりと多角化を進めているようです。

アパレル会社の買収は恐らくライザッププランドでのトレーニングウェアの開発・販売などを目的にしたものだと思いますし、英会話スクールやゴルフスクールはスコアという数値目標の「結果にコミットする」という点で減量と親和性があることから参入したのだと想像します。

英会話スクールはベルリッツのような老舗と、GABAのような斬新なマーケティングの新興勢力がビジネスを展開していますが、トレーニングジムを運営している健康ビジネス業界からの参入がどのような結果になるかは、マーケティングのケーススタディとしてとても興味が湧いてきます。

ライザップグループの事業展開を見て、連想したのがセコムです。ガードマンを派遣する警備保障会社が創業時のビジネスでしたが、その後「安全(セキュリティ)」をキーワードにして、住宅の安全管理、保険会社、不動産開発さらには飲食にまでビジネスエリアを広げていきました。全てのビジネスにセコムの安全第一というブランドをのせることによって、既存の業界とは一線を画するマーケティングができるようになったのです。

ライザップも単なる健康ビジネスではなく、数値目標を達成する信頼できる会社というブランドイメージを減量トレーニングジムで確立したことにより、事業の多角化の際の差別化の強力な武器を手に入れました。同社グループのミッションは「自己投資産業で世界No.1ブランドをつくる」です。自己投資をしたい人たちに様々な機会を高品質な商品・サービスで提供していく。セキュリティを切り口にブランドを確立し、事業を多角化したセコムに共通する事業展開の進め方です。

既にライザップという名前自体が、知名度が高く、ハイクオリティな商品・サービスというイメージに変わりつつあります。

ただし、多角化の過程でクオリティが低下するような事態になれば、せっかくコアビジネスで高めたブランドイメージがチープなものに成り下がる危険性もあります。英会話やゴルフでも本当に結果を出して満足する人が増えてくれば、ライザップブランドは幅広い分野で更に高まるでしょうし、逆の展開になればコアビジネスである減量トレーニングジム自体の評判にも悪影響が出るリスクがあります。

マズローの欲求階層説の一番上位にくる「自己実現欲求」だけを事業ドメインとして「自己投資産業」にフォーカスする。そんな同社が次にどんな事業展開をするか注目したいと思います。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年1月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。