僧侶に聞く!子供になぜ差別はいけないのと聞かれたら

2017年02月03日 06:00
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写真は向谷匡史氏。ブログより。

読者の皆さまは、子どもに「なぜ差別はいけないの?」と聞かれたらどのように答えるだろうか。奴隷や人種差別、さらにインドのカースト制度を持ち出すまでもなく、悲しいかな、人類は“差別”の歴史でもある。そこまで大上段に振りかざさなくても、日常においても差別は常についてまわるものだ。

このような質問に対して、分かりやすい回答があるので紹介したい。『考える力を育てる 子どもの「なぜ」の答え方』の著者であり、浄土真宗本願寺派僧侶、保護司、日本空手道「昇空館」館長も務める、向谷匡史(以下、向谷氏)の見解である。

■差別をする人は「弱い心の持ち主」

――まず、子どもたちには、大人がいだくような意味での「差別意識」はない。あったとしても、それを差別だとは認識できていない。無邪気なだけに、かえって残酷とも言える。

「子どもは比較。すなわち“優劣”で人を判断します。足が速い遅いといったことから、勉強ができるできない、背が高い低い、歌がうまいヘタ、さらに貧富といった比較を通じて、自分より劣っていると思う者に対して、優越感を持ちます。大人もこのことは同じですが、子どもは差別意識がないぶんだけ感情をストレートにあらわします。」(向谷氏)

「結果的に、相手の心を傷つけてしまいます。私の道場でも、運動神経が鈍く、不器用な子が演武すると、それを見て笑う子がいます。悪気はないのです。ただ、それだけのことで、叱っても、自分では『悪いことをした』という自覚がありません。」(同)

――自覚が無いから反省も無く、よって差別をする側にそうと自覚がないことが、差別問題の本質だろうと向谷氏は答えている。

「大切な問題ですから、『差別って何?』と子どもに聞かれたら、親は真摯に答えるべきだと思います。では、どう答えればいいか。私は、一言で、こう言います。『弱い心の持ち主』。そのように答えると、『なんでぇ!』という疑問の声があがります。」(向谷氏)

「差別という意識がないにせよ、自分より劣ると思う相手を嘲笑することが、なぜ弱い心の持ち主なのか、理解できないのです。」(同)

――納得していない子供たちを前にして、向谷氏は次のように説明するそうだ。

「たとえば徒競走で、二番だったとするね。心が強くてファイトのある人は、練習して、今度は一番になってやると自分を奮い立たせます。ところが、弱い心の人は、そんなファイトがないため、自分より足が遅かった人を引き合いに出して、『どうだ、俺のほうが早いんだ』と威張ります。」(向谷氏)

「見下すことで、自信を持とうとする。自分が頑張って上にあがっていくんじやなく、相手を見下すことで、さも自分が上にあがったような錯覚を起こすんだね。だから差別をする人は、『弱い心の持ち主』ということになる。」(同)

■差別をしないということも差別である

――差別をめぐる諸問題は根が深いものが多い。決して、そんな単純なものではないが、子供たちに対しては、このような説明のほうが解りやすいことも事実だろう。そして、大人に説明するときには少々伝え方を変える。

「大人と差別について話をするとき、『差別をしないということも差別である』と逆説的に言ったりします。子どもになぞらえて、こんな例はどうでしょう。小学校六年生の兄と一年生の弟がいたとします。二人にお年玉をあげるのに、差別はいけないからといって、一律千円にしたらどうでしょう。公平ではありますが、兄はどう思うでしょうか?」(向谷氏)

「非力な人にも、力持ちの人と同じだけの荷物を背負わせるのはどうでしょう。平等ではあっても、本当の意味で平等になっているのかどうか。『差別をしない』と一言で言うのは簡単ですが、突き詰めていけば深い意味を持っていることを、頭の片隅に置いて、接する必要があるのです。」(同)

――なお、本書は子供向け教育に書き上げられたものだが、ケースにリアリティがあることから大人にもお勧めできる。上司のコネタとしても役立ちそうだ。多くのケースを理解することで物事の正しい道筋を見つけられるかもしれない。

尾藤克之
コラムニスト

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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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