安倍総理にもアキレス腱はありそうだ

早川 忠孝

2月17日の衆院予算委で、国有地払い下げ問題等に関する質問に答弁する安倍首相(首相官邸サイトより:編集部)

自分が最も得意、最も強いと思っているところで躓くと、結構人は脆いものである。
安倍内閣に対する支持率は相変わらず高いが、不安要素、懸念要素がいくつかチラホラと見え始めた。

かつて美しい国・日本を標榜していた安倍総理の得意分野の一つが教育だろうと思う。

何故日本の教育にそれほど関心を持たれているのだろうか、と思ったことがあるが、安倍総理は自分と同じように教育問題に熱心な国会議員を重用していたように思う。

教科書問題や行き過ぎた性教育問題について普通の国会議員以上に強い関心を抱かれていたと思う。
小泉さんや福田さんとはかなり肌合いが違っていたことは事実である。

東京新聞が森友学園に対する国有地の払い下げ問題を取り上げている記事を読んだ。

ふーん、小泉さんや福田さんだったら、こういう人たちとは関りを持たないだろうな、と思うような方々と安倍総理が相当親密な関係を持っていたらしいことが明かるみに出た。
うーん、これはちょっと拙そうだぞ、というのが私の直感である。

早速、国会で取り上げられた。
個別具体的な違法、もしくは不法な事実が明らかになったわけではないが、釈然としない部分が残る。

え、安倍晋三記念小学校?

こんなところで安倍さんの名前を出すことはないでしょう、と思うが、森友学園は安倍晋三記念小学校を設立するという名目で保護者の方々に寄付をお願いしたそうだ。

二度目の自民党総裁選に立候補する直前のことで、安倍総理は安倍晋三記念小学校の名称で学校を開設することは断られたとのことだが、安倍昭恵夫人が名誉校長を引き受けられているということになると、さすがの安倍総理も知らぬ存ぜぬで通すことは難しくなる。

小林よしのり氏が、案の定噛みついてきた。

大阪・豊中市の国有地が不自然な超格安で学校法人に払い下げられ、首相夫人・安倍昭恵が名誉校長を務める小学校が建設されている!

この問題は国会でも取り上げられたが、9億5600万円相当の土地を1億3400万円と8億円以上も値引きしていて、その理由は「地下のごみ撤去のため」だという。
全く納得がいかない。

しかもこの小学校は当初「安倍晋三記念小学校」の名で寄付を募っていた。
同校の校長である籠池泰典なる人物は、日本会議大阪の運営委員だという。
籠池が園長を務める幼稚園では、教育勅語を暗誦させ、軍歌まで教えているという。
そして極めつけは、籠池は元在日韓国人の母親に、「私は差別はしていません。しかしながら心中韓国人と中国人は嫌いです」という手紙を送り、さらに、幼稚園の保護者向けには、「邪な考えを持った在日韓国人や支那人」らを「気をつけて、近づけぬことです」などと書いたヘイトまがいの文書を配布していたという!
(以下、略)

うーん、これはどうかな、というところだ。

幼い子どもたちは、どのようにでも教育できる。
教育勅語を毎日暗唱させれば、純真な子どもたちは大人が望むように躾けられるだろう。
愛国心を育てることも十分できるはずだ。

しかし、それが行き過ぎると一種の洗脳教育になってしまう。
手放しで森友学園の教育方針を称賛するわけにもいかないぞ、と一応は慎重になるところだ。

安倍内閣では、保育所に国旗を掲揚することを奨励することになりそうだというニュースを見た。

え、保育所に日の丸?

へー、と驚いたが、これが安倍内閣が愛国心教育に本格的に取り組むための先駆けだということになると、案外大きな問題に発展しそうである。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年2月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。