フィードバックを受けにくい学校の先生

井上 貴至

画像出典:写真AC(編集部)

「今日の宿題、教科書の●●ページから××ページまで全部書き写すことです。」

残念ながら、一部の先生は、未だにこんな教え方を平然とやっています。

これでは、なかなか生徒のモチベーションを引き出すことも難しいですし、単なる手の作業になってしまいがちで理解の向上にはつながりません。

また、時代の変化からも取り残されています。鈴木寛・文部科学大臣補佐官がいつも言われるように、これからの日本では、1を100にする(正しく早くコピーする)仕事ではなく、0から1をつくる仕事が求められています。

では、なぜこんなことが起きてしまうのでしょうか??

それは、学校の先生が、極めてフィードバックを受けにくい構造にあるからです。

1)まずは、若くても「先生」と言われること。教室の授業に立てば、一国一城の主で、同僚や上司からアドバイスを受けにくいわけです。また生徒から「先生教え方下手だよ」と言われることもまずありません。

2)そして、一度免許を取って採用されると、まずクビにならないこと。中には、残念ながら、地位に安住して、初心を忘れてしまう人もいます。

3)次に、教え方が下手でも生徒が減らないこと。学校の先生と同様に、医者や弁護士などの「先生」も一度資格を取ると、まず生涯クビにはなることはありませんが、医者や弁護士の世界では、評判が悪いと患者や依頼者が減ってしまいます。

しかし、学校の先生にはそれもありません。あの先生は教え方が下手だから、熱意があまりないから、翌年の生徒が減るということはまずないわけです

4)学校の世界しか知らないこと。中学・高校・大学を卒業して、すぐ学校に就職すると、社会の情勢や時代の変化に疎くなってしまうことが起こりがちです。

5)そして、教育委員会制度が教育だけ特別という「縦割りの考えを助長」していること
⇒ 詳しくはこちら。教育委員会ほど市町村をバカにした制度はない

こうしたことが重なり合って、学校の先生には、極めてフィードバックを受けにくい構造が生まれています。

もちろん、そのような環境でも常に学び続ける/自らチャレンジを続ける先生もたくさんいます。しかし、義務教育制度として、あまねく子供たちに教育を提供するならば、制度としてフィードバックを受けやすい構造を作った方がいいと考えています。

職業的倫理観だけに頼るのは危険だということです。

例えば、具体的には、
Teach Foe Japanなどを通じて多様なバックグラウンドを持った人材を、(期間限定でも)先生として登用する。

●リクルートのスタディサプリなど実績がある外部教材を積極的に導入する。

福岡県飯塚市などのように、地域の人材がさまざまな形で学校に関わる。

●先生自身も、定期的に民間企業などで研修する。

というようなことを、柔らかい頭で取り入れていった方がいいのではないでしょうか。プロの先生だけで教育を全てやる/やらなければならないと抱え込まない方がいいのではないでしょうか。

<もっと知りたい!>
教育委員会ほど市町村をバカにした制度はない

教育を変えていかなければ、失業者を量産することになるかもしれない。鈴木寛・元文科副大臣が語るアクティブ・ラーニング

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<井上貴至(長島町副町長(地方創生担当)プロフィール>
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68458684.html

<井上貴至の働き方・公私一致>
東京大学校友会ニュース「社会課題に挑戦する卒業生たち
学生・卒業生への熱いメッセージです!
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68581524.html

<井上貴至の提言>
杯型社会に、求められること
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68619160.html


編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2017年3月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語~井上貴至の地域づくりは楽しい~』をご覧ください。