蓮舫VS小池百合子、そんなに差がなくなっちゃうのか?

2017年03月06日 10:30

都庁サイト「知事の部屋」より

「初の女性首相候補」と目されてきた二人だが、昨年12月時点の政治的求心力においては、天と地ほどの差があった。だから12月に発売した拙著のタイトルは「蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた?」だったわけだが、年も明け、豊洲市場の地下水から環境基準の79倍のベンゼンが超えたあたりから、事態が一層おかしくなり、ネット世論で「アンチ小池」勢力が勢い付き始めた。

アンチ小池世論、三浦瑠麗氏のブログで勢いづく

そして、千代田区長選での圧勝を経て、石原元知事を“お白州”に引きずり出すことが決まると、都議選をにらんだ露骨な敵対構造づくりに異論を唱えるインフルエンサーが増えてきた。

アゴラでは、すでに宇佐美典也氏がツイッターでの発信でアンチ小池の急先鋒となり、郷原信郎氏も年末から豊洲問題でたびたび疑問を呈している。今年に入ると、池田信夫氏も豊洲問題の長期化に業を煮やし、ポピュリスト的手法を厳しく論評している。

さらに、アンチ小池勢力が「潮目が変わった」と感じ始めたのが、まさに先週の石原会見。「朝生」でおなじみの国際政治学者で、ネット上での発信にも精力的な三浦瑠麗氏のこのブログが、石原氏の思惑と小池氏の手法を鋭く分析し、アンチ小池ネット世論の流れを強める反響を得た(6日朝の時点で「いいね」が3000を超えている)。

石原慎太郎元都知事の会見を受けて – 山猫日記

三浦氏は小池氏主催の政治塾「希望の塾」で講師に呼ばれるなど(出典:スポーツ報知、少なくても中立的、もしくはやや好意的な立場で小池氏を論評していたはずなので、「潮目」の変化を象徴するかのようにも思える。

さらに、石原会見の一週間前、「朝生」で三浦氏と共演した岩田温氏が日曜に投稿した『「科学」を「敵」にした小池都知事の誤り』はアゴラ、ブロゴスで1位となり、ネット世論の「アンチ小池」勢力の急伸ぶりを改めて印象づけた。

「ミッドウェー」のような大きな潮目が来るのか?

宇佐美氏はツイッターで「ミッドウェー」も近いと指摘。都知事選で真珠湾ばりの電撃奇襲作戦で圧勝した小池陣営が、ミッドウェー海戦で敗退局面に入った日本軍のように、都議選までのどこかのタイミングで逆襲されるとの見通しを示している。

ただし、このまま自民党都連等の反転攻勢や小池陣営の転落につながるかといえば、現時点では微妙だ。蓮舫氏の事例をみれば明らかなように、まだまだネット世論と既存メディアでつくられるリアルの世論とのギャップが根強い。蓮舫氏は二重国籍問題がくすぶり続け、ネット上で批判論が高まっているにもかかわらず、自分のことは忘れたかのように安倍首相に対して「息を吐くように嘘をつく」などとdisって、今日なお平然と野党第1党党首の座についている(追及した一人として忸怩たる思いはある)。

小池陣営が圧勝した2月の千代田区長選の時点でも、すでにネット世論のアンチ小池は、昨年よりは増えていたようにも思える。

オープンデータレベルの定量化なので肌感覚的で申し訳ないが、ヤフーのリアルタイム検索だと、石原会見の3月3日を境に反響が急上昇し、「ネガティブ」ツイートは過去1ヶ月間の平均37%から39%に2ポイントだけ上昇はしている。

▲リアルタイム検索・過去30日間の反応

 

▲リアルタイム検索・石原会見の日の反応

ネット世論VSマスコミ世論の展開はいかに?

千代田区長選では、小池陣営が推した現職候補者が、自民党都連の候補者にトリプルスコアをつける圧勝。選挙中、某政党の情勢調査ではダブルスコアと出ていて、投票箱の蓋を開けてみれば、投票率の上がった分の有権者の大半が現職に流れ込むという状況だった。千代田区長選の後にも小池陣営や政党、報道機関の情勢調査が行われ、そのうち、小池塾で講師を務めている選挙プランナーの松田馨氏の調査結果は夕刊フジで公表されているが、2月末までの時点では、どの調査も「小池新党」の候補者が過半数をうかがう勢いだ。

“小池新党”59議席の大躍進 都議選予想、ドン率いる自民23議席激減で第3党転落の苦境(夕刊フジ)

たしかに、それらの数字は、千代田区長選の圧勝ムードがまだ感じられる。では、ネット世論で高まりつつある「アンチ小池」の機運が、すぐにリアル世論に転化されるかというと、蓮舫氏の事例をみればわかるように、タイムラグやギャップはある。拙著「蓮舫VS小池百合子、どうしてこんなに差がついた?」と、「月刊Hanada」4月号でも詳しく書いたが、近年、SNSやスマートフォンニュースアプリの普及に伴い、ネット世論、ネットメディアの社会的影響が強まって、若い世代を中心に一部には投票行動に影響を与えつつあるが、それでもテレビでは「小池劇場」を面白おかしく伝えるワイドショーの影響力は大きい(視聴率が伸びていることが積極的な露出につながっている)。

加えて、ネットでも大手のメディア、たとえば、夕刊フジのZAKZAK(千代田区長選の日の丸騒動の記事)、プレジデントオンライン本誌にはかつて小池氏が寄稿していた)等は、小池都政にポジティブな論調だ。小池氏自身がテレビキャスター出身であり、マスコミの要所要所に築いた人脈は侮れない。都知事選の折に自民都連関係者が「マスコミは小池の味方ばかり」と嘆いた構図がそう簡単に転変するかといえば、なかなか微妙なところだ。

小池陣営の「千代田区長選バブル」は弾けるのか

ひとまずは世論調査での小池支持率がどう推移していくのか、潮目が本当に変わるのか冷静に注視したいところだ。どちらにせよ、千代田区長選時点での小池陣営の勢いはいささかバブル気味だったこともあるので、都議選までいかにピークに近い数字を維持できるかタイムラグとのにらみ合いになるだろう。

最後に、小池氏は蓮舫氏の轍を踏んでしまうのかというと、本でも書いたように小池氏(だけでなく、特別秘書の野田数氏を含めた小池陣営中枢)の危機管理能力は低くはない。少なくても蓮舫氏や民進党よりは遥かに高い。なにせ都知事選出馬を決めた時点から、自民党都連相手に(安倍政権も視野に)背水の陣を敷いた戦いをし続けている。ネット世論の攻撃くらいで凹むような人ではないはずなので、逆に豊洲問題で、どのようなランディング手法を見せるのか楽しみに注目している。

 

月刊Hanada2017年4月号
花田紀凱責任編集
飛鳥新社
2017-02-25
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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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