持っておくべき、最低限の金融リテラシー

※写真ACより(編集部)

今は、ゼロ金利とかマイナス金利と言われています。
金融機関に関係している人でなければ、金利を気にする人は少ないのではないでしょうか?
「定期預金に2年預けていても、利息はたったの◯◯円」という状況ですから。

ところで、手元の100万円が10年で2倍になるためには、年利が何%である必要があるかご存知でしょうか?

10%と考えた人が少なくないと思います。毎年10万円の利息が付くので10年で100万円。元金と合わせて200万円になりますよね。

しかし、じっと寝かせておくのであれば「複利計算」をする必要があります。
利率が10%だとすると、100万円の元金は1年後には110万円になります。2年後には110万円に10%の利率が適用されるので(110✕1.1)で121万円になり、3年後は(121✕1.1)で133万1000円となります。このように計算していくと、年利が10%だと7.2年で2倍になるのです。

逆に考えて、72という数字を年利で割ると、元金が2倍になる年数が計算できるのです(これを72ルールといいます)。先ほどの例だと、72を年利10で割ると7.2年となり、年利が10%だと元金が2倍になるまで7.2年かかるということです。

では、年利が1%だと2倍になるのに何年かかりますか?
そう、72÷1=72となり、72年もかかってしまうのです。今の銀行金利のまま推移したとすれば、あなたの手持ちのお金が2倍になるのはお孫さんの代かもしれません(笑)。

これは借金でも同じことです。
年利36%で借りたとしたら、借金が2倍になるのに何年かかりますか?
そうです。72÷36なので2年でめでたく(?)2倍になってしまいます。
36%は今では違法な金利なので裁判では認められません。
しかし、100万円未満の貸金の利息制限法の制限利息は18%なので、99万円の借金が2倍になるのは4年後となり、これは裁判でも認められます。

リボルビング払いの金利は一般に15%と言われているので、2倍になるのは4.8年後です。銀行預金に預けても2倍になるのに100年以上かかるのに、リボ払いの金利だと5年弱。
リボ払いは単なる分割払いではなく、高金利の借金なのです。

スーパーのレジで、カードを出して「リボで」と言っている女性を見て、思わず「止めたほうがいいですよ、住宅ローンの金利の30倍以上ですよ」と口走りそうになってしまいました。

自己責任とはいえ、最低限の金融リテラシーは持っていたいものです。


編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年3月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。