文政権誕生で“再び”韓国の国内闘争に巻き込まれる周辺諸国 --- 山田 高明

寄稿

文在寅氏公式Facebookより(編集部)

3月10日、韓国憲法裁判所は朴クネ大統領の罷免を決定した。弾劾によって失職した大統領は朴氏が初めてということだが、その他の大統領もいずれも悲惨な末路を辿っているので、まあ、いつものことかなと。大事なのは60日以内に大統領選挙の実施が決まったこと。つまり、新政権は5月誕生ということだろうか。

おそらく、大方の予想通り、文在寅(ムン・ジェイン)氏が次期大統領となる(以下「ムン」表記)。私はムンの“公約実行”で、日米は韓国を切り捨てると思う。

日韓関係は今度こそ終わる

ムンは典型的な韓国人の民族主義者で、アメリカや中国に対しては隷属的態度の一方で、「日本に対しては何をしても許される」とタカをくくっている。

ムンは「親日清算」を最大の公約に掲げている

よって、就任早々「慰安婦問題の日韓合意」と「日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」を反故にするだろう。これは彼個人の信条でもあるし、また下賤な「卑日外交」で国内のナショナリズムに迎合するのは、韓国の政治家としては毎度のこと。

しかも、ナショナリズムと一口にいっても、韓国の場合、他のアジア諸国のように戦って独立を勝ち取ったわけでもなく、そのくせ自民族優越思想というレイシズムに冒されているので、他に例がないほど病的な様相を呈している。

その権化としか言いようのない、しかも歴代大統領と違い一切日本と関わった経験のない男が大統領になる。たぶん、ムンの頭の中では最初から日本が「敵」だろう。

もともと、2012年8月10日、時の李明博大統領が竹島に上陸して、その直後に天皇陛下を侮辱する演説をした時から、日韓関係は終わっていた。

国際常識では、侵略国家側の元首が、強奪した隣国の領土に立って、被害国側の元首を公然と侮辱すれば、戦争を挑発したも同じである。

だから、本来、この時点で関係が終わってもおかしくなかった。

ところが、まだ現実を直視できない日本人が、朴クネなる人物に望みをかけてしまった。だが、案の定、彼女は就任開始から全力で反日政策をやった。

で、今度もまた反日大統領というわけだ。これで五代続けてか。

というわけで、日韓関係は今度こそ終わり。間違いない。

今の時代、そう易々と国交断絶とか、ましてや戦争なんかできないから、おそらく日韓関係は「事実上の国交断絶状態」へと向かっていくのではないだろうか。

「親中従北」ムン政権はアメリカと決裂する可能性も

さて、他方、米韓関係も「今度こそ」という感じがする。

つい最近、米韓軍が「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備を大幅に前倒しした。四月中には運用というから、新政権誕生前に既成事実を作っておく試みらしい。

そして、今年の米韓合同軍事演習がとうとう始まった。これが4月末まで続く。もしかすると、「作戦計画5015」を運用しつつ、そのまま挑発ないし偶発的衝突から、北朝鮮の核・ミサイル施設への空爆・開戦へと持ち込むつもりなのかもしれない。

このように「韓国軍部」のほうは極めてアメリカと親しい。

言ったように、金正恩は「従北」の次期韓国政権の誕生に一途の望みを託しているから、演習期間中、ずっと挑発にも耐え抜く可能性がある。

すると、やはり開戦前に文在寅(ムン・ジェイン)政権が誕生する形になる。

彼はずっと「THAADの配備延期」を訴えてきた。「従北派」としては当然だし、またそれは中国に対する「関係改善の条件」でもある。

他方で、アメリカにとって、「THAADの配備」は、これまでの韓国不審を乗り越えてなんとか合意に漕ぎ着けたもので、いわば「米韓関係の最後の絆」のようなもの。だから、ムン政権がこの約束を反故にすれば、一挙に在韓米軍(とくに地上部隊)撤退の流れになる。換言すれば、アメリカが韓国をついに見捨てるということ。

そして、私は以前から「在韓米軍が撤退する流れになったら、開戦手段がアチソンライン方式に切り替わるだろう」という仮説を唱えてきた。

しかし、ここに至って「もう一つのシナリオ」が見えてきた。

「韓国の内部闘争激化→外部勢力を引き込み→第二次朝鮮戦争」のシナリオ

ムン政権は北朝鮮・中国との関係改善を訴えてきた。だから、THAADの配備問題では、中朝と米国の間で板ばさみになる。しかし、これは外交だけでなく、国内的にも「親米派」や「保守派」との間で板ばさみに合う構図である。

だから、これから韓国はいっそう内部分裂を深めていくかもしれない。

しかも、中国はともかくとして、北朝鮮に事実上従属する事態は、たとえ一部の政治家や知識人や民衆が望んでも、財閥と軍部が絶対に反対する。なぜなら、彼らにとって、西側の資本とその守護神の米軍が撤退することは、そのカウンターたる自分たちの終わりを意味するからだ。だから、韓国の「総資本・軍部」が徹底的に抵抗していく。

怖いのは、今の韓国社会の空気からして、彼らのほうがやや劣勢であることだ。それゆえ在韓米軍の撤退直前に、自分たちの内部闘争に外部勢力を引きずり込もうとするかもしれない。つまり、韓国版「いつか来た道」である。

具体的には、保守派・資本家・軍部などが、国内のムン政権・親北派・左派・そのバックにいる北朝鮮などの勢力に勝利するためには、もはや外国の力を使うしかないと考えることだ。彼ら的には北朝鮮は「外敵」というよりも「同じ民族内部の敵」だろう。

つまり、事態の一挙打開策を第二次朝鮮戦争に求めるということ。こうして日米を利用して、他人の力で、自分たちの敵をまとめて処断しよう、という魂胆である。

だから、保守派・資本サイドと裏で通じた軍部が、文民政府に逆らって勝手に北朝鮮を攻撃する可能性もありえる。そして両軍の大規模衝突に発展すれば、グアムや在日米軍に救援要請を出す、というわけだ。もしかすると、米韓軍幹部の親密度からして、裏ですでに話が付いている可能性もある。

歴史的にいえば、韓国の権力者層は、内部闘争が激化した場合、常にこの種の誘惑に駆られてきた。それに利用されてきた周辺大国こそいい迷惑である。

(フリーランスライター・山田高明 個人サイト「フリー座」 )