総務省にて、青少年安心安全インターネット利用環境タスクフォースが開催されました。
ぼくが主査を務める会議で、内閣府、文科省のほか、安心ネット促進協、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構EMA、メルチメディア振興センター、電気通信事業者協会TCA、テレコムサービス協会、教育関係者、弁護士などが参加しています。
安心ネット対策は2008年ごろから本格化し、ぼくも世話人として安心ネット協を立ち上げたり、EMAの理事を務めたりしてきました。フィルタリング対策などによりガラケーでの不安はかなり低下したのですが、スマホに移行することで新たな問題が生じ、新たな対策を講じています。
実態に合った使いやすいフィルタリングの実施、情報リテラシー教育強化策、保護者対策、ケータイ販売店対策等がテーマとなっています。
高校生の保護者は、Facebook、twitter、ニコ動、LINE、YouTubeいずれも許容度が高いが、小学生の保護者はFacebook、twitter、ニコ動の許容度が低いそうです。ただこれまでフェイスブックは小学生~高校生を一律で扱ってきました。
フィルタリング対策は、安心協、EMA、TCAが共同検討を続けています。安全性・利便性のバランスを取り、SNSを使いたいというニーズに合わせた新しいフィルタリングの仕組みを開発中です。
これを受け、TCA=通信キャリアは、各キャリアのフィルタリングのサービス名称やアイコン・アプリを統一するとともに、新しいフィルタリングサービスを提供する方針。業界としての努力を見せています。このタスクフォースの大きな成果だと考えます。
ただ、iOSやAndroidのOSレベルの対応が必要となってきます。AppleやGoogleとの調整もポイントとなる点がガラケー時代との違いです。SIMフリーやMVNOをどうするかも新たな課題となっています。
安心協はリテラシー教材を整理し、プラットフォームを構築するとともに、保護者向けの啓発を強化する方針。マルチメディア振興センターは、ネット安心講座eネットキャラバンを講師3000人規模で推進、これまでの受講者は230万人に上ります。がんばってます。
ケータイ販売店の団体、全携協の治良事務局長によれば、店頭でのフィルタリング説明に時間がかかり、対応が不可能になっているとのこと。リテラシーやフィルタリングの認識を事前に持っておいてもらうことが重要と指摘。同意します。
森亮二弁護士は、学校でのフィルタリング推奨・義務付けを行えば効果が格段に高まるというデータに基づき、学校との連携強化を求めました。同意します。
これまで情報リテラシー教育策と教育情報化策は別々に進められてきましたが、デジタル教科書の制度化など教育情報化が本格化するに際し、これらを総合的に推進する必要性が高まっています。超党派の国会議員による議連が進める教育情報化推進基本法にも、リテラシー教育強化の項目が盛り込まれています。
デジタル教科書教材協議会DiTTも情報リテラシー教育対応を強める方針としています。情報リテラシー教育と教育情報化の関係者が連携を深め、総合対策を採っていくべき。改めて、あれこれ提案してまいります。よろしく!
編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2017年3月16日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は写真ACより)。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。