森友学園の「寄付」は籠池理事長の自作自演

2017年03月18日 10:40

森友学園の話はますます奇怪な展開になってきたので、経緯を簡単に整理しておこう。籠池理事長は「安倍首相が昭恵夫人を通じて森友学園に100万円寄付した」というが、官房長官が「首相も夫人も寄付していない」と否定した。菅野完氏はその「物証」を入手したと称しているが、この話には疑問が多い。


籠池氏によると、この100万の寄付金が安倍昭恵夫人から手渡されたのは、2015年9月5日土曜日。メディアに何度も登場した「安倍昭恵氏が瑞穂の国記念小学院」の名誉校長に就任した、あの講演会が行われた日だ。

「昭恵さんから、封筒に入った札束を、『これ、主人から』と言われた。」
「領収書は?と聞いたら『いや、まあ、それは』とおっしゃった。」
「土曜日やし、もっとくの怖いし、我慢せなしゃない。月曜日に自分らで入金した」
「ようわからんようになるから、安倍晋三名義で入金しようとしたけど、会計の人に止められたんで、森友学園の名義で入金した」


「昭恵さんが封筒に入った札束を渡した」というが、なぜ学校法人への寄付を大阪まで現金で持って行ったのか。東京で振り込めばいい。100万円の大金を「これ、主人から」というだけで、領収書も取らないのか。首相側の税務処理はどうなっているのか。

毎日新聞は「長女によると、安倍首相の名前で振り込もうとしたが、郵便局で保管する取扱票の左側部分に森友学園と書かれており、名義が一致しないとして受け付けられなかった」と報じている。つまりこれは籠池氏の長女が学園あてに振り込んだ筆跡で、昭恵さんからの寄付だという証拠は何もない。

「会計の人に止められた」というが、そもそも自分で自分に振り込むのがおかしい。郵便局に森友学園の口座があるのだから、そこに入金すればいい。修正テープの上に「淀川新北野郵便局長」という押印があるので、これは長女が「安倍晋三」名義で偽装入金しようとしたが郵便局が受け付けなかったものと思われる。事実は次のように推定するしかない。

  1. 籠池氏が昭恵さんの講演料として9月5日に100万円を持参した。
  2. 昭恵さんが講演料を辞退した(?)
  3. 籠池氏がこれを「安倍首相からの寄付」として7日に自分あてに振り込もうとした。
  4. 郵便局が受理しなかったので、自分の名義で振り込んだ。

このうち1と3・4は確認できるが、2は不明だ。入金は「森友学園から森友学園への寄付」として名簿に残されており、昭恵さんの名前は出ていない。彼女は「寄付した記憶は全くない」と話しており、講演に同行した政府職員も「寄付をするような場面はなかった」と証言しているという。もし彼女が寄付したとしても、何の違法性もない。もちろん首相とは無関係である。

要するにこれは、籠池氏が入金記録をつくるために自分あてに100万円振り込んだという証拠でしかない。こういう手口は詐欺によくあり、他人名義で自分あてに振り込むことは可能だが、この場合は首相なので郵便局が受け付けなかったのだろう。「安倍晋三記念小学校」を認めてもらうためにいろいろな手を使ったのだろうが、籠池氏の「首相の寄付だ」という話には何も裏づけがない。国会で同じことを証言したら、偽証罪に問われるだろう。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 青山学院大学非常勤講師 学術博士(慶應義塾大学)

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