音喜多先生に送る言葉

宇佐美 典也

一昨日の百条委員会を受けて永田町方面から「昨日で流れが変わるだろう。音喜多先生の政治生命は終わったな。」というような趣旨のメールがなぜか私にいくつか送られて来まして、実際twitter界隈を見ると彼の評判がひどいことになっているので少し思うところをまとめます。

前に一度音喜多先生について書いた時に 、私と彼との関係性については「仲が良くない同級生」と例えましたが、それは今も変わりません。そんなわけでこんなところで私が何か彼に意見しようが、彼が聞き入れる可能性は非常に低いのですが、まぁそれでも私なりに彼について思うことを以下書き連ねます。

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① まず音喜多先生がネット界隈から批判を受けるのは自業自得ではあると思います。都民ファーストの会幹事長就任以降、彼の豊洲問題に関する立ち位置が定まらず、まるで小池知事の大本営・腰巾着”と化して移転延期の正当性を主張しているので、移転推進派を中心とする従来の彼の支持層が「信念を曲げた」とフラストレーションを貯めるのは致し方ないところでしょう。

② また政策面においても「音喜多先生が何をしたいのか」ということが相変わらずよくわかりません。なので正直私から見ると、都政をかき回して混乱を作り、そのキーマンとなることで自身がのし上がるための機会を無理やり作っているようにしか見えません。

③ そもそも音喜多先生は舛添知事を徹底的に吊るし上げ、確たる証拠もないまま内田茂都議を「都議会のドン」と貶めて今の地位を作ったのであり、今回百条委員会で石原慎太郎元知事を吊るし上げようとしてそれに失敗した以上、これら大物と違って批判するだけで実績の乏しい音喜多先生自身が批判の対象となっても仕方ない立場ではあると思います。

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とまぁ一言で言えば「信念がない、政策がない、実績がない」と苦言を呈しましたが、こんなことは私が指摘しなくても、彼自身よくわかっていることだと思います。問題は「これからどうするか?」ということなのだと思います。私自身は今後以下のような行動をとることで、上にあげたような評価を音喜多先生自身が覆してくれることを期待しています。

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①まず音喜多先生には「小池知事に対してきちんと物を言える」ということを示して欲しいところです。例えば、現在専門家会議の場においてモニタリングデータの悪質な事前リークが問題視されていますが、この件について小池知事の責任をきちんと追及する、という役割を果たして欲しいと思います。

②続いて音喜多先生には「政治家として、具体的に、一体何がしたいのか?」ということをしっかりと政策としてまとめ上げて欲しいところです。この点、これまでのようにブログであっちやこっちに口を突っ込むのではなく「豊洲・築地市場移転問題を具体的にどのように解決するのか?」ということを示して欲しいと思います。例えば、豊洲の「安全・安心」を都として宣言するためにはどのような要件を果たせばよいのか、具体的な指標を示して欲しいところです。なおこの点別途まとめますが、私自身としては「安心」を「将来的なリスクへの対処方針が示されていること」と捉えて、「A.P1.8m以下まで地下水位が低下する見通しが立つこと」を具体的な要件とすべきと考えています。

③最後に、音喜多先生はこれ以上誰かを批判して名を上げようとする行為を控え、残りの任期で確実な実績を一つあげて欲しいところです。これまでもDenaのwelq問題の追求などに関して実績を上げているところですが、建設的な意味において確実な実績があっても良いと思います。この点、彼自身がまさに当事者である育児政策などについて、予算を通すとともに、それを利用者に使いやすくするためのネットを通したユーザーフレンドリーな広報チャネルの拡大の取り組みを政策当局に確約させて欲しいところです。この点はまさにマーケティングを専門とする彼が得意とするところでしょう。役所というのは得てして予算をつけた段階で満足して、それを利用するユーザーのことを考えない傾向がありますから、この点に関して都議会議員が情報を追って改善をしつこく要求することは非常に重要です。

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さて最後になぜこのような記事を書いたのか、ということなのですが、私自身ここで彼が政治家として自らの力と意志で自分のポジションを立て直さなければ、もう彼の政治生命はないと思っているからです。冒頭の「音喜多先生の政治生命は終わった」というメールは永田町のかなり中枢から寄せられたものです。前にも指摘しましたが、音喜多先生は敵ばかり作って来たので、ピンチに陥った時に助けてくれる味方はほとんどいません。今彼が自ら自分自身のポジションを立て直して、古い言い方ですが「男を見せなければ」、彼は政治のプロの間で”小池知事の腰巾着”として見なされ日の目を見ることはなくなるでしょう。

私は音喜多先生のことを友達とは思っていませんし、彼も私のことを友達とは思っていないと思いますが、私としても数年近くにいた身として多少の情はあります。なんとか立ち直って欲しいと願うところです。

ではでは今回はこの辺で。


編集部より:このブログは「宇佐美典也のblog」2017年3月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は宇佐美典也のblogをご覧ください。