「胎内記憶」を表現するとこんな感じになるという話

2017年03月27日 06:00

写真は参考書籍書影

高円寺にポエムピースという出版社がある。社長の松﨑義行氏は、大手出版社の経営にたずさわった経歴をもち業界に精通している。アイデアに富んでいて切り口が斬新なことにいつも驚かされる。今回紹介する書籍は、「胎内記憶」の記憶をもつ子どもにインタビューをして絵にしたものである。通常なら考えもつかない手法だろう。

さて、皆さまは「胎内記憶」という言葉をご存知だろうか。妊娠中の赤ちゃんが、様々なことを覚えている時の記憶のことである。少なくとも、大人になり、赤ちゃんの記憶など、すっかり抜け落ちている人にとってはにわかに信じがたいことかも知れない。

胎内記憶の研究の第一人者である池川明医師(医学博士。池川クリニック院長)が行なった調査によると、赤ちゃんの3人に1人が「胎内記憶」を持っているともいわれている。※『胎内記憶』(池川明著)に詳しい調査結果が紹介されている。

著者は、ひだのかな代さん。札幌市在住の絵本作家、イラストレーターである。けんぶち絵本の里大賞びばからす賞を2度受賞するなど受賞歴が多数ある。全道各地で講演をおこない、AIR-G’ FM北海道「にこにこぎゅっ」パーソナリティとしても活躍している。

冒頭紹介した、池川明医師も本書作成に協力し次のような言葉を寄せている。「多くの子どもたちから私も実際に聞きました。子どもが覚えている“生まれる前の世界”のお話です」。

ひだのかな代さんが、実際に話を聞き制作し、胎内記憶に関する講演などで映像として流していたものを、各方面からの要望に応えて絵本化したものである。「胎内記憶」という難しいテーマを感じさせない、やわらかい構成で満たされている。おそらく手に取った人は「居心地のよさ」「あたたかさ」を感じるのではないかと思う。

話はかわるが、出版市場は低迷し国内における書籍と雑誌の販売額は減少傾向にある。ピークが1996年(20年前)の2兆6563億円で、昨年度は1兆5200億円程度なので、ピークの約6割程度に落ち込んだことを意味している。

しかし、出版不況といわれながらも出版には根強い人気がある。普通のサラリーマンや主婦の書いた本がベストセラーになるなど、出版のプレゼンスの高さが注目されているのである。昨今では、そのフィールドもかなり多様化している。今回のような新しい切り口の本を見ると、出版は切り口次第だとつくづく思う。

市場は低迷していても、著者や出版社に元気があると可能性を感じさせてくれる。旧パラダイムと新パラダイムが混在する業界。そんな出版業界をいつも魅惑的に感じている。

参考書籍
うまれるまえのおはなし』(ポエムピース)

尾藤克之
コラムニスト

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尾藤 克之
コラムニスト/経営コンサルタント

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