大使と会うのにもったいをつける韓国外交の愚劣

2017年04月07日 20:30

帰任した長嶺駐韓大使(駐韓日本大使館サイトより:編集部)

長嶺駐韓大使が慰安婦像問題が解決していないにもかかわらず帰任したのは、いうまでもなく半島情勢の緊迫がゆえである。別に新大統領が決まってからでもおかしくないのだが、有事の際に大使がいなくては困るから筋ばかりもいっておられない。

ところが、双方の日程がまだ調整されていない段階で長嶺大使が黄大統領代行に面会を申し入れたということを対外的に言及したことに対し、外交部の趙俊赫(チョ・ジュンヒョク)報道官が「外交慣例上、適切でない」として不快感を示し、大統領代行も会おうとしない。

しかし、いま会ってもらえないと困るのは韓国でしょう。日本としては、問題は解決してないが大使を返して、チャンスを与えたのに向こうがそれを活用しないのだから、悪いのは日本ではないとアメリカをはじめ世界にアピールできて結構なことだ。

ウォールストリート・ジャーナルは、「日本が韓国に差し伸べた手  駐韓大使帰任、北朝鮮に対抗するためには歴史問題にとらわれている余裕はない」と題する社説を掲げた。

「日本政府は今年初め、韓国政府がいわゆる慰安婦問題を解決する2015年の日韓合意の条件を履行しなかったことを受け、長嶺氏を韓国から一時帰国させた」と状況を説明し、「日本政府は一時帰国させていた長嶺安政駐韓大使を帰任させる方針を明らかにした。これは日韓双方の安全保障に有益な責任ある決断だ」「こうしたリーダーシップの発揮は韓国側にも内省を促すことになるはずだ」とした。

韓国が浅はかな政治家の虚勢のために道を誤ったの初めてではない。明治維新後、政権の交代を告げた勅書に、天皇とか勅書という言葉を使うのは気にくわないと受け取らなかったことが近代における日韓関係の不幸の始まりだった。相手に無礼を働いてそれを誇ると出世できるというならずものの論理で動くのは150年たっても変わらないようだ。

しかし、日本にとっては、面倒なことが起こっても協力を拒否する口実に使える。紛争が起きたとき、どっちが仕掛けたかがもともとの原因より大事。日本が日韓併合にしても、満州事変や日華事変についても、また、太平洋戦争においても非難されるのは、たとえ、その原因において相手に非があったとしても、先に手を出したのが日本だからだ。

保守派の人のなかには、そこを無視して、日本には責任がないという人が多いが、それは世界で通用しない(もちろん、全面的に日本が悪いというわけではない)。西部劇で喧嘩をするときには手を後ろに組んで相手と対峙する場面がある。手を前に出したら最後、射殺されても文句言えないのだ。

そのあたりが日本人は分かってない。だから、大統領代行が大使に会わないといっているから、外交の失敗だというバカに付ける薬はいまさらない。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学大学院教授

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