わたしの新京都20景(3)

若井 朝彦

わたしの新京都20景(2)
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11/20 世界遺産

CNNが選んだ20枚の写真のうち、ユネスコ登録世界文化遺産からは「金閣寺」「東寺」「清水寺」「醍醐寺」の4つが入選。その記事においても「ここはユネスコ登録済み」「もちろん世界遺産だ」と抜かりなく強調。だが京滋にある17もの世界文化遺産、ほんとうに大切にされているところといったらどこだろう。目先の利に迷って遺産の食いつぶし、といった事例も少なくないのだ。(この写真のみネガフィルムより)

12/20 神像

明治に神仏が分離されたとはいえ、「神も仏も」といった古来の習俗は衰えてはいない。しかし新しい神像仏像も造られて、氏子や檀家の信仰を集める。新しいものが造られることで、古いものにもしかるべき立ち位置が与えられる。

13/20 大学

京都の人口構成の中に一定の割合を占める大学生。マンモス化の過程で、学舎は郊外へ、他県へと拡散したが、近年は都心回帰が顕著。木造町家を借上げるなどし、サテライト教室にするといった例も見られる。北陸新幹線金沢開業以来、京都の大学も危機感が増し、工夫や趣向、また生涯学習の取込みに躍起だ。

14/20 発掘

原初の平安京とはいったいどんなものだったのか。18世紀に藤貞幹(1732-97)と裏松固禅(1736-1804)の名コンビが模索をはじめて以来、今日にいたるまで考古的探究には途切れがない。無用に見えても実に大事な学問ではあるが、資金、人材が今後も十分に供給されるかどうかは心許ない。たいていの場合、発掘現場は工事現場。現状は保存されず資料のみが残る。その多量の資料をAIが読込んで、劃期的な解析結果を京都人に突きつける日が、やがてやってくるかもしれない。

15/20 鳥獣

京都は公園の少ない都市である。たが社寺が緑地を有しており、これでなんとかバランスが保たれている。鳥たちが頼りにしているのは、その飛び飛びにある樹冠や池。しかし150万に近い人口を擁しながら、これほどまでに山に囲まれ、また山に近い都市が他にあるだろうか。ときに珍しい獣が街中に現れるのはそのためだ。

2017/04/10 若井 朝彦
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