わたしの新京都20景(3)
からのつづき・・・
16/20 月
中国ほどではないにしても、日本においても陰暦はまだまだ消滅しそうにない。日程を太陽暦に移行した上に、さらに週末土日に再度移行させられた祭事も少なからずだが、今日が陰暦の何月何日かを知っていると、ふといにしえの京都に出会うことがある。見事な月は仲秋の専売ではない。旅行前の下調べのひと手間が、同行者のサプライズを誘う。
17/20 御所
御所は上京の中心にある。宮内庁管轄の御所と環境省管轄の京都御苑からなり、近年外務省管轄の京都迎賓館がここに割って入った。この迎賓館について、すくなくとも泉下の孝明帝はお喜びではあるまい。御所はその総称であって、京都市民にとってはまず公園であり、通勤通学路であり、ときに遠い皇室をしのぶところでもある。
18/20 仏
意外なことだが、CNNの20選の中には、たった1枚の仏像もなかった。悦楽空間としての京都には仏像は無用だ、ということなのだろうか。それとも単に無関心だったのか。もっとも名立たる仏像の画像を商用利用するとなると、結構な費用を請求される。おそらくCNNは節約をしたのだと思うが、しかし町内にはお地蔵さんがあり、また野に置かれた石仏も京都には無数にあって、これこそが住民庶民の信心の対象。そして写真可である。
19/20 雪
春夏秋冬の最高気温、最低気温を比べると、京都も大阪もそれほどちがいがない。ただ冬の午前の冷え具合はきびしい。盆地の底に三山から滑り落ちてきた冷気が溜り、最高気温の出現が午後遅くになるからだ。しかし雪は滅多に降らない。雪がほとんどない、風情のない、寒いだけの冬になることも近年多い。
20/20 四条
京都で繁華街というと、それは河原町のことであった。しかしバブル崩壊後、金融街の烏丸が整理されて、おしゃれな新規出店はそっちに増えた。しかししばらくすると河原町への出店のハードルは下がりはじめ、このごろではこちらに面白い店がチラホラだ。河原町と烏丸、そのシーソーゲームを東西で結ぶ四条の現状はどうなのか。わざわざ交通流入を制限する改造をやったことと、大丸、高島屋といったデパートが振るわないために、現在いささか貧血状態のようだ。
2017/04/11 若井 朝彦
わたしの新京都20景(4)