小池知事ブレーン 小島氏は“自分ファースト”

川松 真一朗

市場問題PTの小島座長(都庁サイトより:編集部)

東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少)です。

突然の発表

またしても、小池知事ブレーンから無責任な発言がなされました。

(時事通信より)
東京都の築地市場(中央区)から豊洲市場(江東区)への移転問題で、市場問題プロジェクトチーム(PT)座長の小島敏郎氏ら都専門委員は8日、築地市場で関係者に築地改修と豊洲移転の2案を説明した。築地改修案では約730億円を投じ、豊洲市場を高層マンションや商業施設用地として4370億円で売却できると試算した。

売却益は、豊洲整備関連で発行した地方債の返済などに充てる。豊洲市場の解体費用は約150億円を見込む。築地市場は7年かけて段階的に改修。営業しながら工事を進めることは可能だという。

一方、豊洲移転案の場合、開場後の運営で年間約27億円の赤字が生じるほか、将来的に使用料の値上げや税金投入などを迫られると指摘した。提示した案は、5月にPTがまとめる報告書に反映させる。(2017/04/08-20:12)

小島座長に業界は反発

先週末に東京都の専門委員という立場として、市場問題PTの小島座長が築地業界の皆さんの意見を聞くという場を設けました。しかしながら、このヒアリングに先立ち、市場6団体のうち5団体が小島座長の築地再整備案に反対する立場から会見。

東京都水産物卸売業者協会・伊藤裕康会長「市場を知らない人がこんなことを書くんですよ。だから私はかんかんなんですよ。ふざけるんじゃない!」

築地東京青果物商業協同組合・泉未紀夫理事長「散々振り回された30年間。できもしないことで、これ以上業界を惑わしてほしくない」

そんな状況でも、自身の持論を堂々と述べられる小島座長の感覚は私にはありません。

築地再整備案が現場無視なのは、私以外も指摘している所です。これはこれで問題も多く、私の調査が済んだ段階で、座長案には意見を述べます。

4370億円で売却の意味は

そこで、今日は座長が示された「豊洲は4370億円で売却」という考え方です。小池知事や公明、共産、都民ファーストといった知事与党連合が中心となり世論を喚起し設置となった百条委員会のテーマの1つは東京都の土地取得の経緯です。この中で、東京ガスに不当な利益を与えるような高い価格で買い取ったのではないかなども言われておりました。土壌汚染対策費も必要だったのかと。

んっ?ちょっと冷静に。

ガス工場跡地の購入費用は1859億円。瑕疵担保がどうだこうだと議論されて結局は法規に基づけば正しかったと認定できる契約の東ガス負担78億円含む土壌汚染対策費860億円。
この2つを足すと、2719億円になります。

いいですか。

2719億円の費用を使ってきた土地が、今はなんと4370億円で売却できるだろうという小島座長の考え方を踏まえれば、小島座長は図らずも(なのか分かりませんが)東ガスとの交渉も不当ではなかったと認めたようなものです。汚染対策費も無駄ではなく効果があったと示された事になります。だとすれば、百条委員会は何の為に尋問を続けてきたのか?根本部分から話が崩れる事になりますよね。

湾岸地区の高層タワーマンションにはスーパーマーケットなどが併設されているケースが多いのですが、当然、ここでは生鮮食品を扱いますよね?しかも、各家庭でも生鮮食品を口にしますよね。(勿論、お住まいの階はそれぞれですが・・・)

ただ奇抜とも言えるアイデアを打ち込んでくる小島座長です。市場をゼロにするほど市場用地は危険だと認識されているようですから、生鮮食品取扱い出来ないスーパーや、生鮮食品持ち込み禁止のマンションを描いているかもしれません。

自分ファーストが際立つ座長

私は小島座長がどんな思いで今回発表されたのかは分かりませんけれども、余りにも論理破綻している事は間違いありません。私がこの案に納得いかないのは東京ガスへの配慮もゼロだという事です。下記のように書きましたが、もし市場にしないでマンションのような開発事業を行うならば東ガスは自分達でやっていたのです。

( 東京ガス負担額78億円についての妥当性に迫る。2017年3月4日)

【浜渦・東ガス交渉】の鍵握るトヨハルについて。2017年3月13日

小島座長案が進んでいくとすれば、これは東京ガス社は東京都に騙されたと訴えて、新たな百条委員会が設置されるのではないでしょうか。

“小池内閣”は“閣内不一致”か

話がそれました。
あくまでも小池知事が東京都の特別な職務者として任命している小島氏の発想と、知事与党を宣言して豊洲土地取得経緯を問題視してきた議員達にズレがあります。これが内閣ならば「閣内不一致」となります。

時事通信記事の最後にある赤字という表現。

( 【本気で】市場流通を取り戻す戦い。2017年4月9日 )

昨日の記事で指摘した減価償却費込みで金額を示さなかったのは良かった事ですが、この小島座長は市場流通を取り戻すという哲学無しの数字マジックを使っています。例えば、小島座長が言うように、築地再整備案にしても機能強化、市場流通を取り戻すという基本精神は無ければいけません。多分、小島座長にはそういう考えは毛頭ないでしょう。私はこういう姿勢が発言に大きな責任を伴う役職者として余りにも不正義だと思うのです。

明日、東京都議会は「豊洲市場移転問題特別委員会」が開かれます。現時点では、週末の小島座長案は議題に挙がっていないでしょうが、これは議場で時間をかけて小島氏自ら質疑に応えるべきです。

議会での説明責任は

先般の入札契約改悪の時もそうですか、今の知事ブレーン達の行動は正々堂々としていません。なぜ場外でばかり動かれるのか。こういう姿勢については昭和の政治家と揶揄されそうですが、武士の世界観にもないはずです。是非、各特別職に就かれている皆様には議会で私見を述べて頂きたいと思います。

最後になりますが、都議会議長から通知が届きました。内容は「豊洲市場移転問題特別委員」に選任との事です。任期も残りあとわずか、積み残されている諸課題は取り除いて任期を終えたいと強く思う今日この頃です。


編集部より:このブログは東京都議会議員、川松真一朗氏(自民党、墨田区選出)の公式ブログ 2017年4月10日の記事を転載させていただきました(タイトル改稿)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、川松真一朗の「日に日に新たに!!」をご覧ください。