改憲実現なら2020年、戦後リベラルと朝日新聞は衰亡の道へ?

2017年05月04日 06:01

安倍首相の「歴史的決断」を報じた読売の記事。ネットで一報を知った後、ついコンビニで買ってしまった(一部加工してます)

安倍首相が読売新聞のインタビューで憲法改正の目標時期を明言し、その後、憲法改正を求める集会のビデオメッセージの模様を各社が後追い。ついに、とうとう現職首相が憲法改正までのロードマップを設定したのだ。野党がどうとか、小池新党や都議選も絡んだ政局的な観測はまず脇に置いて、この歴史的瞬間への自分自身の受け止め方を備忘録として残しておきたい。

お昼に一報に接したのはネットだった(読売の皆さん、購読してなくてごめんなさい)。「おっ」と驚いたが、すぐに自分の中では消化できなかった。が、夜まで、いろいろ考えるうちに、このロードマップ設定により、一気に事態が動く予感が強くなってきた。すでに集団的自衛権に関しては解釈改憲しちゃってるが、9条以外のどこか一文を変えるだけでも戦後リセットの象徴になる。これで憲法改正が実現なら2020年は文字通り、日本の大転換。これにより、戦後リベラルはやっと滅亡するのではないか。

社民党とか左派労組とか、いかにも戦後リベラルな運動体は、高齢化で元々衰退気味だった。しかし、何よりも彼らの運動の大義であり、一丁目一番地である「護憲」が崩れることで一気に瓦解するのかな、と希望的観測を持つ。リベラルも、すでに駒崎さんや佐々木俊尚氏あたりが何年も前から提起しているように、経済と外交・安保だけは現実的な考えで取り組む若い世代の「強くて優しい、新しいリベラル」へと、さっさと代替わりしたほうが良い。

とはいえ、古いリベラルの皆さんは滅亡が見えてくるから、ここが「死に場所」とばかりに、何が何でも改憲を阻止しようと躍起になるに違いない。もちろん、朝日新聞や毎日新聞、東京新聞等のリベラルメディアも必死の抵抗だ。これから3年間の政局、選挙では、それこそ大坂夏の陣の豊臣方みたいに死にものぐるいで抵抗し、真田勢みたいに決死の戦いを挑んでくる。安倍政権は、森友学園問題は乗り切れそうだが、平時の情報戦も含めて、激烈な戦いになるだろう。

それにしても、昨日は時間が経つにつれ、「あぁ、いよいよ日本も2020年を機に本当に変わるんだな」というある種の感慨がじんわり湧いてきた。それは決して、安倍さんや田母神さんマンセーの人たちのような熱狂的な高揚ではない。むしろ、皆さんのイメージと違って、私は、政治や選挙の現場にいる割には、普段は、あまりそうした感傷的な思いになることはないのだが、憲法という「変わらない日本」の象徴のようなものが変わろうとしていることへのドキドキとワクワク。この先、どうなるのか怖さもあるけど、停滞していた重石が動く気配が見えてきたこと、時代が動くことへの期待感も強い。

2020年を境に、日本の戦後レジームは政治だけじゃなく、経済、社会いろいろなものがリセットされていき、学生時代からウェブをやっていた70年代生まれが社会の中枢を担うようになって、バブル世代までが積み残した宿題を、どんどん壊したり、捨てたり、効率的なものにアップデートしたりと、貪欲に変えていく段階に入るのだろう。

我が古巣・読売新聞のインタビューで総理が“改憲発議”したこともまた、印象深いものがあった。逆に、朝日新聞にとっては発議を許すに至った衝撃も大きいが、現場の記者としては、読売の記事をそのまま書くわけにも行かず、総理本人のコメントも取れずに、ビデオメッセージの模様を報じざるを得ないという屈辱は一生忘れられないだろう。リベラルの運動体と相似形で読者が高齢化。そこにネットの普及があって朝日の新聞事業は先細りしている。そういう中で奮起するのは勝手だが、社内の反安倍勢力が変な方向に闘志を燃やす余り、また“角度を付けた”報道をしなければいいのだけれど。正統派路線で頑張ってください。

それはともかく、改憲試案を出した1994年以降の政治とメディア、そして自分自身の思想遍歴を振り返る機会になって、少しだけこみ上げるものがあった。いやはや、94年当時、読売試案が出たときは、世間では袋叩きにされそうだったらしく(私は2000年入社なので伝聞)、隔世の感がある。

それだけ、90年代前半までは世間のリベラル的な気風が強かった。読売記者→アゴラ編集長という経歴から、リベラルな人たちには今でこそ「新田は昔からタカ派だったのか」と誤解されそうだが、私が千葉の片田舎で子ども時代を過ごした80年代は、教育環境は、左傾化していることも気づかないくらい、戦後リベラルが「スタンダード」だった。小学校の音楽教師は卒業式間際まで「君が代」を教えるのを渋っていたし、高校は東京の下町だったけど、社会の授業では日本国憲法の前文を暗記させられたりなんてこともあった。

詳しいことはまたの機会にしたいが、大学以降、いろんな出版物を読んだり、記者時代に戦後リベラルの偽善性に気づくことも積み重なって、自分の思想が現在地に至る。

安倍さんは、別に持ち上げるつもりじゃないが、これで憲法改正実現なら歴史に残る大宰相になるだろう。少なくとも本丸である憲法改正に勝負をしに行った点で小泉さんは越えたと思う。

ただ、死角はある。放漫財政は限界に達しつつあり、何かの拍子、朝鮮半島有事や首都直下地震で東京が破滅的な事態になれば、財政破綻のリスクが弾けてしまい、2020年を前に改憲どころじゃなくなってしまうかもしれない。有事や地震までがなくても、今週月曜に国債に値がつかなかったことなど、不気味な兆候もある

しかし、いずれにせよ、2020年、憲法が改正されれば、リベラル側も世代交代して多少はまともになるだろう(なってくれないと困るけど)。「9条があれば中国や北朝鮮は攻めてこない」的な宗教論をふりかざすアホが絶滅してくれれば、安全保障論議も現実的で実りあるものになる。今の30代以下は不毛な論争に政治的時間を使わずに済みそうだから羨ましい。

最後に。安倍さんが堂々と改憲日程を明言できたのも、野党第1党党首が「無能な働き者」だったからというのも大きかったと思う。アゴラの編集長としては、まさに二重国籍問題で蓮舫氏の無能ぶりを露呈させてしまったことが、今日に多少なりともつながっていると考えると(悪いのは本人だし、別に自画自賛する気は毛頭ないけど)、「結果責任」をちょっと負ってしまったような気分というか、いろいろ思うところはあります。

※昨晩のツイッター投稿がちょっと反響があったので、それらをベースに加筆しました。ポエム気味で恐縮です。連休中の箸休め的なコラムとしてご容赦いただければ幸いです。

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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