日本の財政の現状をわかりやすく書くとこんな感じです

2017年05月08日 21:26

こんにちは。香川健介です。
アゴラでは「日本は財政破綻するのかどうか?」という大きなテーマのもと、財政や経済に関する記事を連載しています。

さて、前回の記事「ソ連崩壊後のロシア経済は日本の近未来の姿?」では、ソ連崩壊後のロシアの話を紹介しました。

ここからはいよいよ、日本の財政について、いろいろな角度から見ていきます。
財政や経済にあまり詳しくない人でも読めるよう、なるべく丁寧に、わかりやすく説明していこうと思います。

まずは、日本の財政の現状を見てみましょう。

このグラフは、日本政府が抱えている借金の金額の推移です。

この借金は、中央政府のぶんに加え、地方自治体、いわゆる県庁や市役所などの借金の分もあわせたものです。

ぜんぶひっくるめると、2016年度には、合計で1062兆円になります。
日本政府の借金=だいたい1000兆円ちょいだと覚えておいてください。
けっこう大きな金額です。

では、どうしてこんなにたくさん借金があるのでしょうか?
その前にまず、2016年度の日本の予算を見てみましょう。

2016年度の日本の一般会計の予算は96.7兆円です。
一般会計とは、日本政府のメインの予算みたいなものだと考えておいてください。
ざっくり、日本政府の予算=だいたい100兆円くらいだと覚えておいてください。
これもなかなかの金額ですね。

じゃあ毎年100兆円もなんに使ってるんだ? というと、その内訳は次のようになります。

社会保障費:32兆円
国債費:24兆円
地方交付税交付金:15兆円
公共事業:6兆円
文教および科学振興:5兆円
防衛費:5兆円
その他:残り

このうち、本連載でとりあげるのは、社会保障と国債費の2つです。
この、社会保障費の32兆円と、国債費の24兆円という数字は、覚えておいてください。
それ以外の数字は覚えなくてOKです。

では、それぞれについて、説明しましょう。

(1)社会保障費について

社会保障費とは、年金・医療・介護などの支出です。これが予算の中では最大の項目となっています。

では、これが最大の項目となった理由はなんでしょうか?

こたえをひとことで言うと、高齢化です。

日本は高齢化が進んでおり、人口に占めるおじいさん・おばあさんなど、65歳以上の高齢者の割合が増えています。
このグラフは、日本の人口に占める65歳以上の高齢者の割合の推移です。

1950年には人口の5%が高齢者でしたが、2010年には人口の20%以上が高齢者になりました。
ちなみに、直近の2015年だと、日本の人口のおよそ26%が高齢者です。

高齢者は年金をもらうし、病気になりやすいので病院はよく行くし、身体が動きにくくなるので介護サービスもたくさん使います。
そうなると、年金・医療・介護などに、いっぱいお金がかかるようになります。

しかし、これらのお金は高齢者が全額払っているのではありません。

たとえば日本の年金は賦課方式であり、現役世代の人が高齢者に仕送りする形になっています。
医療だったら、本来かかる金額の7割以上は政府が補助しています。
これらのお金の原資は税金や保険料、国債などです。

つまり、政府は高齢者が使う年金や医療介護などのお金を、税金や保険料、国債発行で集めている、ということです。

これらを主に払っているのは、働き盛りの人や子育て世代などの現役世代や、まだ生まれていない人たちなどです。
ですので、高齢者がたくさんお金を使えば使うほど、現役世代の人たちは、税金や保険料を納めることになります

ちなみに、国立社会保障・人口問題研究所の「社会保障費用統計 2014年度版」によると、社会保障給付全体のうち、大体70%くらいの予算が高齢者向けだということがわかっています。

その結果、社会保障にかかるお金は昔は少なかったものの、今は32兆円と、堂々の1位になりました。
この最大の原因は高齢化です。

(2)国債費について

国債費とは、日本政府が発行している日本国債関係の費用です。

いまひとつピンとこない人は、ア○ム・プ○ミス・アイ○ルのようなサラ金でお金を借りる人の姿をイメージしてください。
サラ金でお金を借りると、「○○日までに返します」という誓約書を出します。
そして、借りた額に利子を上乗せして返済することになります。
このサラ金でお金を借りている人の国家版が、日本政府だとイメージしてください。

もちろん、利子はサラ金よりはずっと低いですし、国家の借金である点や、国債の大半が国内で消化されている点などもサラ金とは違います。
ただ、日本政府の借金は1000兆円以上あります。
めちゃくちゃでかい金額なので、利子がすごく低くても、数兆円のお金がかかってしまいます。
この利払いに苦しんでいる点で、サラ金で借りている人と日本政府はよく似ています。

また、国債は償還するときにお金がかかります。
償還は債券の額面金額を返済することです(詳しくは以前私が書いた「国債が売られると金利が上がる直感的な解説」という記事をお読みください)。
直近だと、利子で年10兆円、償還で年14兆円くらいかかっています(この10兆と14兆という数字は覚えなくてOKです)。
この利息と償還をあわせた、国債関係でかかるお金を、国債費と呼びます。直近だと24兆円です。

この社会保障と国債費の2つだけで、一般会計予算の半分以上を占めることになります。(社会保障32兆円+国債費24兆円=56兆円。予算は合計で約100兆円)

日本は、社会保障と、借金の利払いだけで、およそ半分のお金を使っている国だということは知っておいてください。

1ヶ月の収入のうち半分くらいが、利子など借金関係の費用と、家の中にいるおじいちゃん・おばあちゃんのために消えていく家庭を想像してみましょう。これが日本です。

まとめ
・日本の借金は1000兆円以上ある
・日本の年間予算は100兆円くらい
・この100兆円のうち、年金・医療・介護などの社会保障にかかるお金が32兆円と、国債費(借金の利子や償還費)が24兆円。この2つだけで半分以上

次の記事は、「日本政府に膨大な借金を作らせた最大の原因はこれです」になります。よかったらお読みください。

貴重なお時間を割いて本記事を読んでいただき、どうもありがとうございました。
今後もわかりやすい記事をがんばって書いていこうと思いますので、よろしければ私のTwitterFacebookなどをフォローしていただけましたら嬉しいです。更新情報も通知いたします。

なお、この記事は、私が先日出版した本をもとに書かれています。
主に、財政や社会保障の話や、財政破綻が起きる場合のメカニズムや、「個々人が財政破綻にどう対処したらいいか?」などの解説をしています。
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タイトルは、「マネー本っぽくしたほうが、手にとってもらいやすいのでは?」と私が勘違いしたせいで微妙なものになってしまいましたが、内容はまじめなものになっています。
読んだ方からも、「タイトルのせいで人に紹介しづらいが、すごく面白かった」「とてもわかりやすく、勉強になった」などの感想を多数いただいています。
本記事を読んで面白いと思った方は、本のほうも楽しめると思いますので、よかったら、ぜひ読んでいただけましたら幸いです。

また、本記事は内容に間違いがないよう細心の注意を払っておりますが、私がどこか勘違いしている箇所などあるかもしれませんので、もし気づいた方がいらっしゃればご連絡いただけましたら助かります。

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香川 健介
投資家、元中央官庁勤務

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