“ユダヤ理論”で分析。美味いラーメン店が続かない理由

2017年05月08日 06:00

写真は立川氏。Movie Iwjより引用。

「ユダヤ人」と聞いてどのような印象を持つだろうか。「非常に頭が良い」「勤勉で真面目である」「金儲けが上手い」「合理主義」など様々なイメージがあるに違いない。では、彼らの仕事や思考ついてどこまで知っているだろうか。

今回は事業家でIT会社を経営する、立川光昭(以下、立川氏)の近著ユダヤから学んだモノの売り方』(秀和システム)を紹介したい。ユダヤ系の商社に勤務した経験のある立川氏がユダヤ人の仕事振りを詳細に分析している点が興味深い。本書はアゴラ出版道場でもお世話になっている、秀和システムの田中氏が編集を担当している。

ラーメン店の開店で重視すべきもの

――今回は、ユダヤ流のマーケティングを使って仕事に結果を出せるように、実践的な面からビジネスを捉えてみたい。みなさんがこれからラーメン店を始めるとする。日本人なら誰もが大好きなラーメン。それだけに競争の激しい世界でもある。一体どうやれば繁盛店をつくることができるだろうか?

「まず、多くの人が『とにかく日本一美味しいラーメンをつくろう!』と、味で勝負しようと考えるはずです。ラーメン店は日本中どこにでもあります。近隣のライバル店より美味しくなければ、お客さんはやって来ないだろう。ならば、他の店よりも断然美味しいラーメンをつくらなければいけないという発想になります。」(立川氏)

「そのために研究を重ね、修行を積み、コツコツと誰もが『美味い!』と唸るような味を追求していきます。そして修行の甲斐あって著名なラーメン研究家の目にとまり店は大繁盛。これではまるで漫画の世界です」(同)

――試行錯誤をしたにもかかわらず、ようやく開店したお店が、うまくいかないというケースは、じつはかなり多い。なぜだろうか。

「どうしてそうなるのかというと、世の中のほとんどの人は、他店と比較した上で美味しいラーメン店に行くという人ばかりではないからです。そんなことを言うと、ラーメン店を経営されている方に怒られるかもしれませんが、現代は「マズい!」と思わせるラーメンをつくることの方が難しい時代です。」(立川氏)

「製麺工場に連絡をして、『麺をお宅から仕入れますから、レシピを教えてください』といえば、いとも簡単に、美味しいラーメンのつくり方を教えてくれます。原材料もあらゆる種類がそろっていて。秘密にすることのほうが難しいでしょう。」(同)

――味にこだわったところで、お客には微妙な味の違いがわからない。味にこだわり過ぎることは愚の骨頂である。では、繁盛するラーメン店をつくる際に、何が重要になるのだろうか。立川氏は、最も重要なことは「立地」だと答える。ラーメン店に限らず、飲食店を出すにあたって「どこに店を出すか」は、最初に考えなければいけないポイントのようだ。

「『いい場所にお店を出せば必ず儲かる』というわけではありません。ユダヤ流のマーケティングでの考え方は『先にお客さんありき』です。その場所には、どんなお客さんがいるのかを見抜くことが、ラーメン店のように競合がひしめいている業界においては、重要課題になるのです。」(立川氏)

「学生街で学生が多い場所なのか、オフィス街で制服姿のOLがサッとランチを食べに来るような場所なのか。前者であれば濃厚でボリュームがあり廉価なラーメンが好まれるでしょうし、後者であれば、サッパリしてヘルシー、お店の雰囲気も清潔感のあるラーメン屋が好まれるでしょう。」(同)

「ラーメン二郎」は三田だから当たった

――さらに、立川氏は次のように続ける。

「多くのファンを持つラーメン店に、東京は三田の、慶応大学の横で開業した『ラーメン二郎』というお店があります。これは周辺の学生たちの好みとピッタリしていたからです。もし白金の住宅街や、丸の内のオフィス街に1号店を出していたら、現在のような繁盛店になっていたかは疑問です。」(立川氏)

「出店する場所によって、『味を変える必要がある』ということになるわけですが、自分のつくりたい味を極めるより、その場所で、食べに来たお客さんにウケる味を徹底的に研究するべきです。」(同)

――たいていの人は、住み慣れた町で開業しようとするから失敗する。どうしても味にこだわるのであれば,「その味がウケる場所」を探さなくてはいけないようだ。その地域でどんなお店が長く続き、繁盛しているかを研究する。その作業が必要である。

「合理的なユダヤ人がラーメン店をつくるとして、とある地域に行き、『この場所はラーメンではないな』判断したならば、潔く他の飲食店に出店計画を変更してしまうでしょう。別の言い方をすれば、出店したい地域をよく観察した上で、『ここにこういうお店をつくれば確実に売れるだろう』と考えることからはじめるべきなのです。」(立川氏)

――飲食店を開業するなら、つくりたい味より、「その場所にどんなお客さんがいるのか」を見極めなくてはいけない。本書は、ユダヤ人の意思決定方法や、仕事振りを知りたい人には参考になるのではないかと思う。

参考書籍
ユダヤから学んだモノの売り方』(秀和システム)

尾藤克之
コラムニスト

<アゴラ研究所からお知らせ>
―2017年5月6日に開講しました―

第2回アゴラ出版道場は、5月6日(土)に開講しました(隔週土曜、全4回講義)。
次回の出版道場に、1年前にトランプ勝利を予言した、渡瀬裕哉氏が登壇」。

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