受動喫煙防止法案の再考を求む

2017年05月10日 16:00

まずはじめに私は非喫煙者であり、過去にも喫煙習慣がなかったことを記載する。また私は、誰かに禁煙を勧めるつもりもない。喫煙自体は合法であり、タバコも(成人であれば)普通に購入できる嗜好品だ。昨今の研究によって喫煙による健康被害がほぼ明らかとなったが、だからといって強制的に止めさせることはできない。しかし喫煙者が吐き出す煙を吸わされるのは嫌だし、できる限り避けたいと考えている。

さて、現在「受動喫煙防止法」についての論議が続けられている。厚生労働省による原案(たたき台)は、以下のとおり。

受動喫煙防止対策の強化について(基本的な考え方の案):厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000153190.html

ここで気になるのが、

  • サービス業、飲食店、ホテル・旅館(ロビーほか共用部分)等のサービス業施設……原則建物内禁煙(喫煙室設置可)

としている点だ。非喫煙者である私にとって、すべての飲食店が禁煙になったとしても困ることは何もないが……とはいえ、この原案には賛同できない。理由は以下の3点である。

まず第一に、多くの飲食店は個人や企業による私有空間であるということ。喫煙そのものが合法であるにも関わらず、私有空間にまで禁煙を強要するのはさすがにやりすぎだろう。そこは経営者(管理者)の判断が優先されるべきだ。ただし店に入ったあとにわかったのでは遅いので、入店前/予約前に「喫煙可」か「喫煙不可」かがわかるよう法令で徹底させてほしい。

このとき「分煙」という表記を許さず、分煙もまた「喫煙可」として分類・表記させること。非喫煙者であればわかると思うが、分煙にはほとんど意味がない。分煙されていたとしても、タバコの煙は喫煙エリアから禁煙エリアに流れてくるからだ。実体が不明な「分煙」への逃げ道を与えず「喫煙可」と表記させることが重要だ。

こうして店側が「喫煙可」を選んだ場合は、受動喫煙を防止するため20歳未満の入店についても法で禁じること。もちろん客だけでなく従業員についても配慮する必要がある。求人の際は店内(職場)が「喫煙可」か「喫煙不可」であるかを明記させること。採用されたあとにわかったのでは遅いからだ。これらに違反した場合は、営業停止等の厳しい罰則を適用してほしい。

第二に、喫煙者の行き場について。飲食店をすべて禁煙にしたからといって、喫煙者がタバコを吸うのを止めるわけではない。店内で喫煙できなかった喫煙者の多くは、路上やコンビニ前などで食後の一服をすることだろう。私有空間での喫煙を禁じた結果、路上喫煙が増えたのでは本末転倒だ。飲食店を禁煙にすることで喫煙者を路上に追いやるのではなく、むしろ店内に閉じ込めたほうが多くの非喫煙者にとってありがたいのではないかと思うが、どうか。

そして第三。上記のように、本当に必要なのは私有空間での禁煙ではなく、屋外(路上を含む)と公共空間での禁煙である。千代田区や目黒区などいくつかの自治体が路上喫煙禁止条例を制定しているものの、実効についてはいまひとつ。相変わらず歩きタバコを見かけるし、コンビニ前の灰皿には喫煙者が群がっている。まずなすべきは、子供や妊婦、病人がいるかもしれない路上や公共機関・公共施設での完全禁煙であるはずだ。歩きタバコはもちろん、コンビニ前などに灰皿を置くことも法で禁じてほしい。罰金を高くすることで、喫煙者は「喫煙可」の店を利用する→空間的に囲い込まれることになるかもしれない。

まとめよう。私の提案は以下のとおりだ。

  1. 飲食店など個人や企業が管理する閉じた空間は、経営者(管理者)の自由
  2. ただし入店/予約前に「喫煙可」か「喫煙不可」かがわかるようにさせる。分煙は「喫煙可」として表記
  3. 求人に当たっても、職場が「喫煙可」か「喫煙不可」かがわかるようにさせる。分煙は「喫煙可」として表記
  4. 店側が「喫煙可」を選んだ場合は、客・従業員を問わず20歳未満の入店を禁じる
  5. これらに違反した場合は、営業停止等の重い罰則を適用
  6. 屋外(路上を含む)と共有空間は一切喫煙禁止

非喫煙者である私にとって、理想はもちろん全面禁煙だ。可能であるならそうしたい。……が、いますぐ望んでも無理だろう。喫煙率の低下→全面禁煙への流れは、未成年者への教育やタバコの値上げ、禁煙治療などを組み合わせて行う困難な課題である。

現在議論されている受動喫煙防止法案では、喫煙者の居場所を奪い、路上に追いやることになりかねない。これでは逆効果だ。屋外での喫煙を例外なく禁じて罰則を設ける一方、飲食店には「喫煙可」と「喫煙不可」の選択肢を与え、入店前にわかるよう義務付ける。20歳未満の入店も禁じる。喫煙場所を閉じた空間に限定するほうが現実的であり、喫煙者・非喫煙者ともに住みわけが容易になると思う。

もちろん私は「喫煙不可」の店のみを利用するつもりだ。現在の喫煙率は20%程度。非喫煙者の多くが「喫煙不可」の店のみを利用すれば、強制しなくても社会は自然に変わる。

駒沢 丈治
雑誌記者
Twitter@george_komazawa

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