「安倍一強」の潮目は変わった

早川 忠孝

首相官邸サイトより(編集部)

否定すればするほど不信感が増してくるのだが・・・

法律的には何の問題もない、などと開き直っていると、多分傷が大きくなる。

さすがの菅さんもこのピンチから抜け出すのは容易ではない。

表舞台には出ないはずの人がどんどん表舞台に引っ張り出されて、普段は滅多に見せないような顔を見せるようになっている。
裏方に徹していればまず最強の裏方と評価されるだろうが、裏方に徹するはずの人が表舞台に登場するようになると、案外に不格好だ。
何だか変調を来しているようである。

小池潰しの先頭に立っているような印象が出てきた辺りから、おかしくなっている。

特に菅さんが失態を犯したというわけではないだろうが、菅さんの発する言葉がどこか虚ろで説得力に欠けるところがある。

ああ、何か隠しているな。
本当のことは、絶対に言わないつもりだな。

そういう印象が残る。

正直でも誠実でもないと思われてしまうと、もはや誰もその人の話を聞かなくなるものである。

本当のことを言え、などと責め立てられても、菅さんのような立場にいる人は絶対に本当のことは言わないはずだから、本当のことを正直に言え、などといくら責め立ててもまともな答えが返ってくるはずもないことは皆、承知している。
どんなにきつく攻め立てられても、適当にはぐらかしたり、誤魔化してしまうのだろう。

多分、答えが返って来ないので聞いている方が辟易するほどに、最後まで頑強に口を噤むはずである。
残るのは、筆舌に尽くせないほどの大きな不信感である。

菅さんは、まさに今、そういう窮地に追い込まれるつある。
多分、これ以上小池叩きの先頭に立つことは出来なくなるのではないか。

加計学園問題は、森友学園問題より遥かに深刻な問題のように映る。

私の目には、黄信号が点滅しているように見える。
朝日のフェイクニュースだ、などと一蹴できるような問題ではなさそうである。

潮目が変わった

これで民進党への支持が増えるわけではないが、自民党の支持者の中で自民党なり安倍内閣について批判的な眼差しを向ける人が一定程度増えることは確実だ。

当分衆議院の解散・総選挙はないだろうから直ちに政権基盤が揺らぐことはないだろうが、通常国会が終わる頃には自民党がガタガタになっていることは覚悟しておいた方がいい。

折角今年の党大会で党規約の改正を実現し、総裁3選の流れを作ったのに、安倍さんの3選はかなり怪しくなってきた。
石破さんは既に来年の総裁選挙に的を絞って活動を展開し始めているが、岸田さんもそろそろ準備した方がよさそうである。

月は、満ちれば欠ける。

あれ、月が欠け始めたぞ、と思っておられることだ。

これから自民党の派閥の再編が加速度的に進みそうである。
自民党の中で切磋琢磨が行われるようになれば、自民党の国会議員の質も自然と上がってくる。
自民党一強政治、安倍一強体制の中で、自民党の閣僚も自民党の国会議員も相当緩んでいたように思う。

総裁選で鎬を削るようにならないと、自民党は益々弛緩するところだった。

これまで安倍さんや官邸から遠ざけられていた人にもそろそろ日があたる、ということだろうか。
決して悪いことではない。

民進党の皆さんも、そろそろ次に備えられたらいい。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年5月18日の政局関連の記事をまとめて転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。