都議選で「病児保育」はスルーなの?(訂正あり)

2017年06月09日 06:00

写真ACより

先日の記事で、都議選に臨む各党政策で一部を除き、シェアリングエコノミーが低調なことを指摘した頃に、まさにシェアエコ業界でベビーシッターサービスを展開している経沢香保子さんから興味深いメールをもらった。彼女の会社、キッズラインですでに発表しているが、このほど、病児シッターサービスの無料キャンペーンを始めたのだという。

キャンペーンの目的はキッズラインの体験誘導だけでなく、病児保育に関する問題提起という側面もあるようだ。私自身も、ささやかな体験ベースであるが、リリースにもあるように、「病児保育施設が圧倒的に不足しているため、『子供が病気になったら会社に行けない』『子供が病気になったら周囲に迷惑をかける』という不安や不満が、働く女性たちのキャリアの阻害要因」というのは存じている。

もちろん、私は子育て問題は門外漢だし、この問題を書くには、駒崎さんちの“庭”にずかずか入るような気分になってしまうのだが、一応0歳児を育成中で、仕事仲間が「子どもが熱を出したので急いでお迎えに…」的な事態で苦慮している様は、なんども目にしてきた。

経沢さんのメールをきっかけに、そのあたりの“惨状”を調べてみたのだが、財団法人・日本病児保育協会サイトのインフォグラフィックで一目瞭然。下記に引用しておこう。1日10%の児童が必要としていながら、現状2%しか利用できてないというから、後手に回りまくっていることがわかる。駒崎さんがここをフロンティアに選んだ凄さは、アンチ駒崎のアゴラ読者も認めざるを得まい。

日本病児保育協会より http://sickchild-care.jp/other/7729/

各政党は病児保育をどこまで考えているのか?

そういう中で、本日(6月9日)でいよいよ都議選まで二週間。子育て支援の充実は、有権者の政策要望ランキングが毎度のごとくトップクラスに入るものの、そもそもの預け先確保(待機児童問題)に四苦八苦。幸運にも預けている児童が病気になった際のバックアップにまで、政治・行政は目配りしている余裕がないのが実情だ。

実際、各党は都議選に向けて「病児保育」問題をどう考えているのか?自民、都民ファースト、民進、共産、公明、維新、生活者ネット……都議会に現在議席を持つ政党の都議選サイトに出ている公約や政策集を見てみた….すると、どこにも「病児保育」の文字は書いていなかった。(訂正:11:00 と思ったら、おときた幹事長の指摘でよ〜〜〜く見たら、小さい文字で都民ファーストの会は47番目の公約に「病児・病後児保育への支援拡充 」を明記しておりました。失礼しました。参照

ただし、根強い陳情ニーズを反映するように、現職議員のブログでも言及はされていて、議会で質問した人も多い。

このうち、アゴラの“都議会4人衆”に関しては、川松真一朗都議(自民党)のブログで、地元墨田区では、墨東病院で病児保育施設構想が着手したときの話があるし(施設は16年2月に開設)、上田令子都議(都民ファースト、江戸川区)も地元で働く女性の子育て支援団体の活動を長年やってきた中で行政に再三注文はつけてきたようだ。

おときた幹事長(都民ファースト、北区)も、舛添都政時代に病児保育バウチャーを都議会の質問で提言しながら、答弁で撃沈している(ブログより)。まあ、当時は少数野党だったので、相手にされなかったわけだが、今度は与党会派としてどういう取り組みをするのか、特にバウチャー政策に積極的な旧みんなの党支持層の子育て世帯は注目するところだろう。

(そういえば、おときた家の0歳児が熱にかかって選挙前の本人も含めてえらいことになっているようだ。。。奥様も江東区議という夫婦ダブルワークでの病児対応、お見舞い申し上げます)

もう一人、やながせ裕文都議(維新、大田区)のこの問題の見解はネットで見つからなかったものの、維新は公約の中で待機児童に「いま困っている人を救うため」としてベビーシッター助成制度を提案している(東京維新サイトより)。維新が力を入れるシェアリングエコノミーとの視点でいえば、それこそ、経沢さんのキッズラインのようなサービスで、病児保育のスキルを持ったシッターと、困った親御さんとを結びつけることができるわけだから提案する価値はあるだろう。

ただ、全体として個々の議員の問題意識は感じられるが、どこの党も「病児保育」に関して、党派としての打ち出しが弱い。

子育て世代の議員、候補予定者は大胆な政策提案を

ちなみに、維新ばかりを持ち上げるわけではないが、先日、橋下さんの講演を品川まで聴きにいったら、待機児童問題がいつまで経っても解消しない要因の一つとして、維新お家芸の行政制度の問題点を指摘していた。すなわち区政でやるべきことを都政が抱え過ぎいるというのだ。

私は行政の素人なので妥当性の即断はしかねるが、自民や都民ファーストは橋下氏への異論があれば、それを含めて議論してもいいと思う。

ほかにも30、40代の現役子育て世代の議員、候補予定者は、インターネットを使うことも当たり前なわけだから、シェアリングエコノミーのような新しい経済動向も含めた既成概念にとらわれず、現在進行形系で困っている、働く子育て世帯をサポートする政策を提案・論戦してもらいたい。

なお、リベラル政党、特に民進党はITやネットが苦手な傾向にあるが、社会的弱者救済を重視しているのであれば、シングルマザーにすぐに手を差し伸べられることは色々あるはずだ。共産党みたいに一言目に認可保育所設置と叫んだところで、財源、人的資源もろもろ限界はあるのだから、ベビーシッター奨励やシェアリングエコノミーも緊急措置として一考に値するのではないか。「コンクリートから人へ」の理念をここでも活かせるのに、組合との付き合いがあるからか、センスがないからか、工夫を感じられない。

いずれにせよ、都議選は、「小池VS自民都連」の政局的色合いがどうにも強い。早川さんの指摘するように加計学園問題の影響もあって、またも国政ムードの煽りによる妙な熱戦になるのだろうか。共産党に至っては特設サイトの4大重点政策に「憲法」を入れるような、古色蒼然とした「リベラル運動のための選挙」のトーンが強すぎる。

都議選が、国政のための党勢拡大に使われてきたことは事実だが、都民のひとりとしては少なくとも現場レベルでは、目の前の親御さんたちのリアルな声を聞いてほしい。そして「病児保育」についても、しっかり政策論議を交わしてくれたらと思う。

というわけで、あとは専門家の駒崎さんと政治家の皆さんにマイクをお戻しします。

ついでに反面教師的に政局ニュースを考えるために拙著も。
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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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