アニメビジネス・パートナーズフォーラムABPFのシンポ「アニメ、マンガのインバウンド市場」@赤坂。
サンライズ宮河社長、日本アニメーション石川社長(日本動画協会理事長)、アニプレックス植田会長、TokyoOtakuMode坂入さん、ビリビリ安倍さん、秋葉原観光推進協会泉さん、JETRO北川さんと。ぼくが司会です。
ABPFはアニメ業界と他の業界とのマッチングを進め、アウトバウンド(対外進出)・インバウンド(海外からの購買増加)の双方を広げる動画協会の試みで、デジタル特区CiPも協力しています。
政府は訪日外国人2000万人を2000年に4000万人に倍増させる方針です。現在、旅行消費額は3.5兆円。それを8兆円に拡大するという鼻息。アニメ・マンガはそこにどう乗るか。これがテーマです。
現在、アニメ・マンガ・キャラクターは売上314億円で、旅行客の13%が買っています。とはいえ全体消費の1/100。ファッションの1/10の規模にすぎません。うち中国人の消費は96億円で、1/3を占めています。これをどう読みましょうか。
泉さんは、秋葉原が家電の街からポップカルチャーの街に変化し、外国人の目当てもポップカルチャーに移行しているが、外国人向けビジネス、つまりインバウンドの本格化まだはこれからとみます。
ビジネスを提供する宮河さん、植田さん、石川さんともに、アニメ・マンガのアウトバウンドには力を入れていて、成果を上げているが、インバウンドはこれからとのこと。期待しましょう。
ガンプラの4割が海外向けで、インバウンド消費を含めると、全体の5割が外人による消費だそうです。アウトバウンドで海外に売るほど、国内でも外国人が買うという構図。アウトバウンドとインバウンドは地続き一体なんですね。
(ところで宮河さんは、ラブライブ!のライブビューイングを中国、シンガポール、タイ、オーストラリアなど30館でやったんですって。ラブライブ!サンシャイン!!は北米を攻めるんですって。)
石川さんによれば、ちびまる子ちゃんの海外向け人気商品には、こたつ、乳酸飲料、ランドセル、フェイスパックなんてものがあるんですと。へぇ~。海外需要は海外に聞かないとわかりませんね・・・
中国で日本のアニメ・マンガを紹介するビリビリの安倍さんは、中国人観光客はリピーターが増えて団体客から個人客に移っていること、日本でしか変えないものを追求すること、「体験型」旅行を欲していることを指摘します。このあたりにヒントがありそうです。
ポップカルチャーの海外人気が定着し、アウトバウンド展開に業界は努力を続けてきましたが、インバウンドがこれから大きなチャンスということで一致するようです。他産業の状況をみると、アニメ・マンガにも潜在力がありそうです。今後ABPFの場でそのチャンスを深掘りしてみようと思います。よろしく。
編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2017年6月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。