進次郎氏以外は“オウンゴール”自民党国会議員の応援演説

問題発言で足を引っ張った格好の稲田防衛相(Wikipedia:編集部)

どうも候補者本人に存分に語ってもらう方がよさそうである。

あくまで、自民党の候補者に限っての話だが。

今の状況では誰も立ち止まって聞いてくれないかも知れないが、それでも他人のせいで思うように票が獲得できなかった、と嘆くよりは、自分自身で精一杯戦った、という満足感が残る方がいい。

おそらく前回の選挙より3割方得票は減るだろうが、それが現時点での自分の実力だと思えばどんな結果をも受け容れられるはずだ。

舌禍事件を起こしそうな人の応援演説は反って票を減らすことにもなりかねないから、期待しないことだ。
自民党の国会議員が駆けつけてきても、自民党の都議会議員選挙の候補者の得票が増える要素が一つもない。

都知事である小池さんとの対決姿勢を強調したために、反って自民党の候補者の方々は結果的に政策実現能力を喪失することになってしまった。

地元の様々な課題を都政の中で解決する力がある、というのが自民党の都議会議員の最大の売りだったはずだが、小池さんの足を引っ張る以上の役割を果たせそうにない、ということになると、様々な課題を抱えている地元の方々はどうしても都知事である小池さんに声を届けやすそうな人を選ぶようになるはずだ。

少なくとも、当分の間は小池都政が続く。
自民党都連は、どうも選挙戦略を誤ってしまったようだ。
知事を追い落とせるような政治状況であれば、野党として徹底抗戦を続ける、という作戦もあっただろうが、この度の選挙が終わればますます小池さんの政治基盤は強化される、と見ておくのが普通のはずである。

最近の自民党は国政でも次から次へと失策を重ねてきているようだが、この度の都議会議員選挙でもどうやら大きな失敗をしてしまったようである。

頭に血が上り過ぎて、冷静に情勢分析が出来なかったんでしょうね。

小泉進次郎氏の応援演説を除き、自民党の閣僚や国会議員の応援演説はオウンゴールになりそうだ、ということを申し上げておく。

自民党に起死回生の一手はあるか

ああ、何も手がないことが確定したな、というのが私の率直な感想である。

小池さんに対するネガティブキャンペーンがある程度成功し始めたような印象があったのだが、本番になったら自民党の側にだけ大きなミスが続いて、小池さん陣営の方は日を追って勢いを増している。

当初は如何にも頼りなさそうで、演説もちょっと心もとないな、と思われていた都民ファーストの候補者がどんどん成長を遂げており、逞しさを増している。明らかにスタッフが足りないな、と思っていた人も今はしっかり選挙戦を戦っている。

小池さんが応援に入ると情勢が一気に好転するのだから、小池さんの力は実に大きい。

若狭さんがこまめにあちこちの候補者の応援演説に走り回っているから、都民ファーストの候補者は着実にポイントを稼いでいると言っていいだろう。

長島昭久の応援も実に有効である。
長島氏はあくまで特定地域の特定候補者の応援だけに留まっているようだが、若狭氏と長島氏の二人の国会議員が都民ファーストの候補者のために走り回っている、ということの効果が少しづつ上がってきている。

地元の区議会議員の方々もあちこちでマイクを握っておられるようだから、都民ファーストの候補者はこの度の選挙戦を通じて少しづつ自分の選挙基盤を固めてきているといいだろう。
まだ盤石とは言えないが、とにかく足がかりが出来た、というのはありがたいことである。

一方の自民党の方は、元々強固な地盤があったはずだが、元々あった地盤を固めるのが精一杯で、新しく支持者を獲得したような風がない。

守りの選挙になってしまっているから、残された3日間で現在の厳しい選挙情勢を引っ繰り返せるはずがない。
エースの小泉進次郎氏を今日投入したようだが、特別の反応がないようだ。
小泉進次郎氏以上のスターは自民党にはいないのだから、もう大勢は決したということである。

起死回生の一手がない時の選挙は、地道に自分の支持者を固めるしかない。

自民党から複数の候補者が立っている選挙区では身内で票の取り合いをするしかないが、これは仕方がないことである。水面下でさぞ壮絶なサバイバルゲームを展開しているのだろうな、と思うが、止むを得ないだろう。なにしろ、そこにしか票はないのだから。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年6月28日の都議選関連記事をまとめて転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。