稲田氏は不適任だが罷免は×・地方選とも関係ない

2017年06月30日 10:00

自民党サイトより

稲田発言は法律家としてありえない「おとぼけ」。抜擢されたものの、ちょっと能力と経験からして荷が重すぎたという感じだ。期待に押しつぶされて最初からスランプになって立ち直れてない。その意味では安倍首相の任命責任も問われるべきだろう。

私は女性登用は結構なことだが、下から経験ある人材を積み上げていくことの方が大事で、首長や閣僚などTOPに経験のない人物を充てることを優先しすぎだと思う。

稲田氏については、早く内閣改造して解放してあげたほうが本人のためだ。しかし、自衛隊に自民党への投票を具体的に働きかけたとか、選挙に自衛隊を使ったわけでなし、選挙演説のなかでの失言に過ぎない。防衛大臣を演説のなかでの言葉尻を捉えて辞めさせるのは馬鹿げている。

ただ、外相とか国防相などを個別発言を理由に更迭するのは止めた方が良い。それをやると外国にとって忌避したい大臣を辞めさせたいなら、揚げ足を取って交代させられる誘惑を与えてしまうからだ。特に、憲法との関係などまったく国内問題なのだから、それを理由に外国政府や外国人にとやかくいわれることは厳しく排除しなければならない。

また、地方選挙において、政府への不満を投票材料にするのは実に馬鹿げている。地方選挙はその地域の行方を決める大事な機会だ。とくに、国会と違って解散も原則ない。たとえ安倍一強が不満だとしても代わりに小池一強を補強するのは見当違いだし、蓮舫さんが二重国籍だからといっていないわけでもない民進党の実績ある立派な議員を落とす理由にするのもいかがなものかと思う。

過去にも全国の注目度の高い地方選挙の前後になると、地方選の候補者を攻撃すると選挙妨害になるので、かわりに、国政関係者のスキャンダルを材料にキャンペーンをマスコミがはることがあったが、余り感心したことではない。

ついでに、蓮舫さんの二重国籍を問題にするなら、稲田発言は同じように問題なのかといえば、法的に許されない二重国籍を確信犯で犯して、しかもいまだもって解消したことの証拠を示さないまま首相になりたいというのとは、比較の対象にならない。

韓国で外相候補の娘が合法的な二重国籍であるだけで不適切といわれたりしたり、台湾で国会議員が免職になったことと比べても日本人は国籍のような問題に甘すぎる。インドネシアやフィリピンの大臣も罷免された。欧米では歴史的経緯から二重国籍を許していることが多いが、それだって、好ましいとされているわけでないし、従来は兵役をどこで果たすかということで忠誠の対象がはっきりしていたという事情もある。別の機会に論じたいが、これはテロ対策のなかで深刻な悩みになっているのだ。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学大学院教授

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