日銀が“フェイクニュース”を自作自演

2017年07月16日 06:00

Wikipediaより(編集部)

異常な金融政策が生む副産物

米大統領選で、巧みに作られたフェイクニュース(偽情報、ねつ造情報)がネット上を飛び交い、選挙結果を左右したのではないかという問題提起がなされています。ネット上で瞬く間に拡散していくフェイクニュースをどのようチェックし、排除するか。偽情報の発信者、拡散を許すメディアの責任が問われるのは当然だとしても、もっと広義にフェイクニュースをとられる必要があるように思えてきました。

トランプ大統領らしい人物が天敵のCNN記者をぼこぼこ殴りつける映像(加工)がツイッターに流れました。これなどは国家的指導者自身がフェイク情報をねつ造して発信したとされています。トランプ氏は事実でないことを事実として持ち出し、国民を巧みに印象操作する手口を多用しています。何を信じたらよいのか判断が難しい時代になりました。

日本について考えると、日銀が事実上のフェイクニュースを何度も垂れ流してきました。経済目標はなかなか想定通りにいかず、狂っても当事者は免責されることがほとんどです。それをいいことに、黒田総裁はたびたび、フェークニュースの創作者を演じてきたとしかいいようがありません。

日銀の黒田総裁は就任早々、持論の異次元金融緩和策に踏み切り、ファンファーレのように「2年で消費者物価を2%引き上げ、デフレから脱却する」と断言しました。あれから4年、その気配は全くありません。達成できる時期を何度も先送りすることで批判をかわし続け、現在は「2018年度中に達成」としています。それも現実離れしているとの指摘があふれているにもかかわらず、「2%目標」の看板を下ろしません。「目標とは願望のだからフェイクでない」というのでしょうか。

日銀の信頼性の低下を招く

日銀は17年度の物価上昇率を「1.4%」(4月の見通し)としてきました。それをまたまた「1%強」に下方修正するようです。「物価は上がらない方がいい」が庶民感情ですから、文句を言う人は少ないでしょう。問題は先送りするたびに市場に間違った情報(フェイク)を流してきたことになり、中央銀行の信頼性の低下を招くという代償を払っているのです。

総裁の任期はあと1年で切れますから、頭を抱えていることでしょう。貨幣数量説に基づく異次元金融緩和策の効果は、当初から現実離れしているという評価でしたね。膨大な通貨供給をしながら、サプライズによってインフレ心理を劇的に変えれば、インフレが起きるという総裁の予言は1,2年もたたずに外れたことがはっきりしていました。

安倍政権と日銀が合体し、アベノミクスの主軸が異次元緩和(後に長短金利調整付きに変更)でしたから、途中で路線転換できなかったのでしょう。欧米もリーマンショック(08年)後、膨大な量的緩和に踏み切りました。異例の政策は深刻な金融危機に対する緊急避難に限るものです。米国はすでに金利引き上げに踏み切り、正常化(出口)に向かっています。欧州も追随するでしょう。日銀は「2%を達成するまで」にこだわっていますから、出口は語らず、国債を買い続けます。

官製相場による株価2万円もフェイク

私は一連の流れをフェイクニュースか虚構の創作過程とみます。日銀によるフェイクはもっと膨らんでいます。日銀は異次元緩和の一環として、上場投信を17兆円、買っています。株式相場が下がりそうになると、買い出動し、相場を支えています。官製相場と批判され、現在の株価2万円のうち、2000円が実際の実力より押し上げられているとの試算もあります。これも一種のフェイクでしょうか。

日銀審議員が妙なことをいったそうです。「日本の財政に問題はない。国債を日銀が引く受けてくれるから」とか。日銀保有の国債は年末に500兆円に達する見通しです。将来、どうやって償還(出口)いくのか、金利が上昇に転じたら日銀は債務超過に落ちるのではないかが大問題なのに、この委員は何を考えているのでしょうか。

さらに「国としては、財政と金融を一体で考えるべきで、日銀が債務超過に陥っても国として救済できる」という説がしばしば聞かれるようになりました。そうですかね。これもフェイクです。それが事実なら、一切の税金を廃止できます。財政赤字をすべて国債発行で穴埋めすることにし、日銀が全額引き受ける。そんなことは可能でしょうか。そんな国はどこにもありません。これもフェイク情報です。政策当局者のフェイクは特に筋がよくありません。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2017年7月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
中村 仁
ジャーナリスト、元読売新聞記者

アクセスランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事

ページの先頭に戻る↑