トランプ米大統領が寄りつかないホワイトハウス、その価値とは?

トランプ米大統領は、8月4日から”working vacation=働きながらの夏休み”に入りました。基本的には20日にワシントンD.C.へ戻るまで、ニュージャージー州ベッドミンスターに建つ別荘で休暇を楽しむ予定です。そこには、会員制ゴルフクラブ“トランプ・ナショナル・ゴルフ・クラブ”が存在し、入会金は35万ドル(約3,850万円)報道されていますから、衝撃的ですよね。日本の場合は高級ゴルフクラブでも数百万円という話ですから、世界が違います。内装もトランプ・ワールド全開で、豪華絢爛。シャンデリアが煌めき、床には大理石が敷き詰められ、食事は最高級といいますから顧客満足度は申し分なし?

ベッドミンスターのゴルフクラブ。至福の時間を提供してくれるに違いありません。

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(出所:Trump National Gold Club

ちなみに、トランプ米大統領が就任してからゴルフ場に姿を現した回数は7月末までで43回(実際にラウンドを周ったのは21回との説あり)とされています。2期を満了するならば、661ラウンドをまわる計算になるそうです。オバマ前米大統領は2期で333回ですから、倍以上のスピードですね。別の尺度でみると、トランプ米大統領は就任後、22%の時間をゴルフ場に割り当てたことになります。

そのトランプ米大統領といえば、忘れてならないのが5thアベニューにそびえるトランプ・タワーです。最上階を含む3階分を占有し、その不動産価値は1億ドル相当と言われています。ルイ14世時代のスタイルを取り込みつつ、惜しみなく黄金を施した室内は成功者にふさわしい。筆者など、一歩入っただけでクラクラしそうです。

トランプ米大統領にとって、自身の趣味を120%反映した住居や別荘は最高の居心地を提供してくれるのでしょう。そのせいか、トランプ米大統領は週末や休日にホワイトハウスを空けることで知られていますよね?トランプ米大統領の休暇中に改修工事に入る事情もあり、どうもホワイトハウスでは十分寛げない様子。スポーツ・イラストレーティッド誌によると「That White House is a real dump(ホワイトハウスなんてゴミ捨て場だ)」と切り捨てたといいます。ホワイトハウス報道官はこれを否定していましたが、英語の諺“行動は発言より雄弁なり(action speaks louder than words.)”通りの休日の過ごし方をみると、ホワイトハウスがお好みでない様子が伝わってきます。そもそもトランプ米大統領はホワイトハウスから27マイル(43.5㎞)にあるバージニア州にお抱えのクラブを保有しているため、ゴルフのためにNJ州ベッドミンスターやフロリダ州マールアラーゴ遠出しなくてもよいのですから。そこなら、車で約40分もあれば移動できます。

翻って、ホワイトハウスの詳細を探ってみましょう。

ホワイトハウスは1792~1800年にかけて建設され、第2代大統領のジョン・アダムズ以降、歴代のPOTUSはここに居を構えてきました。6階建てで、面積は5万5,000平方フィート(1,546坪)に及びます。不動産価値は2009年から15%上昇し、今では約4億ドルに達し、名実ともにナンバーワン。部屋数は132で32ヵ所の浴室兼化粧室を備え、他に映画館やテニスコート、バスケットコート、プール、パーティー用の広間など娯楽設備が整います。

要人を集めた夕食会の舞台としても、大活躍!

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(出所:U.S. Embassy, Jakarta/Flickr)

大型のクリスタル・シャンデリアが館内をやさしく照らし、床には最高級の絨毯が敷かれ、壁には歴史的な芸術品が掛かり、一度入ったら出るのが惜しくなること間違いありません。大統領や来客が快適に過ごせるよう、執事のほか駐車係、5人のシェフとそのスタッフなどが仕え、至れり尽くせり。もちろんセキュリティ面も充実しており、地対空ミサイルまで揃えます。これだけの設備、人員を抱えるとあって、年間の維持費は計400万ドル也。さすが世界一の国内総生産(GDP)を誇る米国の大統領が住まう場所なだけに、不動産価値だけではなく維持費も桁違いです。

全米一の価値を有するホワイトハウスも、トランプ米大統領のお眼鏡に適わないのでしょうか?富豪の価値というのは、筆者のような凡人には想像できません・・。恐らく、米大統領という激務を消化するにはホワイトハウスから離れた場所でリフレッシュすることが必要なのでしょう。

(カバー写真:Matt Wade/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年8月8日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。