小池知事が「AI(人工知能)だからです」と答えたことには背景が…

音喜多 駿

謎の「AI発言」が飛び出した8月10日の記者会見(Facebook 東京都知事 小池百合子の活動レポート:編集部)

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

一昨日(8月11日)の記者会見にて、市場移転問題の意思決定方法について小池百合子知事が、「AI(人工知能)だからです」と回答したことが話題となっています。

市場移転問題で小池知事「文書として残していない」(テレビ朝日)

以下、「知事の部屋」の記録より該当部分を抜粋。

【記者】毎日新聞の円谷です。(中略)2点目が、豊洲市場の移転問題について、知事が公表した市場と、豊洲と築地と双方に市場機能を残す方針について、財源や運営費など検討した記録が都に残ってないというのが毎日新聞の情報公開請求でも明らかになりまして、最終判断が知事と顧問団による密室で下されて、情報公開という知事の方針に逆行するんじゃないかという指摘もあるんですけれども、知事のご所見をお願いいたします。

【知事】そして、2つ目のご質問でございますけれども、情報というか、文書が不存在であると、それはAIだからです。私があちこち、それぞれ外部の顧問から、それからこれまでの市場のあり方戦略本部、専門家会議、いろいろと考え方を聞いてまいりました。いくら金目がかかるかということについては、関係局長が集まった会議で、既にA案、B案、C案、D案と各種の数字が出てきております。よって、試算については既に公表されているものがあります。

最後の決めはどうかというと、人工知能です。人工知能というのは、つまり政策決定者である私が決めたということでございます。回想録に残すことはできるかと思っておりますが、その最後の決定ということについては、文章としては残しておりません。「政策判断」という、一言で言えばそういうことでございます。

この発言を最初に聞いた時、わたしも「?!」となったのですが、色々と調べてみたらこのコメントに至った「背景」がなんとなく腑に落ちました。

※知事本人などに確認を取ったわけではないため、確証はありません

このAIに至る質問をしたのは毎日新聞の記者さんなのですが、これに先立ちまして先日、知事は毎日新聞社が主催の「AI」などをテーマとするフォーラムにゲスト登壇しておりました。

「IoT、AIと言えば東京…」小池氏も熱く(毎日新聞)

つまり、この毎日新聞のイベントでAIについて色々と語っていたことが前提にあって、それから毎日新聞の記者に意思決定について問われたことで、リップサービスの意味を込めて笑顔で「AI」という切り返しに至ったのではないかと推察する次第です。

…だから何?!と言われればそれまでですが、突拍子もなく出てきたわけではなさそうだ、ということをお伝えしたかったのもので。。

もちろんAIというワーディングだけではなく、そこに意思決定に至るプロセス・情報公開についても、多くのご意見をいただいています。

振り返って見ると、東京ガスの跡地への市場移転を決めたプロセスにおいて、石原慎太郎元知事は「専門家が決めたこと」「私はそれに従っただけ」と強弁したことが、大きな批判を呼びました。

石原慎太郎氏「私は素人」「言われるままに判」 豊洲市場問題で繰り返す(会見詳報:ハフィントンポスト) 

また浜渦副知事による「水面下交渉」では、交渉相手同士の正式な会合であったにも関わらず、その交渉経過や記録などが東京都側に残されていなかったことが問題となりました。

一方で今回の移転決断において、小池知事はあり方戦略本部に至るまでの公的会議はすべてオープンに行っています。

それらの専門家の意見を踏まえた上で、「自分自身が政策判断した」と言い切ったのは、自ら「決定責任はすべて取る!」と明確にした意思表示であり、これまでの都政の意思決定へのアンチテーゼだったのはないでしょうか。

民意を受けた政治家が政策決定するにあたり、個人的な相談や思考内容をどこまで残して公開するべきかというのは、非常に難しい問題でもあります。

この点につきましては、これまでの経過と皆さまからいただいたご指摘や意見を真摯に受け止めながら、議会でどのような提言をしていくかについて、組織内でも議論をしていきたいと思います。

それでは、また明日。

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 33歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、日本初のブロガー議員として活動中。

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編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏のブログ2017年8月11日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。