虎の尾を踏んだ北朝鮮。「危険水位」の時期は?

2017年08月19日 20:00

7月28日に弾道ミサイル「火星14」の2次試験発射を指導した金正恩氏(朝鮮中央通信より引用:編集部)

最近、米朝の緊張は危険水位に向かっているような状態である。双方が面子を捨て切れない緊張が続く中、先日、北朝鮮のグアム近海への弾道ミサイル包囲射撃威嚇は保留だが「虎の尾」を踏んでしまったよう状態だ。

北朝鮮が核開発にこだわる第一の目的は親子孫3代まで72年間続いた長期執権体制を守るためである。万が一、北朝鮮がグアムを攻撃する場合、米国は第2のパールハーバー攻撃と受け止めるだろう。米国の軍事行動に大義名分が発生する。従って、北朝鮮は体制崩壊を招く恐れが強い米国領土への攻撃は踏み切れないという情況判断が説得力を得ている。

北朝鮮の朝鮮人民軍戦略軍(弾道ミサイル運用部隊)の声明と各機関の声明を見極めると金正恩・朝鮮労働党委員長への忠誠競争が伺える。その背景には、米国の先制攻撃に対する金正恩委員長と北朝鮮指導部の恐怖心が隠されている。即ち、対米威嚇は内部の結束を狙う住民煽動だと考える。米国は軍事行動より北朝鮮の挑発にブレーキを掛けたいのが本音だろう。

同時に、中国など国際社会が北朝鮮の核を阻止出来ない場合、軍事行動の選択もあるという警告である。
中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報は最近、北朝鮮が先に米国に向けてミサイルを発射した場合、中国が中立を保つよう求めた。中国は北朝鮮に対して「瀬戸際戦術」の危険性を警告すると同時に米国の対北軍事行動の自制を望んでいる。中国は米朝の口争いがエスカレートすると「誤判戦争」を招きかねないと危機感を抱いている。

中国は最近、インドとの国境紛争が再燃し軍戦力を西南部地域に移動・集中している。もし米国の対北軍事行動が実行されても、「抗米援朝」(第2の朝鮮戦争支援)は難しい。

韓国では8月21日からは米韓合同軍事演習が開始され、北朝鮮の建国記念日(9月9日)の前後には緊張が危険水位に達するだろう。日本海(東海)における最近の北朝鮮の潜水艦と誘導弾艇の活動は、黄海(西海)の北方限界線(海上軍事境界線)に近い韓国の西海5島への砲撃を狙ったものである可能性が伺える。北が6回目の核実験とさらなる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射を実行した場合、国際社会は中国の原油供給中断と全面制裁を要求するだろう。すると北朝鮮は長期間は耐えられない状態に陥る。

従って緊張解消と危機回避のカギは中国と北朝鮮が握っている。

軍隊経験の無い金正恩委員長の危険な“火遊び”は自らの首を絞める結果を招きかねない。側近による暗殺の可能性も潜在しており、中国当局が金正恩の中国亡命を説得しているとの報道も理由がある。

北朝鮮が来年、核・ICBMを配備して「核保有国」になると米国の攻撃は難しくなる。従って、来年までにソフトランディング(平和的な合意)が出来ない場合、米国は止むを得ず対北軍事行動に踏み切る可能性が高いと考えられる。

(拓殖大学客員研究員・韓国統一振興院専任教授、元国防省北韓分析官)

韓国左派の陰謀と北朝鮮の擾乱
高 永喆
ベストセラーズ
2017-03-25
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高 永喆
拓殖大学客員研究員、韓国統一振興院専任教授、元韓国国防省北朝鮮分析官

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