自公で過半数を切っても第一党なら安倍続投を

2017年10月11日 09:00

福島で公示後第一声をあげた安倍首相(Facebookより:編集部)

安倍首相は自公で過半数が勝敗ラインといい、辞職するようなことをいっている。しかし、これを明言することが、政局を混乱させ、北朝鮮情勢で緊迫する中で日本の立場を不安定にしている。

また、与党が過半数を切ってもかわりに過半数を得る勢力がない限りは、退陣は論理必然ではない。原則は、比較第一党の党首が優先的に組閣にあたるべきだし、この場合、現実に連立を組み、選挙後も継続を約束している自公はまとめて扱うべきだ。

それに対して、どこかと連立を組むことを明言している野党はないから、自公の合計を上回る野党がない限りは、自公が第一党と扱われるべきだ。

安倍首相自身は、もともと、「自公で過半数がとれたら無条件で続投する。不信任とは過半数を失うことであって、前回の選挙との増減は関係ない。しかし、過半数を切った時でも、かわりに過半数をとる勢力がなければ、話し合いだ」というべきだった。

すでに、「自公で過半数なら首相退陣は民主主義に反する」でも書いたように、イギリスのメイ首相は過半数を失ったが続投しているし、スペインのラホイ首相はそれを二度の総選挙で繰り返している。

しかし、これまでの発言から自分からいいにくい。しかし、国民としては、過半数を切った時でも、かわりに過半数をとる勢力がなかったときにどうするのか、考えておくべきだし、安倍首相続投という選択肢を残しておくべきだ。

最新の予測では自公が過半数を失う可能性は少なくなっているといわれるが、状況は不安定だ。たとえば、東京では希望は失速したが、自民がよいという実感もない。

そして、自公が過半数を失った場合、どうなるのか?

①保守系無所属を含めて過半数に達するなら、首班指名選挙で安倍首相ないしその後継者を指名すればよい。

②維新と連立ないし閣外協力ができれば、同じ。

③①でも②でもなくても、首班指名選挙の決選投票で、野党は野党一党に希望がなったとして、それが推す候補に投票するのか?しなければ、第一回投票で希望の候補が第二位になるが、決選投票で立憲民主や共産は棄権して、自公の候補が首班となる。

④野党が結束して希望が推す候補に投票して首班に選出されたとしても連立とか閣外協力の包括的な協定はできるのか?できなければ、そんな政府はすぐに立ちゆかなくなるし、おまけに参院では、ねじれのままだ。

⑤自民が分裂して希望と合流するか、連立を組む。しかし、基本的には、選挙が終わってすぐに党を出るのは理屈に合わない。それなら、最初から出るべきだ。 

⑥大連立。ただし、基本的には大連立というのは、第一党と第二党との党と党の間で話し合って行うべきものだし、第一党の党首が首班に就任するのが筋だ。

それでは、自公が過半数を失った時、安倍首相が自民党総裁を辞任すればどうなるのか?これは、国会議員総会で新総裁を選ぶことになる。しかし、新総裁なら維新の協力や、大連立などが組みやすくなるのかといえば、いささか疑問である。

外交の空白を避けるために岸田氏でまとまるならそれでもよいが、そんな簡単でない。石破氏なら協力すると小池さんがいえばいいのか?これは、石破さんがこれまでいきがかりを捨てて選挙で自公の議席増に貢献したらともかく、現在のように安倍批判の繰り返して自公の足を引っ張っている現状から言えば、先に書いたように「徳川百合子は小早川秀秋を関白にすべきでない」ということであって、自公が納得できるはずがない。 逆に小池さんにとっても、憲法改正のためなどの口実での大連立はそれほど損なわけでもないし、たとえば、二年程度ののちに総選挙をすることを約束させる方法もあるのである。

以上のようなことを考えれば、安倍首相自身としても、安直に過半数を切ったら辞めるなどと言わないほうがよいし、また、辞職ありきではないのではないかという声もあがってこないと、日本の政治の不安定と国益の毀損をもたらすのでないかと心配なのである。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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