森くんまでAbemaに登場!ジャニーズはテレ朝に報復するか?

2017年11月05日 06:00

きのう(11月4日)はアゴラ出版道場の初日だったため、テレビどころか、ネットも終日まともに見られなかったのだが、セミナーの合間に自分のiPhoneにAbemaTVアプリからの通知がきてその内容に刮目した。

金曜夜から72時間連続でオンエア中の元SMAP、ジャニーズ事務所脱藩3人衆(草彅剛、稲垣吾郎、香取慎吾の3氏)のスペシャル番組で「お〜、勝負かけたね」と思わせる一幕があった。あとで録画でチラ見したが、彼ら3人より遡ること21年前に脱藩した元同僚の森且行氏の「転職先」であるオートレース場を職場訪問し、公の場で久々の共演を果たしたのだ。

21年ぶりの共演(AbemaTVより引用)

2つのタブーを破ったチャレンジングな企画

エンタメ業界に詳しい方ならお分かりと思うが、このスペシャル共演は二重の意味で芸能界の「タブー」を破ったことになる。一つは、SMAPという国民的アイドルの在籍中であれば、公営ギャンブルのオートレース場にメンバーが入るのは厳しかった「アイドルの御法度」。もう一つは、先に日本最大手の芸能プロダクションを脱藩した森氏と、残っていた当時のメンバーの共演がありえなかったという「ジャニーズの御法度」だ。

インターネットへの露出を徹頭徹尾、抑制していたジャニーズ事務所を辞めた元SMAPの3人と現事務所代表の飯島三智氏が、「新しい地図」と題した再出発の舞台にインターネットテレビの「Abema TV」を選んだことは、大いに注目を集めているが、Abema TVの黒字化の兆しが見えないサイバーエージェントにとっても、今回はまさに社運をかけた企画だった。

番組開始直後は、爆笑問題、そして橋下徹氏まで登場するなど、地上波の24時間ばか騒ぎ特番を彷彿とさせる豪華なキャスティングだったが、しかし、それなりに数字は取れても、ただのお祭りさわぎに終わってしまうのではないかという一抹の不安はあった。

だが、先述したように2つのタブーを打ち破って“森くんとの再会”を実現したことで、この特番企画の挑戦ぶりが本気だったことを芸能界だけでなく、社会に広く伝える意義を帯びた。“森くん効果”もあって、開局以来最多となる1460万視聴(4日13時過ぎ)を早々と達成。おそらく番組終了の5日夜までに、インターネットテレビとしては破格の総時間視聴者数になりそうだ。

もっとも、これまでのハイスコアだったボクシングの元世界王者、亀田興毅氏にアマチュアファイターが挑む企画の折は、リアルタイムの視聴者数がせいぜい数百万程度と推計されており、地上波テレビのリーチ力に比べての課題は残していた。今回、リアルタイムの視聴者数がどこまで増えたのか見ものではあるが、しかし、「数」以上に、こうしたチャレンジングな企画という「質」においてはテレビ業界に一石を投じ、一般の視聴者にもエンタメ界の新時代を創り上げるメッセージが120%伝わる、意義のある企画にはなったと思う。

政界にたとえれば「自民離党者による挑発」に匹敵

さて、これで気になるのは、出演した4人、そして飯島氏の古巣であるジャニーズ事務所が、“挑発”に対してどういう出方をするかだ。私は芸能界の裏のことは業界内の知人から仄聞する程度のことしか知らないが、結構、義理人情や目に見えない因習が根強い政治の世界と似ているように思える。政界でいえば、自民党を離党して新党を立ち上げた関係者が、新しいメディアを使って挑発しているようなものだ。

過去の芸能界の常識でいえば、AbemaTVに出資しているテレビ朝日の番組に、一定期間、ジャニーズ事務所の有力タレントの出演をさせないといった報復が思い浮かぶ。

もちろん、その程度のことくらい、今回の企画の関係者は想定はしているはずだ。ここで思い浮かぶのは、AbemaTVの陣頭指揮を取っているサイバーエージェントの藤田晋社長が、NewsPicksの独占インタビューの内容だ(リンク先は有料会員のみ)。

【藤田晋】なぜ僕は、元SMAPメンバーの出演を「極秘」に進めたのか

中身をかいつまんで言うと、藤田氏は、ジャニーズ事務所からの「圧力」、あるいはテレビ局や広告代理店によるジャニーズ事務所への「忖度」に対して、とことんKYだったことを語っており、テレ朝側にすら黙って極秘で企画を進めていた、としている。

挑発的なタイトルだった藤田社長のインタビュー(NewsPicksより)

藤田社長のインタビューには裏メッセージがあるか?

ただ、若干鵜呑みにしづらい点もある。政治の世界で、与野党が血みどろの対立よりも互いの顔が立つように夜の赤坂で交渉することもあるように、芸能界もムラ社会だけに、少なくともジャニー喜多川社長やテレ朝の首脳部にだけは内々に仁義を切るくらいはしているようにも思えるが、本当に“国対政治ナッシング”のガチンコだったのか。

もし、そのあたりの進め方も含めて、常識外のことをしているならば、藤田氏のコメントは、あえて火中の栗を拾い、異業種参入者である自分たちが責任者だということを強調したようにも読める。地上波でジャニーズとお付き合いをしているテレ朝本体サイドに「配慮」し、万一の時はこっちのせいにしてもよいという裏メッセージを当事者に送っているようにも思えるが、筆者の穿ち過ぎだろうか。

政治記事の読み解きをテーマにしたオンラインサロンを運営している筆者の悪いクセかもしれないが(笑)、芸能界の近代化を巡ってアゴラの論考では、かつてSMAPの独立騒動が最初に勃発した際に池田信夫が人材の流動性に欠ける日本的な体質を指摘した「日本のサラリーマンはSMAPである」が注目を集め、先日も法的ルール整備を提言している佐藤大和弁護士へのインタビュー(前編後編)があるので、未読の方はこれを機にご覧いただきたい。

今後ジャニーズ側が旧態依然とした報復をするのか、それとも大人な態度を示して何事もなく長年の貢献者の3人の門出を見守るのか。日本の芸能界に「ポスト平成」の時代がやってくるかどうかのバロメーターになるのではないか。

そうした裏事情の想像や未来予測をついしてしまうほど、興味深い元SMAP脱藩3人集の新しい第一歩だった。

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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