真面目な若者と情緒で批判する高齢者

山田 肇

衆議院選挙の年代別投票先がNHKから公表されている。出口調査によると20歳代では自民50%・希望14%・立民12%で、50歳代では自民34%・希望17%・立民23%だったそうだ。

なぜ若者は自由民主党に投票したのだろうか。浜矩子氏が推察しているように、メディアによる自公圧勝の事前予測に流されて自由民主党に投票したのだろうか。大宅映子氏の意見のように、公約も候補者もメディアもぐちゃぐちゃの中で政権の安定を選んだだけなのか。大宅氏は「未来の日本が敗者として刻まれた選挙です。」と言うが、未来を生きる若者は敗者の道を自ら選択したのだろうか。

日本経済新聞サイトに『Twitterと選挙』という記事が掲載された。選挙期間中のつぶやきを分析した結果、20歳代では「政策」に触れるツイートが7位だったのに対して50歳代では49位。20歳代では自民党が立憲民主党の上にランクされたが、50歳代のつぶやきでは自民党や立憲民主党をおさえ共産党がトップとなったという。10代や20代で共産党はトップ10になかったそうだ。

日経の記事からは、若者は政策で自由民主党を選択し50歳代は情緒で共産党を選択したように読み取れる。さらに投票行動分析を重ねる必要はあるが、つぶやきの分析から見えてくるのは浜氏や大宅氏の意見とは異なる様子である。

11月7日の河北新報に『<18歳選挙権>選挙後の若者 有権者の責任強く実感』という記事が掲載されている。若者へのインタビューも載っているが、「今後も積極的に情報収集を続け、自分の1票を大切にしていきたい。」「喫緊の課題や突然の災害にしっかりと対応し、国民の声にきちんと耳を傾けてほしい。」「少しでも生活を良くしてくれそうな候補者を選んだ。」といたって真面目である。それをメディアに流されただけと評価する浜氏が根拠を持っていたのかいささか疑問である。