NHKの経営計画とテレビの未来

NHKは2018年度から20年度までの経営計画を策定中である。毎日新聞によれば10月末には原案が出来たという。同記事は「放送と同時にネットで視聴できる番組のネット同時配信は「積極的に実施」と明記。」と伝えている。

NHKでは原案作成に先立って意見を募集した。これに対して日本民間放送連盟は9月14日付で意見を提出した。要約すれば、民間放送だけでなく新聞、ネット動画配信、通信などさまざまな業態の民間事業と競合するネット配信は「放送の補完」に留めてほしい、という意見だ。

総務省は「放送を巡る諸課題に関する検討会」を開催しているが、提出された資料でNHKの考え方がわかる。「視聴者のコンテンツ視聴や情報取得のあり方が多様化」「インターネット活用業務は、放送を補完」インターネットでの同時配信は「視聴機会の拡大」。このようにNHKはネット同時配信に意欲満々である。

番組コンテンツを制作し電波でそれを配信するのがかつてのテレビ事業であった。しかしケーブルテレビの普及以来、制作と配信の分離が始まった。今では3070万世帯(2016年度末)と全世帯の半数以上がケーブル経由でテレビを視聴している。一つの番組コンテンツをさらにネットも加えて三つの伝送路で送るようにすれば、電波やケーブルの受信設備がない状況たとえば外出中にも番組が楽しめるようになる。

それぞれの瞬間には一人の人間は一つの番組コンテンツしか楽しめないから、NHKの視聴機会が増えれば民放・ネット動画配信や新聞に触れる機会は減る。それでビジネスが縮小していくのを民放連は心配している。しかし民放もHuluやNetflixと提携している。Huluを視聴している間はテレビを見ないという点ではNHKのネット同時配信と同様だから、民放の意見には矛盾を感じる。

人々の生活習慣の変化を考えれば、NHKの同時配信は認めるのが妥当である。その先、ネット配信で番組を見るのが当たり前になるころには、テレビ用電波は不要になる可能性も考えられる。電波を失っても、番組コンテンツに受信料を徴収できるのであれば、民放であればCMスポンサーが付けば制作事業は続く。