立憲主義を守ることと、憲法を守ることは違う

2017年11月13日 15:00

立憲民主党は護憲政党の様に思われる向きがあるが、立憲主義を標榜する以上、憲法改正は論理的に必然となることから、護憲を期待した支援者や心底憲法を変えたくない議員は深刻な矛盾を抱えることになるだろう。

もしこの矛盾に目をつぶれば、護憲という言葉が陳腐化したから、立憲主義という言葉を使用しているだけ、という愚にもつかない馬脚を現すことになる。その場合、立憲主義という用語も遂に陳腐化して、憲法の趣旨は悉く逸脱される結果につながるから、もし後者を不作為であっても選ぶとすれば、立憲民主党の罪は一段と重くなる。

今はまだ世間の支持がついて回っているけれども、その矛盾をどう捌くのか注目して見ている。

なぜなら、立憲主義違反の一番は憲法9条に現れているからだ。

内閣法制局という行政府の一機関による解釈改憲の淵源は、自衛隊を合憲としたことにある。戦後、内閣は政治判断として自衛隊を合憲とし、当然ながら内閣法制局は内閣の政治判断に従って合憲の理屈を考えた。個別的自衛権、集団的自衛権の区別やその運用等については、単に内閣が解釈で決定しているに過ぎない。

同様に、先般の安保法制の審議において、憲法解釈を変えるのは内閣の判断だから、集団的自衛権の一部を内閣が認めたとしても違憲にはならない。ご承知の様に内閣法制局は当然ながら合憲の理屈を考えるのみである。もちろん、立憲主義違反にもならない。

もし、安保法制での憲法解釈の見直しを立憲主義違反と言うなら(野党幹部は実際に言った)、自衛隊の存在を認めた解釈自体も立憲主義違反と言わねばならない。むしろ自衛隊を認めた解釈改憲の方が解釈の飛躍という意味で、その度合いが大きいことは明白である。

すべての矛盾の源は、憲法9条を常識的に読めば自衛隊の存在は違憲という結論になるところにある。

立憲主義とは、憲法の文言に従って内閣が法制度を構築運用することだから、もし、「内閣に勝手な解釈改憲をさせるな!」「立憲主義を守れ!」と言うなら、時の政府に勝手な解釈をさせない様に、憲法自体に解釈の余地を生まない文言を入れるのが論理必然であり、国家の制度設計を使命とする立法府としては、憲法の解釈余地を狭める憲法改正を促してこそ、国民に貢献すると言える。内閣によるお手盛りの解釈を許さない為の憲法の条文が必要だ。

つまり、立憲主義を守ろうとすれば、憲法改正を促す必要があるのだ。

立憲主義を標榜すればするほど、憲法9条改正を促さなければならないと言う論理に、立憲民主党がどう対処するのかしっかり見ていきたい。彼らが時の政府の恣意的解釈を批判すればするほど、憲法改正は急務であることを主張していることと同義だ。

鷲尾 英一郎  衆議院議員(無所属、新潟2区)
公認会計士、税理士、行政書士の資格を保有。2005年の衆院選で初当選し、農林水産大臣政務官、民進党新潟県連代表を務めた。2017年衆院選では無所属から出馬し当選(5期)。

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衆議院議員(無所属、新潟2区)

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