障害者の仕事だからといって「定型的」なだけでいいのか? --- 山本 ひろこ

2017年12月14日 06:00

先日、地元でふれあいフェスティバルが開催されました。その中で、障害者の方々の自立を表彰する式典が行われます。どの市区でも障害者週間には同じような啓発イベントが行われているのですが、普段なかなか表彰される機会って無いですからね。大ホールで皆の前で表彰される機会を提供するというのは、素敵ですよね。ただ、障害者だけのフェスティバルとすることに違和感を感じます。殆ど関係者しか集まらないからです。

会場にはたくさんの模擬店が出ており、私も式典後は会場でお菓子やらパンを買って帰りました。確かに美味しいものもあるのですが、どうしてこう定型的なんでしょう。パン、お菓子、弁当、革細工、巾着袋・・民間では多種多様な製品が作られているのに、福祉イベントで売られている製品は大概似通っている。障害者だからこのくらいの仕事が適当だろうという偏見は無くし、いろいろな種類の就労機会を提供すべきではないかなと思います。中でも、文化や芸術など、他人と違うからこそ、その個性やセンスが活かされる分野に、もっと視野を広げるべきではないでしょうか。ITなどもその1つ。他人との交流が苦手な人でも、プログラミングにはものすごい才能を発揮したりします。

ITや美容、芸術など、普通に民間からのニーズがある仕事でも、環境さえ整えばできる、という障害者の方は多くいます。新しい就労支援の提案をしても鼻で蹴る役所もありますが、行政の役割は、できるだけ多様な職種への就労のための環境づくりであるはずです。

教えられた物を正確に作るとか、決まった定型業務をこなすだけの仕事は、今後はAIで足りることになります。これは行政にも、あらゆる業界にも言えることです。そんなこれからの社会を、しっかりと生き延びてもらうためにも、環境的に困難を抱えている方々に、自身の才能やセンスを活かした仕事に就労する機会をできるだけ多く持ってもらうための環境づくりを支援していくべきです。

そして、その技術や製品を行政が活用できれば、それこそ理想的な公民連携事例ではないでしょうか。高知県では、会議のテープ起こしやホームページ作成、データ入力や作成、プログラミングなどの行政に必要なパソコン業務の一部を障害者団体が請け負っています。民間での競争力の低い仕事の就労機会を提供して関係者者が主な顧客になるような閉鎖的な世界では、全く生産性が生まれません。 

IT技術は環境的に困難を抱えている方に、飛躍的な利便性や可能性をもたらします。寝たきり状態だった方が、テレワークでテープ起こしを始めてからは、社会に役立てる実感を抱き、生きがいと存在意義を持てるようになったという事例もあります。こういった環境がなかなか整わない背景には、行政によるIT利活用の不十分さが影響しています。特に、障害を抱える方々は、自らがITを利活用して環境を整えるということが難しい。こういうところにこそ、行政の支援を注力すべきではないでしょうか。共存しましょう!と啓発するのではなく、共存できる環境を整える。 

障害に該当しなくとも、病と戦いながら働いている人も多くいます。差別と区別は違うと言いますが、区別する必要ない所での区別は差別の種となり得ます。障害有無や程度に関係なく、純粋に置かれている環境に対する努力と成果が共に表彰される社会にしていきたいと思いませんか。

山本ひろこ 目黒区議会議員(日本維新の会)
1976年生まれ、埼玉大学卒業後、外資系企業でITエンジニアとして勤務しながら、3児をもうけるも、保育園入所率ワースト1の目黒区にて保活に苦戦し、行政のありかたに疑問を抱く。その後の勉強会で小さな政府理論に目覚め、政治の世界へ。2015年、目黒区議選に初当選。夫の病気を機に健康管理士取得。現在は東洋大大学院公民連携学研究生。

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