鉄道事業の縮小を図るJR九州に未来はない

前田 陽次郎

JR九州から列車本数を大幅削減するというダイヤ改正案が発表された。

JR九州、在来線本数を大幅減 来春ダイヤ改正 「経営体質改善図る」

本数削減については事前に漏れ聞こえる話もあったが、それは不採算路線が対象であり、長崎県民の私にとってはあまり関係のないことだと思っていた。

ところが発表を見ると、長崎県内にも削減対象があることがわかった。

その内容は、
・日中の長崎博多間特急「かもめ」を毎時2本から1本に削減
・長崎とハウステンボス・佐世保を結ぶ快速「シーサイドライナー」を区間快速化
であった。

黒字化が望めない路線で本数が減るのはわかる。しかし、上記2路線は、もともと黒字だった路線だ。そこまで削減対象になるというのは、正直驚いた。

JR九州のやり方については以前アゴラに書かせてもらったので参考にして頂きたいが、とにかく今は経費削減しか考えていない。

長崎本線の特急列車は、国鉄時代は毎時1本だった。それを2本にすることで利便性が向上し、乗客を増やした。

またシーサイドライナーが走る大村線は、国鉄時代には普通列車しか走っていなかった所に快速を走らせることで、所要時間を短縮しバスから客を奪い黒字化した、という経緯がある。

これを昔に戻す、ということになるようだ。

JRは各社とも、国鉄からJRになり、単編成化と本数増を組み合わせることで利便性を上げ、乗客増に努めてきた。例えば特急「かもめ」の場合、国鉄時代は8両編成だったものが、現在は6両編成中心になっている。それを今後は単編成化と本数減でコスト削減、という方針にしたようだ。

削減対象になる「かもめ」も「シーサイドライナー」も、客が少ない訳ではない。日中の「かもめ」は、現在も長崎発11,12,13時台は毎時1本に間引かれているのだが、その時間帯は混んでいる。混んではいるけど、満席ではない。だったら満席になるまでは本数を削減しよう、という考え方らしい。「シーサイドライナー」に至っては立ち客も出る状況だが、ロングシート化してどんどん立って下さい、という方針のようだ。長崎からハウステンボスに向かう、スーツケースを抱えた観光客が多いにも関わらず。

このダイヤ改正で、JRからバスに客が移ることも予想されるが、JRは乗客増よりコスト削減が大事なようで、気にしていないようだ。私も赤字ローカル線は、バスで代用できるのであれば廃止してバス化すればいい、という考え方なので、都市間輸送でもバスで代用できるなら、バスに乗れば済む訳だ。北海道のJR特急が高速バスに押されて経営難になっているのと、状況は似ている。東京でも、房総総武方面特急は高速バスに押されて壊滅状態なんだから、鉄道が不便ならバスに乗ればいい、というのは、真理であろう。

いっそのこと、長崎県内路線については、新幹線開業に合わせて第三セクター化した方がいいと思うが、それは別のブログに書いたので興味のある方は参照頂きたい。

前田 陽次郎
長崎総合科学大学非常勤講師