12月15日に発表された12月の日銀短観は、大企業製造業の業況判断指数(DI)がプラス25となり、前回9月調査のプラス22から3ポイント改善した。2006年12月のプラス25以来11年ぶりの高水準となった。5四半期(1年3か月)連続の改善となる。
先行きについてはプラス19と伸び悩む予想となっているが、9月調査での3か月先の見通しも足元のプラス22からブラス19に落ち込む見通しとなっていた。企業の先行き見通しは外部要因などに不透明材料もあり、慎重となっているが、景気の拡大基調は維持される可能性は十分ありうる。
2017年度の事業計画の前提となる想定為替レート(ドル円)は大企業・製造業で110円18銭と、実勢レートより円高ドル安となっている。ちなみに9月時点での想定為替レートは109円29銭となっていた。
製造業の中堅企業は足元DIがプラス19、先行きプラス14。中小企業が足元プラス15、先行きプラス11となっていた。
非製造業については大企業が足元DIがプラス23、先行きプラス20。中堅企業は足元DIがプラス20、先行きプラス14。中小企業が足元プラス9、先行きプラス5。
人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いた雇用人員判断DIは大企業・全産業がマイナス19となり、前回のマイナス18から低下した。これは1992年3月のマイナス24以来のマイナス幅となり、先行きもマイナス20となっている。人手不足が継続していることを示している。
2017年度の設備投資計画(ソフトウェア・研究開発を含む設備投資額、除く土地投資額)は大企業・全産業が前年度比7.4%増となっていた。
大企業・製造業の販売価格判断DIはプラス1と、前回のゼロから1ポイント上昇となった。プラスとなるのは2008年9月のプラス11以来9年ぶりだそうである(日経QUICKニュースより)。
日銀短観は総じてしっかり。海外経済の回復を背景に、輸出が引き続き堅調に推移し、設備投資も好調となっている。先行きについては、北朝鮮問題、英国のEU離脱問題、米政権の先行き不透明感等々の懸念材料はあるものの、いまのところ景気に悪影響を及ぼすようなものとはなっていない。雇用の改善も継続しており、欧米の景気動向も物価上昇は伴わないものの、回復基調が継続している。
この日銀短観を見る限り、日本の経済実態は非常に好調としか見えないのであるが、日銀の金融政策をみると、何故か非常時の異次元緩和が続いている。こちらの方が異常に見えてしまうのだが。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2017年12月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。