VHF帯で無線インターネットを

2017年12月20日 16:30

きのうのシンポジウムで原英史さんもいったように、電波の制度は20年以上変わっていない。その間に、電波は有線の通信を補完するインフラから主役に変わったのに、制度がそれに対応していないのだ。オークションばかり話題になるが、それは改革の一部にすぎない。

浪費されている電波のうち、圧倒的に重要なのはUHF帯だ。ここはいちばん使いやすい帯域なので、確実にもうかるモバイル通信に割り当てるのが常識だろう。テレビの中継局を区画整理して約200MHzを更地にし、オークションで割り当てるのが最適だが、テレビ局がどいてくれるのなら他の方式でもかまわない。あいた帯域には楽天などの新規事業者が入ってもいいし、既存キャリアが入ってもいい。

むずかしいのはVHF帯である。総務省は来年2月まで提案募集をしているが、大きなアンテナが必要になるので、スマホで通信に使うことはむずかしい。NOTTVのような「携帯マルチメディア放送」に割り当てたら失敗することは確実だ。きのうわれわれが話し合ったのは、免許不要帯に割り当てて無線インターネットの汎用インフラに使うことだ。

これは2000年にソフトバンクとマイクロソフトと東電の始めたスピードネットのビジネスモデルだ。これは無線LANの基地局を電柱に設置してモバイル通信に使おうという発想だった。2002年に真野浩さんの始めたMISも同じ発想だった。

これは原理的にはできるが、2.4GHz帯の直進性が高すぎてうまく行かなかった。都心でビルがあると、それを超えて電波が飛ばないので、膨大な基地局が必要になるのだ。この点でVHF帯は到達距離が長く、電波が回り込むので、中継局が少なくてすむ。VHF帯で無線インターネットを実現する技術としては、IEEE802.22などが標準化されているので、これを使って図のようなIPインフラの卸し売りをやるのだ。

端末は今のスマホではだめだが、既存キャリアと組んで対応端末をつくればいい。AbemaTVやドワンゴがやってもいいし、MVNOが使うこともできる。スカパーなどの衛星局が携帯端末で放送するインフラにもなる(キー局がやってもいい)。端末はスマホである必要はなく、デジタル・サイネージなどのIoTにも使える。

コンテンツは何でもいいが、今の枠組でいうと「委託放送事業者」に近いので、リスクはそれほど大きくない。IPインフラ業者(受託放送事業者)の投資は大きいが、卸し売りなので安定した収益が見込める。これはオークションで決めてもいいが、手を上げる業者が多いとは思えないので、比較審査で決めてもいい。電波が遊んでいるよりましだ。

この案は委託・受託モデルという点ではNOTTVと似ているが、彼らのビジネスは囲い込み型だったので、コンテンツが失敗したら全面撤退するしかない。IPならコンテンツ業者は交替でき、インフラはずっと使える――というのが私案だが、どうだろうか。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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