河野外相の専用機要求こそケネディ流の真の勇気だ

八幡 和郎

外務省サイトより:編集部

河野太郎外相が、2019年度予算で外相専用機の導入をめざしているが、産経新聞が『おねだり』などと報道したことについて、「ふざけた言葉をメディアが報道に使うのは、私にはちょっと信じられない」と批判している。

河野氏は産経の記事に対し、

「経費を削減しながら訪問国や(海外要人との)会談の数を1つでも増やそうと、外務省一丸となって努力している。理解をして(記事を)書いているなら倫理にもとるし、理解しないで書いているなら能力に問題があるといわざるを得ない」

「2013年1月から現在までの約5年間に、日本は前任の岸田さんと私でのべ97カ国なのに対し、中国の王毅外相はのべ262カ国だ」

「日本の外務大臣は国会対応があるが、中国の外務大臣は国会対応がないというスタート時点で大きな差がある」

などと反論している。また、訪問して昼食を誘われても商用機のフライトのスケジュールに制約されてお断りすることもしばしばという。

そもそも、これを外相専用機というから話がややこしくなっているだけ。外務省がVIP用の専用機を持つことは有益だし、外相外遊時には優先的に使うということだろう。ほかに大事な交渉があれば他の大臣や幹部などが使ってもよいわけであるし、是非もつべきだ。「おねだり」などと見出しを付けた産経新聞も含めて、外相の勇気ある要求を安直に揶揄するようなことは見識を問われるべきだ。

元代議士の早川忠孝氏は、

「外相経験の浅い河野太郎氏がいきなり俺にも専用機を、などと言い出しても、普通の人はただ苦笑いをして見ているだけだろうと思う。そんなおねだりをして、などと書いている新聞があるが、自民党の外交部会等の議論でこういう話が出た後であればともかく、外務大臣の一言で財務当局がはい、分かりました、と言うはずがない」

「あくまで一つの問題提起だと受け止めておくのがいいと思う。10年ぐらい毎年言い続ければ、ひょっとすればひょっとする」

「日本が国際社会で重要な地位を占めることになり、日本の外交が国際社会に決定的な影響を与えることになり、日本の外相が世界を股にかけて飛び歩かなければならない、という状況にでもなれば、首相専用機の他に外相専用機も、という話になるだろうが、今の日本の外交がそれほど大きな役割をはたしているとはちょっと考えられない」

「今回の河野氏の外相専用機についての予算要求は唐突感を免れない。外務省関係の予算要求としてはもっと急ぐものがあるんじゃないかな」

などと語っている。

しかし、日本は軍備を十分に持たないなかで、外交には十分にお金を惜しむべきでない。また、10年間も要求を続ければなんとかなるというのは、なんたる不見識か。

産経新聞にしても、早川氏にせよ、反政府的な冷やかしをするような人出ないだけに残念だし、産経新聞が河野氏の反論をきちんと報道したのは良いことだ。朝日新聞ならこういうことはしないだろう。

しかし、河野太郎外相が、あえて不評を覚悟で、こういう大事なことをきちんと要求することは評価したい。 若き日のケネディ大統領は、『勇気ある人々』 (Profiles in Courage) を書き、1956年にピューリツァー賞を受賞した。ジョン・クインシー・アダムス、ダニエル・ウェブスター、トーマス・ハントン・ベントン、サム・ヒューストン、エドモンド・ロス、ルキアス・レイマー、ジョージ・ノリス、ロバート・タフトの7名の上院議員の、多勢に媚びず自己の信念に従って行動した偉大な上院議員の列伝だ。

人気がなくても、必要なことをしっかり主張することが政治家に求められる勇気だ。