空母いずも?海幕の走狗、読売の与太記事

2017年12月27日 11:30

いずも型護衛艦(海自サイト:編集部)

護衛艦「いずも」空母化…離島防衛の拠点に(読売新聞)

政府は、海上自衛隊最大級の護衛艦「いずも」を、戦闘機の離着艦が可能となる空母に改修する方向で検討に入った。

複数の政府関係者が明らかにした。いずもは、広い甲板を持つ空母に似た形状の護衛艦で、全長248メートル、満載排水量約2万6000トン。ヘリコプター14機を搭載可能とされる。空母化すれば、F35Bを約10機搭載できる見通しだ。

改修では、F35Bのジェットエンジンが発する熱に耐えられるように甲板の耐熱性を上げる。
官官の傾斜を利用して艦載機が発艦するスキージャンプ台方式にするかなど、改修の方式については今後検討をする。防衛省は19年度予算案への調査費計上を目指している。

空母保有の目的は、空母での米軍機への補給を通じて日米の一体運用を進めることだ。

自衛隊初の空母保有となり、2020年代初頭の運用開始を目指す。「攻撃型空母」は保有できないとする政府見解は維持し、離島防衛用の補給拠点など防御目的で活用する。米軍のF35B戦闘機の運用を想定しており、日米連携を強化することで北朝鮮や中国の脅威に備える狙いがある。

ホントかいな、という記事です。まあ軍事音痴の「官邸の最高レベル」の独裁者の「おもいつき」だとありそうな気がします。リテラシーが低いから程度の悪い側近の与太話をそのまま信じ込んで、あるいは漫画「空母いぶき」に影響されて、トップダウンして「ぼくって、強い総理」とか、自己陶酔している可能性はあるでしょう。

何しろ「官邸の最高レベル」の意向を受けて公安とつるんで、元文科省事務次官の誹謗中傷記事を書くような媒体ですから、中枢に近い情報かもしれません。

まあ、基本は年末の穴埋め記事です。単なる与太記事ですとは某紙の記者さんの見方で、ぼくもそう思います。しかも搭載予定機数や、飛行甲板の耐熱処理など事実誤認も多い。海幕の鬼が笑うようなお話を、そのまま検証もしないで書いたようです。

「防衛省は19年度予算案への調査費計上を目指している」ではなく、海幕は、でしょう。消防署の方から来ました、みたいな話です。

案の定この話は小野寺防衛大臣が本日の会見で否定しております

Q:護衛艦「いずも」についてお伺いします。一部報道で、「いずも」を空母に改修し、また、最新鋭のステルス戦闘機F-35Bも、「いずも」で運用することを検討していくとの報道がありましたが、事実関係をお願いします。

A:防衛省におきましては、防衛力の在り方に関して不断に様々な検討を行っておりますが、御指摘がありましたようなF-35Bタイプの導入や、「いずも」型護衛艦の改修に向けて具体的な検討は、現在、行ってはおりません。

Q:護衛艦「いずも」の空母改修報道についてお伺いいたします。大臣は先ほど、「現在は行っておりません」とお答えになりましたが、島嶼防衛と日米同盟の強化に向けて、検討していく、若しくは次期防衛大綱及び中期防を含めて議論をしていくことは適切だというふうにお考えになりますでしょうか。

A:防衛省におきましては、防衛力の在り方に関して不断に様々な検討を行っていくことは必要だと思っております。

まあ、幕僚監部あたりは大臣騙してどこが悪い?と思っているという話もありますが。

海自の空母保有願望は合理性ではなく「悲願」とか「宗教」のレベルです。
そのための努力は着々とやっているのは事実です。おおすみ級にしても本来必要無い全通甲板を揚陸艦としての能力を落としてまで採用したのは「全通甲板=空母じゃ無いよ」という刷り込みを政治家、メディア、納税者に刷り込むためです。それはものの見事に成功して16DDH時は政治もメディアも「全通甲板の護衛艦」を全く問題にしなかったわけです。

実際問題として米軍のF-35Bの運用、給油や弾薬の補給、簡単な整備程度ならばいまのいずも級でも可能です。

「空母」に改装する必用はありません。スキージャンプ台方式の採用など本格的な軽空母化するならば多額の費用と時間がかかります。むしろ新造した方が安いかもしれません。

実際問題として当面やるにしても、米軍の機体の運用の補助ということでしょう。そうであればカネも掛からないし、空母運用のノウハウもある程度蓄積できる。そうなれば「野望にまた一歩近づいた」(相原コージ調)ということになるでしょう。

空母保有は、読売の記者を唆し、空母保有に関する世論を探るためのアドバルーンを上げたのでしょう。

まあ、空母持つ前に、護衛艦隊の自前の早期警戒機を持つことが先でしょう。それと空自のE-2DにCECを搭載すること。

海自は、来年度はUH-X選定が再開するでしょうが、現時点で知る限るUH-Xに早期警戒能力付加という要求は無いようです早期警戒能力を付加するのであればAW101一択でしょう。でも早期警戒機がないと、敵の航空攻撃に極めて脆弱です。F-35搭載したまま対艦ミサイルで海の藻屑と言うことになりかねません。

目や耳、情報を軽視するのは帝国海軍以来の悪しき伝統でしょう。

この先E-2Dにまた大金使ってCECを再装備する羽目になる可能性は小さくないでしょう。
税金をドブに捨てるのが趣味であるとしか思えません。

それからE-2D。空自は間抜けなことにE-2DからCECを外して、自らモンキーモデル化し、これでわざわざ値段を高くして買っています。使わないならばつけておけばいいものを、と思うのですが。
空自は統合作戦が大嫌いなお子様レベルのわがまま集団らしいので、あれば海自の共同作戦を「強要」されるぐらいならば高くなってもモンキーモデル買った方がマシと思っているのでしょう。

こんな共同作戦もできない連中に高いオモチャ買い与えることを許す日本の納税者は本当に鷹揚です。

さて先日「本日の永田町の噂」で報じたコマツの試作8×8装甲車の試作の不具合に関して防衛省は本日、防衛省が公式に発表しました。内容は「永田町の噂」の後追いとなりました。

「試作品に不具合(耐弾性能のばらつきの多い防弾板の使用や板厚不足等)があったため、開発完了時期が、当初計画していた平成30年度から、平成33年度以降に遅延することとなりました」

「当該不具合の改修等の必要な対応を試作品の受注企業である(株)小松製作所において行うとともに、量産化に向けて幅広い選択肢の中から最適な装備品の調達が可能となるよう代替案分析を行うこととなりました」

つまり、外国製も含めて考え直すよ、ということです。
更に申せば、路外走行能力の問題には触れておりません。装甲板だけならばそれほど深刻じゃないでしょう。また30年半ばまで試験中止をするほどのことでもないでしょう。事態はかなり深刻だと思いますよ。

陸自はHPでのOH-1の嘘の記述を指摘されても、正しいと言い張るような組織です。また大臣や幕僚長を平気で騙す組織です。加えて申せば、陸幕広報室は憲兵隊気取りで組織に不都合なことをいう「反逆分子」の摘発に血道をあげている模様です。

今回の発表も正直なものではないと疑ってかかる必用があります。

ところが事業評価では以下のようにあります。

平成25年度 政策評価書(事前の事業評価)

代替手段との比較検討状況
諸外国においては、既に実用化された装輪装甲車として、米国のストライカー等があるが、各種脅威からの防護力等の要求性能、コストに関して総合的な観点から比較検討した結果、本事業の優位性が認められた。

実際のところ、国産正当化のためでしょう。欠陥機、OH-1の教訓を全く活かしておりません。学習能力が無いのでしょうか。さすが、内部文書をウィキペディアつかって作成して恥じない組織だけのことはあります。

つまり、陸幕装備部は当事者能力が無かったということでしょう。それともその他の候補というのはMHIの提案だけを指しているのでしょうか。ぼくの知る限りそうではないようですがもしそうならば「幅広い選択肢の中から最適な装備品の調達が可能となるよう代替案分析を行う」ことにはなりませんしね。

■本日の市ヶ谷の噂■
装輪装甲車(改)の不具合を陸幕装備部は装甲板だけと言明するも、不整地走行能力その他に重大な欠陥があり、試験中断して不具合修正は30年半ばまで。とろこが適当な候補がないと事業評価で否定していた外国製候補も真剣に検討との噂。試作品経費は19.7億円で子供の小遣いレベル。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2017年12月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

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清谷 信一
軍事ジャーナリスト、作家

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