ありえへんクレームでも意味はある !? 大阪市救急隊員は飲めへん休めへんのか

2018年01月10日 17:00


【出典】フリー写真素材ぱくたそ

飲み物すら飲んではいけないのか!

年明け早々、大阪市が公表した苦情とその対応がネットで話題になり、テレビでも取り上げられている。市の救急職員が休憩時に飲料水を飲んでいたことに対する「市民からの声」があり、それに対する市の回答が話題になったのだ。

【市民の声】
11月13日午前6時50分くらいに浪速区内の病院に大阪市の救急車で来られた隊員の男性三名の方が病院に搬送後、数メートル離れた自販機で飲み物を三名とも購入されていました。これまでに幾度となく様々な救急隊員の方を見かけましたが、このような行動をされているのをはじめて見ました。その後、救急車の中でその飲み物を飲まれているようでなかなか出車せずでした。勤務中のこのような行動はありなのでしょうか?教えてください。
(原文ママ)【出典】救急隊員の勤務中の行動について(大阪市HP)

これに対する市の回答は詳しく記載しないが、市は次の出場に備え水分補給を行う必要があった旨の丁寧な回答をした。行政文章的には満点の回答。

このやり取りに対して、ネットでは「水分補給しちゃだめなのか?」「お茶くらい飲むだろ」「休ませろよ」「前も似たようなのあったよな」「私も・・・の時にクレームがきた」といった、正義感もしくは感情溢れる様々な意見があふれている。「救急隊員が市民の見えるところで休憩してもいい」という点は共通している。

市民(国民も)レベルで「それはないだろ」的な共同体の規範(のようなもの)を確認できたこと、公務員の方々が常日頃からクレームと呼んでもおかしくない意見を受けている実態が明らかになったことは大変いい事例となったと思う。

後者について、個人的なことであるが、筆者が行政経営コンサルタントであった当時、公聴データを分析したことがあるが、「ありえへん」と呟きたくなる位、こちらも疲弊してしまうくらいの苦情、文句の数々。

理不尽とも思えるような意見が飛んでくる実態。それが垣間見れ、ちょっとは想像できたという意味で大変意味がある。

ただし、個人的には2つのことが感じられた。

第一に、市民にはクレームと呼ばれるようなものかもしれなくても、意見を言う権利はあるということだ。「こんなことを言いやがって」という空気はよくない。その方があまりにも偏屈で、価値観として尋常じゃなくても、それを発する権利はあるし、そういう公共に関することは積極的に発信してもらうべきなのだ。その勇気を尊重しようということ。

一連のことがその市民にとっても学ぶ場にもなる。反省するかもしれないし、言い足りなかった・誤解されたと文章作成能力を後悔するかもしれない。
だから、「ありえへん」まではいいとしても、「こんなことを言うな」的な意見には首をかしげる。おかしすぎる意見であっても、その対応は民主主義のコストとして引き受けないといけない。

第二に、行政の回答の丁寧さと一方通行のコミュニケーションである。自治体に多くあることだが、とっても丁寧な文章で回答終了!というケース、以前アゴラの投稿で書いたように一方的な考え方を説明されて終わってしまう例がよくある。個人的にはその後のコミュニケーションをやり取りしたくても、扉を閉められる感じ。

対応の種別:説明

と今回のケースではHPに記載があるので、どこまでの行動をしたかわからないという前提ではあるが、回答内容よりも、その方が「なぜそう思ったのか」「どのような文脈だったのか」を確認することのほうがとっても重要な気がする。

「ありなのでしょうか?」というところから推察するに、単なる軽い疑問・質問だったかもしれない。

他方、その情景や態度に違和感を感じ、それを遠回しに言った可能性も否定できないし、違ったことで不満がありその感情を今回ぶつけた可能性もある。何かの事象の氷山の一角なのかもしれない。

そもそも、その市民にとって、どの程度の重要性なのか、意味合いなのか。それがわからない。

であるから、市は「なぜそう思ったのか?」直接ヒアリングしたり、公聴部門に招待して対話したりしてもいいのにと思うのだ。相手がどう思ったのか、どういった価値観や思いから行ったのか、回答に納得したのか、くらいは確認することをおススメする。

なぜかって。それは、わざわざ自身の貴重な時間を割いて、文章を書いて、勇気を出して提出、つまり、「声」を上げた方への礼儀であり、そこに、行政経営の質を上げる可能性があるからだ。

全庁的に寄せられる市民の声に対し、当該所属から直接市民に回答するなどの取扱いにより、市民の声と向き合う姿勢を見直し、市民への説明責任を果たし、かつ、市民ニーズを施策・事業に反映させるという、広聴マインドを醸成するとともに、市民の市政への信頼を確保するために、平成18年3月に本ガイドラインを作成しました。
【出典】市民と市政をつなぐ広聴ガイドライン

これを読むと、説明責任は果たしているが、市民ニーズを施策・事業に反映という意味では十分だったのかと思ってしまう。

意見・苦情に対して丁寧に、時には毅然に対応することも大切だが、その裏にある理由や事実を把握することにも気を使うとより良くなるのにと思う。「苦情は宝物」という言葉もあったりする。

行政職員の方々、大変だと思いますが、今年も頑張ってください!そして住民の皆様、勇気を出して小さな疑問を聞いてみようではないか!

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西村 健
日本公共利益研究所 代表・主席研究員

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