痛々しすぎる婚約延期の発表文:新聞報道は死んでいない

2018年02月08日 21:30

宮内庁サイトより:編集部

小室家の背景が複雑すぎる

秋篠宮家の眞子さまの結婚をめぐる背景を、週刊誌やネット情報で、私もある程度は目にしておりました。伝えられる複雑な情報が詳細になるにつれ、事実なら皇室、宮内庁の関係者は困惑しているに違いないと、想像していました。

慶事に至るはずのお2人の喜ばしい話が暗転し、皇室史に残る異例の展開になりました。最も悲しんでおられるのは眞子さま(26)であり、秋篠宮ご夫妻であり、結婚を承諾された天皇、皇后両陛下でしょう。

「私たちは」で始まる結婚延期の発表分には、「予期せぬ時期に婚約報道がなされ、私たちは困惑した」、「私たちの未熟さゆえ」というように、主語がきちんと書かれています。宮内庁主導にせよ、お2人の気持ちを前面にだす工夫をこらしています。

お祝いの気持ちを寄せてくれた方々、2人の気持ちを尊重してくれた両陛下のことなど、関係する方々への配慮もにじみ出ています。達意の表現、明瞭な文章に込められた思いは、読む者に充分に伝わってきます。

字義通りに受け取れない

それだけに、あまりにも痛々しい発表文だと、思わざるを得ません。「私たちの諸行事を再来年に延期し、十分な時間をとって必要な準備する」、「この度の延期を、新たな生活を始めるための時間を作る良い機会と考える」などの部分は、字義通りに受け取るわけには、なかなかいかないからです。

眞子さまには、小室さんとの結婚を成就したいというお気持ちがお強いでしょう。週刊誌報道やネット情報が事実とすると、小室さん側に複雑かつ、筋のよくない事情が少なくなく、まとめ上げていくのは容易ではないと、想像します。

言論プラットフォーム「アゴラ」のフェローである八幡和郎氏(大学教授)がこれまで再三、今回の婚約に対する問題提起をされています。

「元皇族の女性との結婚となれば、それなりの体面を保つことが必要になる」

「圭氏の年収250-300万円では、将来の生活設計が厳しい」

「父親が自殺、その父(祖父)は後追い自殺している」

「母親が父親の死後に婚約し、圭氏の学資などを援助してきた男性とはその後、関係が切れたのに、援助資金を返済していない。しかも返済を要求されている」

「結婚は自由意志によるとはいえ、宮内庁は事実関係を確かめるべきだ」

などなど。週刊誌情報も紹介し、複雑な背景があることを示唆しています。

年収のことはともかく、1つ1つをもみほぐし、2年の間をおいて、祝福される結婚に至る道は平たんではないでしょう。天皇退位、新天皇の即位という事情があるにせよ、2年という期間は、若いお2人とって、あまりにも長いですね。

準備期間という冷却期間

「準備期間というより、皆が傷つかないようにする冷却期間ではないのか」、「圭氏のほうから、いづれ慶事の辞退を申し出ることもあり得ないではない」といった憶測も聞かれます。

なぜこのような展開になったのでしょうか。酷な言い方をすると、家族の事情、金銭問題を熟知していた圭氏が事態を甘く考えていたということもあり得ます。皇室を離脱される人との結婚とはいえ、通常の男女の場合とは違います。400万円という借金も必ずしも、返済できない金額ではないのに、なぜこじれたのか。

次は宮内庁の調査能力です。天皇の退位問題で頭が一杯だったのでしょうか。「若い2人に任し、当分は見守っていよう」と思っているうちに、話が急テンポで話が進んでしまった。週刊誌に情報提供者が現れ、宮内庁は先を越されてしまったのでしょうか。

新聞報道は「死んだ」ことにはならない

最後に、「アゴラ」編集長の新田哲史氏が、今回の件では、週刊誌、ネット報道が先行し、「新聞報道は死んだと思う」という主旨の記事を「アゴラ」掲載しています。確かに、新聞、テレビは少なくとも雑誌広告で、関係情報に接しながら、宮内庁の「結婚延期」発表まで、ほどんど何も触れていません。

新聞、テレビにとって、皇室報道は最も神経を遣い、慎重を期す分野です。噂や伝聞の段階では書きませんし、誤報をすれば社内処分は必至です。社内処分が怖いのではなく、ありそうな話でも、万全の取材で確実に裏をとってからでないと、扱わないのです。

皇室報道は、天皇の退位、新元号の決定、新天皇の即位、新しい皇室像、天皇制のあり方、それらにまつわる多数の儀式、段取り、関係会議、その報道や解説、識者たちの意見紹介などが最重要の課題です。

新聞報道はそういう分野で力量を発揮すればよいのであり、今回の件があったからといって、「死んだ」ということになりません。それぞれのメディアがそれぞれの特性、持ち味を生かし、読者を獲得していくべき時代です。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2018年2月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。

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中村 仁
ジャーナリスト、元読売新聞記者

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