小泉進次郎世代の最大の課題?長期停滞と恒常的な流動性の罠

2018年02月26日 11:30

1998年、経済学者のポール・クルーグマンは日本の長期停滞についてその原因の根本をケインズにより提唱された概念である「流動性の罠」により説明し、処方箋としてインフレ期待に働きかけるような金融政策の必要性を説いた。

この論文の発表から20年が経ち、クルーグマン自身が論文の検証と再評価をおこなった。

It’s Baaack, Twenty Years Later

グローバル金融危機の10年前に書かれ、その処方箋が実行されて世界経済が回復に向かいつつある状況を見れば、非常に先見性のある論文であった。

今回の論文で日本についても興味深い指摘があった。20年前の分析の時に想定されていなかった事態として人口減少などを理由にして日本が長期停滞に陥いり自然利子率が恒常的にマイナスになる可能性があることである。この場合好景気などの例外を除いて経済は常に流動性の罠に陥ることになる。

これが意味することは金融政策のインフレターゲットが2%では足りないということであり、日銀による政策の見直しが必要となる。しかし当初の2%の目標も達成できていない状況で「実は2%でも足りません」というのは難しい状況である。19年辺りに予想される米国経済サイクルが下降局面に向かうことを考えると、日銀黒田総裁にとっての2期目は1期目よりさらに難し環境となるだろう。

政府としても財政再建と経済成長を両立させることの難しさに加えて、高いレベルでのインフレが常に必要となると、現在想定しているよりはるかに大きな所得移転により社会の不安定化が懸念される。

これらの問題は時期的には安倍首相の再選後の任期満了(21年)よりあとに顕在化するであろう。つまり「次の首相」は世界経済の状況次第では日本の経済の停滞が再び顕著化した時、今よりも限られた武器で今より多くの制約下での経済運営を強いられる。この舵取りに失敗すると社会の不安は時の政権に向かい、自民党が下野する可能性も現実味を帯びてくる。

「将来の首相候補」として名前が挙がる小泉進次郎氏をはじめとした5~10年後に首相の座を目指す自民党議員にとっても4〜5%程度のインフレによる不確実な価格変動の下、所得移転が発生し一部の資産バブルが起きてもなおかつ社会全体の実質成長率は低い場合の国民の不満をコントロールしながら経済運営という非常に難し課題が待ち受ける可能性がある。是非とも今からその対策を考えていただきたい。


編集部より:このブログは与謝野信氏の公式ブログ 2018年2月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、与謝野信ブログをご覧ください。

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与謝野 信
証券会社勤務、TOKYO自民党政経塾生(第11期)

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