転出超過自治体:ワースト3は北九州、長崎、那覇

転入超過は東京への一極集中がより顕著に、首都圏4都県で89%超

各都道府県や市区町村における2017年1年間の転入超過、転出超過が明らかになりました。
まず全体的な傾向を共有してもらうために都道府県の状況から紹介します。

47都道府県中転入超過となったのはわずか7都府県、残りの40道府県は転出超過となっています。
転入超過都府県の転入超過の計は133,967人、その半数以上の56.4%に当たる75,498人が東京都の転入超過となりました。

次いで転入超過が多かったのが千葉県の16,203人、3位が埼玉県の14,923人、4位が神奈川県の13,155人と4都県が全体の89.4%を占めました。
5位が福岡県の6,388人、6位が愛知県の4,839人、7位が大阪府の2,961人と各地域の中心都市に集中している様に見えます。

逆に最も転出超過だったのが福島県の▲8,395人、次いで兵庫県の▲6,657人、北海道の▲6,569人と続きます。
転入超過が東京に集中しているのに対して、転出超過は幅広く多くの自治体に広がっている状況だと言えます。
また世代別の転入超過と転出超過を見ると、そのほとんどが20代である事も見えてきます。

図表: 転入転出超過自治体ランキング(都道府県)

出典: 高橋亮平作成

 

転出超過は2年連続で最多が北九州市、次いで長崎市。

2017年に最も転出超過となった基礎自治体は、北九州市(福岡県)の▲2,248人(2016年▲2,623人1位)、2位は長崎市(長崎県)の▲1,888人(2016年▲1,547人2位)と前年度と同じ自治体による1,2となりました。
3位は那覇市(沖縄県)の▲1,537人(2016年▲1,197人10位)、4位は呉市(広島県)の▲1,361人(2016年▲584人48位)、5位は日立市(茨城県)の▲1,215人(2016年▲1,250人8位)、6位は横須賀市(神奈川県)▲1,112人(2016年▲1,266人7位)、7位は南相馬市(福島県)の▲1,081人(2016年▲523人62位)、8位は下関市(山口県)の▲1,028人(2016年▲1,188人11位)、9位は釧路市(北海道)の▲1,023人(2016年▲1,002人14位)、10位はいわき市(福島県)の▲992人(2016年▲421人99位)となっています。
転出超過自治体については、1位と2位が前年と同じだった事をはじめ、多少の上限はあるものの例年と同じ様な状況でした。
下位自治体については固定化されて来ている傾向にあるとも言えます。

図表: 転出超過自治体ランキングワースト50(市区)の転出超過数の推移

出典: 高橋亮平作成

 

転入超過最多は15倍になった大阪市。次いで21倍の名古屋、113倍の京都市

一方で最も転入超過になったのは3年連続で大阪市(大阪府)、154,853人(2016年9,474人1位)と前年の15倍以上に増えました。

2位の名古屋市(愛知県)も127,663人(2016年5,950人6位)と前年比21倍、3位は京都市(京都府)に至っては66,886人(2016年590人76位)と113倍にも増えています。

4位の神戸市(兵庫県)も64,007人(2016年▲242人563位)と転出超過からの大幅な転入超過に、5位の堺市(大阪府)は31,006人(2016年▲1,206人806位)とワースト9位から一気にベスト5位に転じるなど、転入超過自治体はこれまでの状況から一気に変わって来ています。

ちなみに以降も6位は浜松市(静岡県)の29,926人(2016年▲606人771位)、7位は静岡市(静岡県)の22,967人(2016年▲811人791位)、8位は西宮市(兵庫県)の19,056人(2016年57人202位)、9位は豊中市(大阪府)の18,318人(2016年681人69位)、10位は吹田市(大阪府)の17,625人(2016年1,872人34位)となっています。

転出超過は都道府県同様に幅広い自治体に薄く発生しているのに対して、転出超過が一部の自治体に集中している事は、基礎自治体で見るとより顕著であることが見えてきます。

大阪市の転入超過数は1市で東京都全体の転入超過数の2倍になっている事は衝撃的です。
また図表を見ても転出超過下位市区と異なり、転入超過上位市区は昨年まで転出超過下位から一気に状況を変えた自治体も多くある事も2017年の大きな特徴として見えて来ます。

2010年からこうした調査を行なっていますが、震災による影響で被災地やホットスポットと言われた自治体の状況が大きく変わった以外は大きな変動はなく、2017年はこれまでにない傾向を示しているとも言えます。

図表: 転入超過自治体ランキングベスト50(市区)の転入超過数の推移

出典: 高橋亮平作成

図表: 転入超過数別自治体数の推移

出典: 高橋亮平作成

対象とした全国814自治体(2013〜2015は813、2010〜2012は812自治体)の転入超過数別自治体数の推移を見ても、調査を始めた2010年から例年ほぼ同じ様な状況で推移して来たにも関わらず、2017年だけが極端に大幅に転入超過自治体が増えた自治体が増えた事が分かります。

2016年の転入超過の最多が9,474人(大阪市)、2015年が11,662人(大阪市)、2014年が8,363人(札幌市)、2013年は10,088人(札幌市)、2012年は9,284人(仙台市)、2011年は11,129人(福岡市)、2010年は5,820人(大阪市)だった事から考えても、2017年の154,853人(大阪市)は極端な規模だという事が言えます。

転入超過数だと東京一人勝ちだが、自治体数だと近畿、東海で圧倒的に増えている

図表: 転入超過自治体ランキング都道府県別ベスト50ワースト50自治体数

出典: 高橋亮平作成

転入超過自治体と転出超過自治体をそれぞれベスト50、ワースト50に入っている自治体数を都道府県別に見ていくと、転入超過は、大阪府の13自治体を筆頭に、愛知県と兵庫県で8市、静岡県で4市、三重県で3市など近畿地方、東海地方の自治体に集中している事が分かります。

一方で、転入超過数で見ると東京都が圧倒しており、東京都が全域に他地域からの流入がある一方で、近畿地方や東海地方では、都道府県内で勝ち組と負け組に分かれる傾向がある様にも思えます。

今回の調査では市区に限定しましたが、特に2017年の圧倒的に転入超過になった自治体への流出の背景には、町村など小規模自治体からの流出も顕著になっている事も明らかになって来ました。

図表: 都道府県別転入超過数

出典: 高橋亮平作成

 

23区は順位は落としたものの例年と変わらない転入超過数

図表: 転入超過自治体ランキング(23区)の転入超過数の推移

出典: 高橋亮平作成

都道府県では圧倒的な転入超過の一人勝ちだったにも関わらず、転入超過自治体ランキングではベスト50に大田区しか入らなかった東京都について、どういった事が起こっているのかを見るため、東京都の転入超過の中心になっている23区についても見て行きたいと思います。

23区は、2016年には転入超過自治体のベスト10に世田谷区5,841人7位、中央区4,787人8位、大田区4,263人9位と3区が、ベスト20にはさらに6区を加えた9区が入っているなど23区中、千代田区を除いた22区が50位以内に入っていました。

2012年以降は毎年同じ様に21区〜22区が50位以内に入っていましたが、2017年は、50位以内に入ったのは5,332人50位の大田区ただ1つだけとなりました。

順位だけを見ると大幅にダウンしている23区ですが、一方で転入超過数を見ると、23区中1位の大田区は5,332人50位(2016年4,263人9位)、2位の中央区は5,206人51位(2016年4,787人8位)、3位の世田谷区は4,816人 53位(2016年5,841 人7位)を始め、過去数年の転入超過数を比較してもあまり大きな変動はありません。

都道府県における転入超過でも東京都が圧倒的な転入超過であった事からも分かる様に、23区はこれまで同様に転入超過を順調に進めている事が分かる一方で、2017年においては、これまで上位でなかった様な自治体の中に急激に転入超過になった自治体があった事が分かります。

都道府県2位の千葉県のベスト3は流山市、柏市、船橋市。市川市は5位

図表: 転入超過自治体ランキング(千葉県内市)の転入超過数の推移

出典: 高橋亮平作成

都道府県の転入超過ランキングで2位だった千葉県のベスト5は、1位が流山市の3,909人70位(2016年3,582人11位)、2位が柏市の3,153人98位(2016年2,701人19位)、3位が船橋市の2,813人114位(2016年2,304人23位)、4位が千葉市2,108人147位(2016年866人57位)、と続き、市川市は千葉県内で5位の1,670人183位(2016年2,083人28位)となりました。
23区と同様に千葉県内自治体も順位こそ急激に落としたものの転入超過数では前年とそれ程変わらない状況を維持しました。

 

市川市の課題は転入超過が10代20代だけでその他は転出超過であるという現実

ただ一方で、市の社会増源である転入超過数だけを見ていても見えない部分もあります。
例えば、転入超過数で見るとどうしても自治体規模の大きい自治体の数が大きくなります。
例えば千葉県内で転入超過数で5位の市川市も人口に占める転入超過数の割合で見ると0.34%しかなく順位も県内で11位まで落ちます。

逆に袖ケ浦市などは転入超過数では11位ですが、割合では3位という事になったりもします。
人口減少と超高齢化社会においては、国は勿論ですが、自治体にとってもこうした人口問題は最も大きな課題になります。

国全体ではこうした人口問題に関しては、こうした前提を認識した社会システムへの転向をするか、生産年齢を移民として受け入れるかの二択しかありませんが、自治体においては、こうした社会増減により、こうした人口問題を解決できる言わば「勝ち組」になる自治体と、一方で人口流出超過に歯止めがかからず人口問題に拍車のかかる「負け組」がより顕著になる、自治体間競争の時代になって来ます。

こうした中で、それぞれの自治体間競争は今後さらに激化していく事になりますが、中でも最も重要なのが生産年齢人口をどう増やし続けていくかが重要な課題になります。

筆者自身も昨年11月に市川市長選挙に挑戦するに当たり、この人口問題を中長期的にどうやって改善していくかが、市川市においても最も大きな課題であると位置付け、とくに子育て世代の呼び込みと、こうした若い世代がさらに住み続けて死を支えていく構造にどう転換していくかが重要だと政策の転換を提案して来ました。

今回調査した最新の転入超過自治体調査においても、1,670人で全国183位、県内5位となった市川市の転入超過も、各年代ごとの転入超過を見ていくと、20代の転入超過2,765人に依存している構造になっている事が分かります。
さらに細かく見ると、20代前半の2,205人がその大半であり、あと転入超過になっているのは10代後半の355人、20代後半の560人、90代以上の23人ぐらいです。

市川市にとって深刻なのは、生産年齢人口の中でも実質的な税収の中心となる30代が▲235人、40代が▲300人、50代が▲116人、60代が▲280人とその全てが転出超過になっている事です。
こうした状況は、県内で他には浦安市ぐらいで、市川市では2016年も同様であり、構造的な働く中心世代の転出超過は大きな課題になっています。

もう一つ市川市の大きな課題は、0〜9歳という世代が▲492人と大幅な転出超過になっている事です。
待機児童数全国ワースト4位となるなどなった事など、「子育てしにくい街」としての「マイナスブランド」が完全に構築された結果とも言えます。

将来的な人口構造の転換という視点からも、こうした子育て世代をどうやってもう一度呼び込める自治体にするかは、自治体最大の課題と言えるこの人口問題における大きな課題と言えます。

市川市民の皆さんにも今一度、この人口問題における市川市の切実な状況を共有してもらえればと思ったりします。他の自治体の皆さんにおいても、それぞれの地域における自治体の人口問題を考える参考にしてもらえれば幸いです。

図表: 転入超過自治体ランキング(千葉県 人口割合・世代別転入超過含む)

出典: 高橋亮平作成