決裁文書の「書き換え」は日常的だったのか

2018年03月13日 12:30

きのう発表された森友文書の書き換えは14の文書、310ヶ所にもわたり、特に貸付契約の経緯は大きく削除されている。佐川理財局長(当時)が国会で政治的配慮を否定し、価格交渉もなかったと答弁したことに合わせて書き換えたのだろう。

とはいえ書き換え前の文書に、重大な問題があるわけではない。焦点の安倍昭恵さんの関与については「普通財産の貸付けに係る承認申請について」(平成27年2月4日)の平成26年4月28日の記述として

なお、打ち合わせの際、「本年4月26日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから前に進めてください』とのお言葉をいただいた」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示)

と書かれているが、これは籠池理事長の発言であり、昭恵さんの圧力を示すものではない。他にも政治家の名前があがっており、佐川局長の国会答弁とは矛盾するが、それは答弁を訂正すればよい。ところが逆に、答弁にあわせて資料を改竄したのが今回の事件である。

問題はそれを誰が指示したかだが、きのうの麻生財務相の話によると「理財局の一部の職員が近畿財務局に指示した」という。NHKニュースによると、近畿財務局は大阪地検にも「書き換え後」バージョンを提出したが、「検察はその後、2種類の文書の存在を把握し、去年までに書き換え前の文書を入手」したという。

この「書き換え前バージョン」は、2015年の貸付契約と2016年の売却契約のとき大阪航空局に提出しており、国交省は「2種類の文書」の存在を把握していたようだ。つまり2017年になって文書を改竄したことには、最初から無理があった。

この経緯が今後の焦点だ。佐川局長が直接、指示したことは考えにくいが、「答弁と食い違うな」ぐらいは言ったかもしれない。その意を受けて理財局の幹部が書き換えを指示したら、近畿財務局は「国交省には元のバージョンを出したので改竄がばれる」と抵抗したと思われるが、それでも「本省が責任をもつからやれ」といわれたらやらざるをえない。

もう一つの特徴は、すべて添付資料だということだ。決裁文書の本文はいじっておらず、法的な効力には影響しない。3ヶ所に「差替前」という手書きのメモがある。地方部局では、この程度の「差替」は日常的に行われていた可能性がある。財務省の大臣官房に上がった答弁資料も、検察への提出資料も「差替後バージョン」だったとすると、官房はチェックできなかったかもしれない。

だれが指示したかについては財務省が「調査中」とのことだが、「差替」が日常的に行われていたとすると、財務省だけではなく全官庁の発表が信用できない。安倍政権の危機にとどまらず、民主主義の根幹にかかわる深刻な問題である。

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池田 信夫
アゴラ研究所所長 SBI大学院大学客員教授 学術博士(慶應義塾大学)

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