本物のリベラルなら二重国籍は容認できないはず(特別寄稿)

2018年04月28日 06:01

民進党在籍時に国籍問題で注目された蓮舫氏

偽リベラルは、世界のリベラルの常識に反する主張を山ほどしている。

①マイナンバーのような国民を番号によって一元的に管理し、脱税などを防ぐとか、公的な身分証明書の携帯や提示を義務化する。というのがリベラルや左派の主張で、嫌うのが保守派だ。

②防衛力の強化につながる政策を政府が出すとすぐに「いずれこれは徴兵制につながる」というが、左派やリベラルは徴兵制には好意的なのが普通だ。

同じことが、二重国籍問題についてもいえる。

彼らは、二重国籍というものを認めることが、多様性を認める世界の象徴であるとか、思っているらしい。しかし、これはまったくの勘違いだと思う。

移民に寛容という傾向は、欧米の左派やリベラルに共通してある。しかし、国籍についてあいまいだとか、違法であっても何が悪い、政治家の国家への忠誠を求めるなど国粋主義だという思想は、世界中どこの左派にもリベラルにもない。

欧米では、もともと、多重国籍が当たり前だった。ところが、第一次世界大戦で仏独二重国籍の人が困った立場に立ったりしたので、できるだけ単一国籍の原則に近づけていこうというので、議論が行われるようになったという経緯がある。

また、アメリカなど新大陸の国々では、移民がなかなか国籍を取ってくれないので、元の国籍を棄てなくても良いから国籍取得を推進する、あるいは、無理矢理に取らせた。アメリカで生まれたら自動的にアメリカ国籍を取得させるようにした。放っておくと母国に愛着のある移民がなかなか国籍をとらなかったからである。つまり、新大陸における二重国籍は、二重国籍でもいいから移住先の国籍を取得して欲しいという趣旨である。

一方、東アジアでは二重国籍を認めてきた歴史がない。

韓国については、韓国は二重国籍を限定的に認めているが、これは李明博政権が、新自由主義的論理で優秀な人材に特権的に二重国籍を認めたのであって、人権が理由でない。2010年4月21日に成立し、2011年1月1日より施行された国籍法一部改正では、韓国籍取得者の外国籍放棄義務の緩和がなされた。

韓国人と婚姻した状態で韓国に 2 年以上居住したもの(同時に帰化時点で韓国人配偶者と婚姻が継続していること)、外国人で韓国に特別の功労がある者又は国益に寄与すると認められた優秀な者、永住のために満65歳以上で帰国し、韓国籍の回復を許可された者、本人の意思にもかかわらず、その外国の法律や制度により外国籍を放棄することが困難なもの、韓国籍の回復を許可された者で韓国に特別の功労がある者又は国益に寄与すると認められた優秀な者などである。

これは、研究者、ビジネスマン、スポーツマンなどで韓国に必要な人物については、もとの国籍を放棄しないでも韓国籍を付与するとか、海外で活躍する韓国人の帰国を促すための措置である。

つまり、二重国籍を認めろというのは、主として経済的な強者が権利は二人分、義務は一人分認めろという虫のよい要求であるが、それでも金持ちには、韓国籍を取得できる、放棄しなくて良い、回復させてやろうということである。いうまでもなく、こうした強者を不公平に優遇する措置は、リベラルや社会主義者の正義やにはむしろ反するものである。

ところが、日本のリベラルとか左派とか称する人たちは、何を間違ったか、二重国籍を正義にかなうことのように勘違いしている。

たとえば、アメリカで日本人の両親のあいだで生まれた二重国籍者の場合なら、日本人として何も失わず、アメリカでのビジネスなどでは有利な扱いを受けるし、うっかりすると両方で選挙権を行使できる。

そのことで、普通には日本の国に損害を与えるわけでないのだが、正義ということに照らしたら、二人分の権利行使であって許されるべきでないはずだ。だから、新自由主義者なら、それでも国に損をさせるわけでないのだからいいじゃないかとなり、正義だとか平等だとかを重視するリベラルや左派なら、これを否定するべきなのではないかと思う。

もっとも、偽リベラル系の人で二重国籍を容認する人の中には、近隣諸国の国籍をもち、意識の上でもその国に忠誠心を持っている人で、ただ、両方の国籍を使い分けることができたら便利だと思っている人に、日本旅券をもらってあげたいと支援するためにそういう意見をいっている人が多いことはいうまでもない。

中国はいまもいっさい二重国籍は、禁止である。ただし、日本人とのハーフで両国の国籍を保有している人がいて、22歳までに日本国籍を国籍選択しながら、それを中国に通知して国籍離脱していない人はかなりいるのではないかといわれる。

というのは、中国の場合、外国人は経済活動や財産保有が制限されているし、「戸口」(常住人口登記。「戸籍」と訳されることが多い)を都市でもっているとたいへんな特権である。それを容易に放したくないのである。

ところが、三月から、「上海市常住戸口管理规定」にもとづいて、外国に定住していたり外国籍を持っている人は上海市の「戸口」を失うという内容が記され大騒ぎになった。これに在外の対象者が騒いで、過激な運用はしないことになったようだが、習近平政権は腐敗撲滅の観点から、海外にいる富裕層が権利は二人分的な行動をすることへの圧力を強めており、方向としては、そのさきがけだろう。中国は二重国籍を認めていないため、外国籍の取得者が戸口を失うのは仕方ない。ただ、国内外の中国人に衝撃が走ったのは、剥奪の範囲が「国外に定住」する者——。すなわち中国国籍を残したまま日本やアメリカなどの永住権(グリーンカード)を持つ人にまで拡大されていたことだった。

台湾では、中国と対峙する中で、国民の数をできるだけ多く見せたいという動機から二重国籍を認めている。ただし、政治家については排除されているし、旅券の使用も規制がある。たとえば、もし謝蓮舫氏が台湾国籍を持っていたにもかかわらず、彼女がいうように日本旅券で出入国していたとすれば台湾の法律には違反していたことになる。

なお、特殊なのは、インドネシアの中国人で、戦後、インドネシアが出生地主義、中国が血統主義だったので二重国籍者が続出して、スカルノ時代にインドネシアへの帰化を図ると言うことで協定が結ばれたりした。

「立憲民主党」「朝日新聞」という名の偽リベラル
八幡 和郎
ワニブックス
2018-02-26
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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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