自由民主党の地方創生実行統合本部(本部長:河村建夫衆議院議員)において、「地方への人の流れを促す『UIJターン』の抜本対策について」発表する機会をいただきました。
その中で、強調したことの一つが、
「NO2の登用」について
ピラミッド型・縦割りの組織は、決められたことを漏れなくやるときは力を出しやすいが、新しいことをやる、分野横断的なことを始めるときは、多くの人が拒否権を持ってしまいます。
一方、私が2人目の副町長を務めた鹿児島県長島町では、私にルーティンワークがなかったからこそ、地元の副町長等と役割分担しながら、自ら企画するだけでなく、職員・住民・企業のやりたいことを引き出し、調整しました。それが、イノベーションの最大の要因です。
「ないものはない!」。島根県海士町の名言ですが、町にはない業種については、その分野の最も有力な外部企業と組むことを意識しました。副町長という立場だからこそ企業の意思決定ができる立場の人と交渉できたわけです。係長ならば、相手も係長が出てきて、相手方の組織でも多くの人が拒否権を持ってしまいます。
NO 2の重要性は、自治体だけではありません。
教育、福祉、農業などの分野も同じです。
学校でも、地域や企業等と連携することで、
・放課後の自習を見守る、スポーツを指導する、文化に触れる
・多様な進路を示す、職業体験をする
ことなどが可能になります。
しかし、これらの能力は、生徒に教えることとは異なる経験・能力が必要です。
そこで、民間人校長が公募されることもありましたが、民間人校長は、外部との連携だけでなく、既存の組織のマネジメントなども求められるため、卓越した限られた人だけが成果を発揮しました。失敗も少なくありません。制度としては、民間人校長よりも、民間人副校長の方が機能しやすいわけです。
福祉の分野でも、鹿児島の旭ヶ丘園は、職員が働きやすい環境を追求することで、スキルやノウハウが向上。いい意味で余裕が生まれ、利用者のケアを直接担当しない専属の地域連携室を置き、大きな成果を挙げています。
⇒ 理想の介護がここにあった!鹿児島・旭ヶ丘園の「尊厳経営」
さまざまな分野でNO 2待遇のコーディネーター(調整役)を増やすことは、現場からのイノベーションを増やすとともに、地域に優秀な人材が定着するための仕掛けになります。
今後の骨太の方針や予算編成などを楽しみにしていきたいです。
<井上貴至 プロフィール>
<井上貴至の働き方・公私一致>
東京大学校友会ニュース「社会課題に挑戦する卒業生たち」
学生・卒業生への熱いメッセージです!
<井上貴至の提言>
間抜けな行政に、旬の秋刀魚を!
編集部より:この記事は、井上貴至氏のブログ 2018年4月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『井上貴至の地域づくりは楽しい』をご覧ください。