映画ロケをしやすくする戦略とは?

中村 伊知哉

内閣府知財本部「ロケ撮影環境改善官民連絡会議」@霞が関。
ファシリテーターを務めます。
日本映画テレビプロデューサ協会、日本映画製作者協会、角川、松竹、ATP、NHK、フジテレビ、警察庁、総務省、消防庁、文化庁、経産省、外務省、国交省、観光庁、東京都など。

知財本部は昨年度、映画振興会議を設置し、映画製作、海外展開、ロケについて議論したことを踏まえ、このロケ連絡会議を設置、許認可手続の情報共有と海外作品誘致について討議してきました。今回が中間とりまとめです。

会議では、各地方自治体が設けるフィルムコミッションの撮影支援について情報共有しました。
全国300のフィルムコミッションが活動していて、2016年邦画の興収ベスト実写32作品中31作品に対し地域フィルムコミッションが支援を行っているとのことです。

大阪、北九州、名古屋、東京などのフィルムコミッションでは、今の制度下で大規模撮影を可能としている実態が共有されました。
官庁や自治体との連携のもと、やれているところはやっていると。

同時に、道路占用などの許可が円滑に進むよう現場からさまざまな要望も寄せられました。
この日も車撮影中のシートベルト外しやナンバープレート変更、電車利用や火気使用などの意見が出されました。
これに対し官庁は条件つきで「できる」方向で回答しました。

この会議では、政府・自治体ともに「No」という対応はせず、概ね前向きでロケ・撮影に協力する姿勢を見せています。
できる手を打っています。
民間からも「こういう官民会議をもっと早く開くべきだった」という声があがっています。

重要なのは規制緩和よりも今ある仕組みをうまく使いこなすよう、こうすればOKという情報を共有すること。
また各省庁もネットなどで通達やガイドラインの広報周知を徹底することです。
その大切さも共有されました。

これらは「戦術」レベルですが、だからといって釜山での大型ハリウッド映画撮影のようなことが東京で実現するのか?どこまで日本は可能なのか?韓国・フランスのような国家エージェント機関を持てるのか?といった「戦略」レベルの問いかけもありました。

また、映画の枠を広げ、テレビやOTTを含む映像産業としてこの問題をどうとらえるのかという、これまた「戦略」レベルの問題提起もありました。

この会議はまだ続きます。

戦術論と戦略論を交差させてまいりたく、引き続きご協力のほどお願い致します。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2018年5月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。