節税が会社を殺す?税金を安くする手法の9割は間違い!

2018年05月24日 06:00

写真は税理士の松波さん(HPより)

「いまは売上が堅調だ」「よし!大きな受注がはいったぞ!」。売上は重要な経営指標であることは間違いない。経営者の半数は売上が好調なほど手元資金は「増える」と錯覚していることをご存じだろうか。ここに経営の落とし穴がある。

今回、紹介するのは『その節税が会社を殺す お金に強い社長がコッソリやってる節税&資金繰りの裏』(すばる舎)。著者は税理士の、松波竜太さん。会計事務所業界のキャリアが長く、多くの資金繰りと銀行交渉についてサポートをおこなってきた実績がある。本書では、会社を強くする節税・銀行の言いなりにならない交渉術がまとめられている。

売上が増えてもお金は増えない

多くの経営者が必死になって「節税」を行っている。多くの人にとって、「節税」は非常に興味・関心の高いテーマであることが理解できる。

「いきなり結論を申しますと、世の『定説』『定番』とされる節税のほぼすべてが無駄、無意味です。無意味ならまだいい方で、むしろ逆効果、経営に悪い影響しかもたらさないものばかりです。そのような節税をしてはいけない!私は声を大にして言いたいのです。そのため、『節税以前にやることがありますよ』とお伝えしています。」(松波さん)

「多くの経営者が、あらゆる経営の場面で『思っていたよりお金がかかっちゃつた』と、あたふたしていると感じています。どんぶり勘定の経営に対しては厳しく接していますが、決してどんぶり勘定でない、お金に関してしっかりした経理担当者がいて、かっちりしている会社でも、お金のことで苦労しているところがたくさんあります。」(同)

その理由はなぜか。松波さんによれば、「どのくらいお金がかかるかの想定と、実際にかかった額に差があること」だと述べている。

「これは数字の問題ではありません。考え方の問題です。多くの経営者は『売上が増えればお金は増えるはず』と思っています。ところが楽にならないので不思議に思いながら『貧乏暇なしだ。やれやれ』と日々の仕事に追われています。売上が増えてもお金は増えません。むしろ減ります。」(松波さん)

「手元資金が尽きること=会社の死を意味します。手元資金はガソリンのようなもので、それがなくなると会社も運転できなくなります。残念ながら間違った考えのもとに動き、お金を減らしてしまうアクションを取っている会社がたくさんあります。」(同)

節税をしてお金を減らす

お金を集める簡単な方法は「銀行から借りる」ことである。しかし節税をして手元資金が減ると借りにくくなってしまう。借りても金利が高く短期なので条件が悪くなる。

「お金がなければ、仕入れもできせん、機械も買えません、売上を増やすためのものを作れなります。お金を必死に回しますから『自転車操業』です。経営の悪いスパイラルはこうなっています。(1)節税する、(2)利益が減ってお金がなくなる、(3)銀行が貸してくれない、(4)投資ができない、取引先への支払いが遅れる、(5)倒産。」(松波さん)

「この悪いスパイラルを断ち切り、良いスパイラルにしなければいけません。しっかり手元資金を確保し、必要な投資が可能で経営にも余裕を持てる状態に。余裕ができれば、銀行が『低金利などの良い条件にしますから、借りてもらえませんか』と言ってきます。良いスパイラルを回すことは、どの会社でもできることです。」(同)

松波さんは、今まで銀行からの扱いがぞんざいだったのは、そのポイントをつかんでいなかった可能性が高いと解説する。銀行は、実は非常に与しやすい相手であり、銀行によって多少の違いはあるものの、基本の対策は一律で構わないからである。

「その他大勢」から抜け出す

この本は、一般の営業マンなどにもおススメしたい。営業マンは受注が決まることで社内に売上げが立つ。しかし、そこから商品を納品するまでには時間が掛かる。一般的に、支払いサイト、入金サイトを考えて活動している営業マンは少ない。

自分の営業活動がどのようにお金にかわり、会社に寄与していくのか。お金の流れを把握することで経営のことが理解できるようになる。それは、「その他大勢」(言いかえるなら単なる普通)から抜け出すためのヒントになるかも知れない。

尾藤克之
コラムニスト

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尾藤 克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員

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