米朝首脳会談中止の責任は中韓にある:緊急寄稿

2018年05月25日 07:40

El Periodico de Utah/flickr:編集部

米朝会談は中止されたが、私は希望は失っていない。金正恩が率直に反省して素早く反応すれば意外に早く会談が行われるかもしれない。

米朝の関係修復のためには、双方にある種の軽はずみさがなければどうにもならない。アメリカが荒々しく軍事行動の可能性を示し、その一方で、金正恩の体制保持について保証を与えるかわりに、金正恩は清水の舞台から飛び降りるつもりで懐に飛び込むしかないし、それは可能だと私はいまも思う。

今回の取りやめの理由はポンペイオが説明しているように、アメリカ側の核放棄手続きについての具体的な提案について北が回答を引き延ばした(思考停止に陥ったのかもしれないし、国内の抵抗を金正恩がはねのけられなかったのかもしれない)、はたして6月12日までに準備がまとまるか心配したことのがメインだろうが、直接の引き金は、ペンス米副大統領の発言に対して崔善姫外務次官が「愚かしい」など失礼な批判をし、「米朝は首脳会談を開くか、核で対決することもできる」などと述べたことのようだ。

「北朝鮮が望む場合、裏口はまだ開いている。ただ最低限でもレトリックの変更は必要だ」としているが、トランプ大統領はアメリカ合衆国のプライドを重視する人だから、それをくすぐり続けない限り話にならないのである。とくに、副大統領を侮辱することはボルトン補佐官を批判することとは意味が違うのである。北朝鮮はアメリカを侮辱する言葉の誘惑をあきらめない限りせっかくの実質的な前向きの決断をしても台無しであることを知るべきだ。ただ、アメリカ人の解放はトランプも評価しているから、希望はまだある。

文在寅や習近平がちょこまか出てきて余計なことするからろくでもないことになったという面は間違いなくある。わが安倍首相のように、どっしり構えておれば良いものを馬鹿な連中だ。

大きな流れとしては、トランプが本気で金正恩との取引を望み、そのなかで、核兵器のアメリカへの移送や、場合によっては核技術者の移住まで要求しているという本気度にうろたえて習近平に相談にいったときに、習近平はここはアメリカのいうことを聞いておくことを勧めつつ体制維持の約束については、アメリカから保証を取り付けることについては、仲介することを提案すべきだった。ところが、習近平が核放棄を段階的にすることにでも理解を示したのではないか。

文在寅については、私は、「これまでの大統領はそれなりの自己主張をしたがったから邪魔だったが、文在寅は北の使い走りに過ぎないからかえって好都合だ。余計なことしたがると平和のためにならないからあまり動かない方が良い」と最近、書いたばかりだ。ところが、米朝の話し合いで蚊帳の外に置かれているのに満足できなくなっていろいろ盲動したように見える。

文在寅としては、米朝の話し合いを促進すれば自分の地位向上が図れるとみたのが、逆に、無用になることに気づいて慌てたのかもしれない。韓国政府が何かして自分も絡みたいと思うとろくなことがない。足下もみられるし、北も余計な期待をする。

アメリカは安倍首相のアドバイスをよく聞き、あとは、習近平にはしっかり釘を刺すだけでよい。文在寅にはあまり情報も与えない方が、交渉としてはうまくいくだろう。文在寅が南北首脳会談をしてもよいが、トランプの言うことをよく聞くようにという以外はいうべきでなかったし、ワシントンに行ってもろくなことにならないか心配だったが不安は的中した。

それから、金正恩がイメージアップ作戦に成功しすぎて、生き残りだけでなく、自分のイニシアティブによる南北統一に望みを持ったのもまずかったようにみえる。

会談中止の裏には、北の側がシンガポールでは安全の保証が心配だったというようなこともあるかもしれないが、いずれにしても、北の方からキャンセルしたら修復が難しいが、アメリカ側からしたのだから、金正恩次第で、早期の仕切り直しは可能だと思う。

日本は拉致問題について、北朝鮮から方針が示されるまでは動くべきでない。それまでは、トランプに強硬姿勢を勧め、核と拉致が解決すれば、経済協力はするといっておれば良い。

拉致は生存者の帰還と、もし、亡くなっている人がいるなら正確な情報提供は譲るべきでない。一方、私は、関係者の処罰や拉致自体の真相究明も過度にこだわらない方が良いと思う。経済協力のハードルを分かりやすく示さないと「取引」材料にならない。

一方、体制保持については、習近平、プーチン、それからどうでもいいが文在寅と具体的な保証を与えてアメリカの心変わりがないように保証する側に回ることはできると思う。ただし、それは、拉致問題について北がカードを切ってからのことだ。

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八幡 和郎
扶桑社
2017-12-24
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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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