加計学園の虚偽を糾弾する人が、籠池被告の話を鵜呑みにする不思議

2018年05月28日 06:00

加計学園サイト、FCCJ動画より

“モリカケ”について、この頃は書いているこちらもうんざりしている。与野党ともにグダグダな展開だし、ちょっとロジカルに野党側の追及姿勢に疑問を呈すと、俗に「パヨク」と言われる左派ネット民から「アゴラは官邸から機密費をもらって擁護しているんだろう」とか誹謗中傷を受ける。

しかし、加計学園問題に関して週末に転換点になりそうな動きがあったので、スルーというわけにもいかなそうだ。周知の通り、愛媛県職員のメモで、安倍首相と加計理事長が2015年2月25日に面会したとされることについて、加計学園は27日、「当時の担当者が実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出し、県と(今治)市に誤った情報を与えた」とするコメントを発表した(参照:毎日新聞)。

加計学園の「虚偽」説明で局面が変わるか

これまでモリカケのうち、森友学園問題のほうは、籠池前理事長夫妻が補助金の不正受給で逮捕・起訴され、あるいは土地取引を巡り、財務省の文書改ざんが明るみにでるなど、違法性が明らかに疑われる事象が浮かんでいた。一方、加計学園問題に関しては、首相と理事長が会ったのはいつだったか的な事実関係の水掛け論がヒートアップ。その割に、そもそもの違法性があるのかどうかよくわからないまま、野党や朝日新聞が粘着質に追及する理由がとんとわからなかった。

ところが、加計学園が地元自治体に虚偽の説明をしたとなると、話は違ってくる。獣医学部新設のためであれば、虚偽の事実を伝えることを含めて手段を辞さなかった疑惑が深まる。そうなると、森友学園が補助金申請をした際に、国や大阪府に違法となる虚偽申請をしたことと同じとは断じないまでも、行政側に対して伝えている情報にウソを紛れ込ませた疑いがある点では、似通ってくる。今後、特区申請した書類の中身についても、さかのぼって再検証する必要はあるし、そのプロセスで違法性の有無も問われるのではないか。

他方、やや不謹慎な想像を巡らせてみると、もし野党が主張するように、加計学園が「首相をかばうために白々しい嘘をついている」のであれば、それはそれで「悪手」のように思う。もともと行政手続きに瑕疵はなく、違法性がなかったというのに、なぜ火中の栗を拾って学園の社会的信用を傷つける大きなリスクを侵すのか。ことの始まりから、自らの正当性を堂々と主張していればよかったものを、これでは戦力の逐次投入と同じであり、それこそ、危機対処が後手に回りまくっている日大の不手際と並び称されても仕方ない。

政権側、加計学園側は首尾一貫していないのはたしかだ。では逆に追及する野党側や左派の人たちがどうかというと、これも筋が通っているとは言い難い。その典型が、本稿のタイトルにしたように、このほど保釈された籠池夫婦のコメントの信ぴょう性を疑うそぶりもみせずに、安倍首相や昭恵夫人に対するネガティブキャンペーンを繰り広げていることだ。

蓮舫氏の元側近議員にみるダブスタ

たとえば、かつて蓮舫氏が民進党代表だったときの政調会長で、側近ともいえた大串博志衆議院議員(現在は無所属の会)は、加計学園の今回のコメントについて「教育機関である学校法人が、ここまであからさまな嘘をつくようになったら世も末」(ブログより)などと厳しく糾弾している。それ自体は追及側として当然の主張なのでよい。しかし見過ごせないのは、大串氏は3月にAbemaTVに出演した際、籠池氏の発言内容をずいぶんと信用していることだ。

この番組では、当時問題になった財務省の文書に、籠池氏が昭恵夫人から「いい土地ですから前に進めて下さい」と言われたと述べていたことを記録していたことの是非も取り上げていた。大串氏は「籠池さんが言ったということは事実」とコメントするなど、籠池発言に信ぴょう性を感じているようだが、言うまでもなく、籠池夫婦は特捜部により起訴に持ち込まれている。

もしかしたら「推定無罪」により、籠池氏の主張を白眼視しないという考えなのかもしれない。しかし、刑事裁判にかけられている人物の主張を鵜呑みするとなれば、海千山千だらけの永田町の住人としてはお人好しなことだ。明確な根拠もなしに安倍首相や昭恵夫人を攻撃してしまえば、ただの中傷になってしまわないか、少々心配になる。いや、大串氏以外にも同じような野党議員が何人も見受けられるのでキリがない。

「カケには辛く、モリには甘く」になってないか?

これはメディアのほうも同様だ。望月衣塑子氏を擁する東京新聞は、籠池氏の保釈後記者会見のレポートした記事に、『首相や昭恵氏に「本当のこと話して」』などと煽りタイトルをつけている。朝日新聞デジタルに至っては動画まで流す力の入れようだが、いわゆるリベラル系メディアの皆さんは、これから有罪になる可能性もある籠池夫婦の言い分を大々的に取り上げるからには、かなりの自信をお持ちらしい。

間違っても「カケには辛く、モリには甘く」というダブスタ追及にならないよう、今後も、法と事実に則った、フェアなものであっていただきたい。

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新田 哲史
アゴラ編集長/株式会社ソーシャルラボ代表取締役社長/NPO法人ICPF 情報通信政策フォーラム理事

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